表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/22

熊と親切な側転

「なんで原付なのよ……」


そんな天使のボヤきからも分かるように――僕たちは、原付と田舎の整備されていない道に、お尻を虐待されている真っ最中だ。


「普通、こういうのって新幹線とかじゃないの?」


「そんな金は無い!」

あと二人で公共交通機関はまずい……


「甲斐性なし……」


甲斐性なしは事実なので、普通に効く。

そうだ、NGワードにしよう。フィルタリングで伏字にするのだ。「※※性なし」とか。


「どこまで行くのよ、これ」


「さくっと、4時間程度」


「……」


天使が黙ってしまった。ミラーで確認すると、ムスッとしている。かわいい。


と、そのとき。

天使がふと何かに気づいたように、何もない田んぼのあぜ道をじっと見つめ始めた。


「ヤバい? ふーん」


「……善さそうな神様とかいる?」


「なるほど、ありがとね」


僕があまりにも○○○なしなので、ついにイマジナリーフレンドとの会話を始めてしまった。オヨヨ。


「この先、ヤバいってさ」


どうも、僕たちの行き先はヤバいらしい。


「例のやつ?」


「そう。3くらいの霊のやつ。かなり語彙力の怪しい子だった」


「“ヤバい”って意訳じゃなくて、本当にそう言ってたんだ……」


ちょっと待て。僕たち、ずっと移動してたよね?

原付とはいえ、30kmは出てたぞ。信号のない田舎道だし。


「並走してたってこと?」


「側転してた」


思ったより愉快な移動方法だった。友達になれそう。


……それにしても、ヤバいかぁ。嫌な予感しかしないなぁ。


「行くの、やめとかない?」


「大丈夫。アドバイスもらったから」


「……ちょっと、お金残しておいてね」


「?」


まぁ、天使がそう言うなら――それが必要なことなんだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ