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僕は話を続ける。
「父が、まだ元気だった頃に、
『決して、お兄ちゃんには言うなよ!』と、
おそらく、僕だけが生きていた父から聞かされた話があってね…。
父は己の初の子供が、どんな子供なのか?を当時、名を轟かせていた占い師に占ってもらったらしいんだ…そうしたら、
実在した西欧の残虐魔、シラーの生まれ変わりだと言われたらしい…。」
「御前の父は、それを信じたのか?」
「なんかね、兄さんのことと、父さん自身のことも占ってもらったらしいんだよ…。
父さんは、一年後に私財が肥える、が、その2年後に思わぬ挫折がある…と占い師に言われた。
それから、父さんは、一年後に、宝くじで百万円当たり、その2年後に育て上げた職場の後輩に営業成績で出し抜かれ僻地の営業所への左遷となった…。」