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その日、僕は男友達の佐藤とファミレスで、
ダベっていた。
互いに満腹になり、
僕は彼に話を切り出す…。
「佐藤、実は兄のことで悩んでいる…。」
佐藤は僕に、あっけらかんと聞く。
「どんなことで?」
僕は、佐藤に上手く伝えられるように、
話を練ってきていた。
「兄は本来、すごく、おしゃべりなのだが、一年くらい前から、あまり僕に話さないようになった…。」
「それが悩みか?」
「…あのさ、佐藤、辛抱強く聞いてほしいんだけど、僕ら兄弟は子供の時に母を病気で亡くしていてね…父は男手一つで、僕ら兄弟を育てあげてくれた。そんな父も数年前、病院にて、僕ら兄弟に看取られて亡くなって、今は、僕と兄、アパート暮らし二人で住んでいるわけだが……」
「わけだが…?」
「…佐藤、君は僕の兄と面識が、全くないだろ?
それは、僕が、そのようにしている意図がある。
僕は君に色々とホンネで話すが、僕と君との関係に僕は兄を直接、入れたくないんだよ…。君と兄が顔見知りになることを僕は避けたがっている…。」