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『アドベンチャー』という小説が、
世間で流行りに、流行っていた。
そんな長い小説ではないよ♪との声を聞いた俺は、それを新刊で買った。
最初から最後まで読んだ。
その感想として、
本の内容より、
己の今までの人生の方が、よりアドベンチャーだと、まず思った。
ちょっとしたアドベンチャー話…俺の話だ。
たまに行くショッピングモールに、
ペットショップが入っていて、
俺は、そこのガラスケースに入っていた、
ラブダドールの子犬と恋に落ちた…。
だが、俺は、その子犬を飼ってやれないのだ。
そんなに生活に余裕もないし、
ペットを責任持って飼う自信もない。
1週間後、俺は、マイカーを走らせ、
また、そのペットショップに。
もう、その子犬が誰かに飼われて、
いなくなっていたら、会えなかった。
でも、その子犬は、まだ、そこに、いたのである。
俺は、マイカーの運転の最中、
(もう、いないんじゃないか…?)と思っていた。
だけど、また再会して、
前回同様、
「ここから出して!」のような子犬の眼差しを受けながら俺は無言で去り、帰路に就いた…。
次にショッピングモールに行った時も、
俺は、また、そこのペットショップに行くのだろう…。