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一年前くらいに通勤でのカーラジオで、
女性と男性の対話を聞いた。
女性が俺と同じくらいの歳…
男性は、俺より、ちょい上くらいの年齢だった。
歳を重ねると、それなりの経験をしている…と、
誰かは暗黙に、そう思う人が少なからずいる。
俺は、早朝すいている道を車で走らせ、
アベックの会話をカーラジオで聴いていた。
女が言う。
「アラサー年齢の女性が悩まないわけがない!仕事で活躍したい、結婚したい!そこまででなくても良いヒトが近くにいてほしい…プライベートも充実させたいけど、今後の貯蓄も、しっかりしたい!でも、新しいことにも挑戦できるなら、やってみたい!!」
パーソナリティーの男はゲストである女性の、その発言に爽やかに笑った。
俺は、笑わず車を走らせる。
本日、俺の仕事は厳しい1日になることが現段階で分かっており近年、普段の仕事が文字通り毎日、踏ん張り時であった。
ゲストの女性が言うことは分かる。
俺には、ちゃんと分かっていた。
男である俺自身がアラサーであった頃、ラジオの女性ゲストが述べることに違わず、そうであった。
投げやりに、そっぽを向いてではなく、ラジオを聴いていた俺は思う。
(結局、人生、輝かしたい!と思う己がいるなら、己が、そう頑張るしかないのだ!)と…。
マイカーは職場に近づく。
俺の厳しい1日が始まろうとしていた…。