上位者の三体
【人は神々の最後の創造であり、最悪の失敗作である。】
この物語は、ある日、ある時
3人の上位者が、王たる支配者に召集されるところから始まる。
有数の軍隊、幾つもの国、数々の世界、そして少々の宇宙を所有する
その上位者たちが顔を合わせ、一所に集まるのもまた、数千年ぶりのことであった。
恐ろしい程、巨大で豪華が門が迎え そして開く
黄金で造られたように見えるその門は、未知の金属で出来ていた。
あまりに豪華な、その場内には
不釣り合いなボロボロの装飾がなされていた
布は破かれ朽ちている、調度品も争いの跡のように破壊されている。
果てしなく広いその部屋を取り囲むように配置された屈強な騎士たち
彼らは人間ではなかった…
そして
部屋の中央付近には、おびただしい数の死体が積み上げられていた。
3人、あるいは3体は誰もいない玉座を見つめ、動きを止める
姿は見えない、だが 我が支配者は確かにそこにおわすのだ。
支配者から集められた理由を話される。
女神のような美しい声が場内に響く、あるいは地獄の淵の怪物のような声が響いた。
【~】
人間界、人はそうは呼ばないが
人々は今、1000年以上に渡りに世界を支配した魔王に打ち勝ち
平和を噛みしめていた
そんな世界の片隅…
小さな村の林の近くで
その物語の続きが始まる。
女がいる。
女は騎士だった
魔王を倒した勇者の一軍に加わっていた事もあったが
途中、怪我で離脱し 自分の故郷に帰る途中であった。
魔王討伐の報せは、もちろん届いていた
嬉しさと悔しさ、そして大きな悲しみ、秘密を抱えながら
立ち寄った村で、もうすぐ1年が経とうとしていた。
林の近くの草原で、村の子供たちが巨大な魔物に襲われていると訊き
白い女騎士は駆け出した
おかしい、魔王が倒れ その眷属たる魔物たちは激しく弱体化し
巨大な魔物など、ほぼ現れなくなっていた。
駆け付けた時、子供たちは泣いていた 女騎士に駆け寄る
良かった、無事のようだった…
巨大な魔物は倒されていた
近くに怪しい男がいる、倒れた魔物をジロジロと眺めていた。
『何者だ!?』
騎士は剣を向け警戒する。
子供達は、その人が助けてくれたんだ!と、説明する
女騎士は警戒を緩めなかった。
男は怯むことなくこちらを向き直した。
普通の人間に見えた、青年
自分よりも若くも見える
しかし、何か老獪な深い見識を感じた。
強そうではない、だが絶対に勝てない
そんな凄みがあった
「お尋ねしたいのですが、魔王を倒したとかいう”勇者?”はどこにいますか」
女騎士は、訝しんだが答えた
「勇者は死んだ、魔王と相討ちになって・・・・・・」