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第5章 新たなる戦い

『四天王』


「シュヴァートがやられたようだな」

「勇者め、いい気にならぬことだ、シュヴァートは、我ら魔王四天王の中で一番の小物」

「そうだったか? ミチャー?」

「割と強かったよね、カマッツァ。後、魔王四天王って王が2つあっておかしくない?」

「い、いや、比べると一番弱いって意味で、そりゃあコボルト並に弱いワケじゃないけど!」

「いやいや、そこまで見下し発言出来るエイホルト程に力の差を感じてはいなかったよね」

「うむ。割と良い勝負な感じだった。決して見下せるようなヤツではなかった。強さとやった事のショボさと力は別問題だし」

「そうじゃなくて、その前提はあっての上で、比較の問題として!」

「じゃあ、次の勇者討伐はー、一番自信のあるエイホルト君が良いと思いまーす!」

「賛成だ」

「勝手に決めんなよ!」

「じゃあー、多数決とりまーす!」

「賛成、賛成、賛成」

「ふざけんなよ、最初からお前たちの方が多いじゃねーかよ!」

「多数決は、民主主義の大原則ですー」

「魔物の上に立つ魔王が、原則曲げて良いのか?」

「魔物が民主主義とか言ってんなよ、ふざけんなよ、冗談じゃねえよ!」


「真なる魔王アツォトホ様、シュヴァートがやられ、四天王は動揺しているようですな」

「……こういう事がないように四人揃えたのになぁ」

【完】




『さいきょーぶたい』


「勇者ヨ・ツーヤ様、魔王討伐応援の為、王様から一個小隊が送られて来ましたぞ」

「小隊長のイシ・ザ・カーでございます! 存分にご命令を! 吟遊詩人のミキ・プラムもおりますので、バフも完璧です」

「珍しいな」

「これも勇者ヨ・ツーヤ様の活躍が評価された証拠ですな!」

「時にカー」

「なんでございましょうツーヤ様?」

「こう、なんというか、柄の悪そうな連中が揃っている感じだが」

「お気づきでしたか。聞いて驚かれるかも知れませんが、この者達は死刑宣告された重犯罪者ばかり! 任務成功と引き替えに刑の軽減が約束されているのです! このため、どんな過酷な任務でもやらざるを得ないのです。しかも、各々がそれだけの犯罪を為し得るだけの、特異で強力な技の持ち主です! このような部隊が存在する事に驚かれたかも知れませんが、いざ本気になって団結すれば、挫折知らずのエリート部隊よりも途轍もない力を発揮するのです!」


「――そいつら、あんたがあたしと再会した時にはいなかったと思うけど、どうしたの?」

「そうなんだよ巫女チハ・ヤ。二つ目の村で強姦未遂起こして監視魔法に強制送還させられた」

「まあ、理性がまともに働くなら、そこまでは落ちないもんね……」

「そもそも同じコンセプトの部隊を作っては崩壊させてるよ、あの王は」

【完】




『村人A』


「ようこそいらっしゃいました、勇者ヨ・ツーヤ様」

「……ともかく、宿を頼む」


「お早うございます、勇者様」

「なあご主人」

「なんでございましょう?」

「この辺りの魔物は凄いな」

「えっ、弱すぎるって事でございますかな?」

「……分かって言ってるだろ。この村に来るまで、七回ぐらい死んだぞ」

「ははは、左様でございますか。我々はずっとここで生まれ育っております故、さほど気になりません」

「オレの故郷だったら一匹で町一つ確実に落とされるぞ」

「慣れですよ、慣れ。逃げるだけなら子供でもやりおおせます」

「……そんだけ強いヤツが揃ってるなら、お前達で魔王を倒すとか考えなかったのか?」

「勇者様、強さとは単に戦う力だけではございません。愛する人を守り育む為に畑仕事に勤しむ、それもまた、強さなのでございます。我々は魔王を倒すよりももっと重要な事があるのです」

「何となく良いことを言っている風で、その実面倒とか危険は人任せとかそういうのだな」

「さあ、畑で獲れた毒消し草です、たっぷりお持ち下さい」

「……必要になるの?」

【完】




『経験値稼ぎ』


「魔王エイホルト様!」

「なんだヴァンパイア・ロード、やかましい」

「種族名で呼ばないで下さい」

「ああそうだった。ワラキア卿、どうした」

「勇者が城の第一層まで来ております」

「なんだと、いつの間に……」

「しかし、まだ力が付いてはいない様子。我が軍の兵士と戦い腕を磨いている様子でございます」

「小癪な」

「早急な対応が必要です!」

「分かっている。ドラゴンをもう二、三匹連れて来い! もう少しで、余のレベルも上がる!」

「……泥縄ですねぇ」

「争いは同レベルの相手でしか生じないものだ」

【完】




『状態異常』


「む、毒か」

「くつ、お前もか、ヨ・ツーヤ?」

「こっちも毒ね」

「毒消しは?」

「使い切った」

「となると」


「まあ死に戻りが一番効率良いね」

「戦闘で一気にとかなら良いけど、毒はやっぱりジワジワだから嫌だなぁ」

「……戦闘で死ぬのも大概嫌よ。もうこれ、なんか病名付く心のアレになってない?」

【完】




『種明かし』


「むむむ、勇者ヨ・ツーヤ殿、この古文書をそのまま解釈するのならば……」

「何と書いてあるんだ、大賢者カ・シコイ!?」

「魔王とその眷属は、かつてこの地を追われた部族の一つ。我々と同じ人間の成れの果て」

「なんだと!? バカな、あいつらは生まれついての人間の敵ではなかったのか!」

「はい……」

「そんな連中をオレは何体も……」

「はい」

「……でもまあ、人間基準だと普通に死刑か、あいつら。法律だと、金貨十枚盗めば首が飛ぶワケだし」

「ですな」

【完】




『状態異常2』


「む、勇者ヨ・ツーヤが魔物の攻撃で混乱している!」

「いあいあ! ネズミが、ネズミが!」

「回復アイテムの魔法のハリセンで!」

「はっ! オレはなにを!?」

「混乱してただけだ、戦いに戻れ!」


「――というやり取りがある訳だがな、戦士カマタ、大賢者カ・シコイ、巫女チハ・ヤ、盗賊ドロブ・O?」

「うん」

「どうした」

「なに?」

「なんだ?」

「何故、今回は致死性の奥義をぶつけた?」

「そりゃ、あたしが復活魔法覚えたし」

「うん、うん、効率って大事だよね、分かるけどね。でもさ、なんかこう、躊躇いとかないの」

「1000回も全滅してると、いい加減どうでも良くなって来る」

「正確には、5717回ですな」

「回復アイテム高いから仕方ないでしょ」

「なんかこれ、不老不死の種族が持つ生命の軽視とかそういう領域に入ってないか? おい、大丈夫か?」

「だったらさっさと魔王を倒そうぜ」

「才能がないとは言え程度がありましょう」

「ガタガタ言うなら言うべき事をしてからよ」

「ああ、神よ、これが試練か!」

【完】




『能力』


「漁師ゲンナイ、貴様の能力は……なんだって?」

「はい、勇者ヨ・ツーヤ様。人や魔物に触ると……」

「ビリッと来たぁああああ!」

「なんかビリッとして痛い感じがして身体中の筋肉がビクッとなる力です」

「なるほど。何かの衝撃を発しているんだな」

「だと思うんですが、水とかに入ると私自身もそのビリッっていうのになるし、尖ったものを持って力を入れると、何か光ったりするんです。なんなんでしょうか、この力?」

「まあよく分からんけど、ともかくそのビリッっていうのを魔物に当てれば、足止めぐらいにはなるかも知れないな」

「あ、でも、ビリッとしている相手に触ると、その触った人もビリッてなるんです」

「なんだそれ……毒とか呪いとかの類かな?」

「お連れ頂けますか?」

「んー、何だかんだで接触しなきゃダメっぽいし、使い道もないし、別に良いかなぁ」

「残念です」

「じゃ、オレ達はこの先の洞窟『デンゲンガオチテル』を攻略してくるぜ!」

「はい、頑張って下さい」

「でも変な名前だな。異世界語か?」

「そうみたいですね。大昔に異世界から来た技師が人工的に作り上げたみたいです。その後しばらく経って、別の異世界人が来て、攻略出来ずに立ち去った時に口にしていた言葉だったとか」

「ふうむ、何なんだろうな『デンゲンガ オチテル』」

「なんでしょうね、『デンゲンガ オチテル』」

【完】




『おしえて』


「なあ、傭兵戦士アマ・ゾン?」

「なんだ、勇者ヨ・ツーヤ?」

「そのヘソを出すビキニアーマーは、防御の効果ってあるのか? 内蔵とか全然守れない気がするんだが」

「当たればな。このアーマーのコンセプトは、ポイントを絞った必要最小限の装甲を用いる事で、最大限の軽量化を果たし、回避も含めた防御効果を高めるものだ。何より、見る者に与える心理的影響が最大限に考慮されている為、こと人間の男中心で構成される盗賊などと対峙する時には無類の強さを発揮する」」

「……やっぱりただのファッションじゃ」

「機能性、だ」

「はい……」

【完】




『VS魔王』


「わはははは、勇者ヨ・ツーヤ、我に仇成す者、死ね!」

「ぎゃああああ!」

「魔王エイホルト様!」

「どうした、ヴァンパイア・ロードのワラキア卿よ」

「はい。勇者ヨ・ツーヤに気を取られている隙に、勇者マサーヤがドラグノフ卿を打ち倒し、北の村を占領しました」

「むむ、それは捨て置けん、全力をもって排除する!」


「わははははっ、勇者マサーヤ、ベノムリザードマンエンペラーを倒した程度でいい気になるな、覚悟せよ!」

「ぎゃああああ!」

「魔王様!」

「どうした、ワラキア卿」

「勇者マサーヤに気を取られている隙に、勇者ミッヤが丸頭のフラッシュを打ち倒し、西の港町の航路を復活させました」

「むむ、それは捨て置けん、全力をもって排除する!」


「わはは、ははっ、勇者ミッヤ、毒くらげを倒した腕前は褒めてやろう、だがここまでだ!」

「ぎゃああああ!」

「魔王様!」

「どうした、ワラキア卿」

「勇者ミッヤに気を取られている隙に、勇者ソノ・タオーゼがナシング博士を打ち倒し、南の研究所で製造していた新型ゴーレムを破壊しました」

「むむ、それは捨て置けん、全力をもって排除する!」


「わは、は、ははっ、勇者タオーゼ、ポイズンスライムキングを倒した腕前は褒めてやろう、だがここまでだ!」

「ぎゃああああ!」

「魔王様!」

「どうした、ワラキア卿」

「勇者タオーゼに気を取られている隙に、勇者チセがペットのともぞうを打ち倒し、魔王城に攻め込んでまいりました」

「むむ、それは捨て置けん、直ちに帰還し、全力をもって排除する!」


「ぐあああああ!」

「ふふっ、口ほどにもなかったわねぇ、魔王エイホルト」

「ううっ……」

「あなたの敗因は、私を強くする時間を与えてしまった事よ。自らの罪と過ちを後悔してこの世を去りなさい」

「くっ、ひとの気も知らないで……」

【完】




『勇者と魔王』


「ついに辿り着いたぞ、覚悟しろ魔王ミチャー!」

「ほう、貴様が来たか……勇者イ・ケメン」

「こっちを向け、尋常に勝負しろ!」

「こうして相見えるのは初めてだね、勇者よ」

「お、女……?」

「フフ、魔王が女ではおかしいかい?」

「いや。そこではなく」

「なんだ、何が言いたい」

「容姿的にポリコレってるのに、わざわざ女設定にする意味がさっぱり」

「造物主に言え」

「まあいいや、遠慮無く殺す!」

「こちらの台詞だ!」


「で、戦ううちに愛情が芽生えた、と」

「人間は顔じゃないし、っていうか人間の顔じゃないし、そもそも人間じゃないしな」

「うふふ、ぶちころす、ぞ。人間?」

【完】




『強キャラ』


「儂はかつての勇者を鍛えた存在だが、病気があるので今回の魔王の討伐には行けないのだ」

「出たよ言い訳。いい年して学校休む子供みたいな事言って恥ずかしくないのか? 嘘なんだろ、どうせこれっぽっちの力もありゃしないんだろう? ふふん、そのくせ偉そうな事ばっかり言うなんて、老害も老害だね。過去に何をやったにしても大事なのは今でしょ!」


「このようにして、この隠者のじじいに魔王カマッツァを倒させました、王様」

「なるほど、勇者に必要なのは武の力ではなく、人を動かす力であったか」

「……素直に儂が勇者で良いんじゃないですかね?」

【完】




『四天王の最期』


「フフフ、この魔王カマッツァを倒したぐらいでいい気になるなよ、勇者ヨ・ツーヤよ」

「倒したのは儂じゃが」

「我々魔王の仕える真の魔王アツォトホ様は、当社比20倍ぐらいの強さだ。我を屠った技など、20回当てなければ倒す事はかなわん」

「割と効くんでは」

「儂はもう腰をやったから無理じゃぞ」

「年寄りキャラはいつもそれな。死に戻りしたら回復するだろうがよ」

「無理だつってんだろ、このクソガキ!」

「なんだとこの、人生の出がらしパック!」

『さっさと魂喰わせるだ!』

「この毛も生えてないガキ!」

「生えてます! 白髪チン毛ジジイよりマシですー!」


「……あー、魔王カマッツァ、止め刺して良い?」

「すまぬな、戦士よ」

「ちゃんと強敵だったからね」

「……うん」


「このしんせい! 火をつけてくゆらせてやろうか」

「なんだと、かんとん! 炒めておいしくしてやろうか!」

『あああ、別のヤツに止め刺される! 魂がもっだいないだぁあ!』

【完】


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