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第1話 今日から俺は転入生

息抜きに書いた作品ですので、非常に非常に下らない、ノリと勢いだけの話です。

あまり真剣に読み込まないでいただけると助かります。

 俺の名前は、転入生A。どこにでもいる、普通の転入生だ。

 高校1年生になって3ヶ月と2週間。俺はすでに転校を4回も繰り返している。

 転校を繰り返すたびに、この新しい世界へと飛び込んでいく緊張感と胃の重たさを味わっているのだが、3回目にしてこれが少しばかり快感へと変わっているのはきっと気のせいだろう。


「今日からまた新しい学校生活が始まるのかぁ・・・。前の学校では平凡な学校生活しか送れなかったからなぁ。転入先では、平凡すぎる日常とはおさらばして、ドキドキするような展開が待っているといいなぁ・・・」


 そう、俺が転校を繰り返している理由、それは“刺激”だ。

 俺は刺激的な学校生活を求めている。そう、平凡ではない、イかれた日常こそが俺の脳を活性化させるスパイス!

 そんなスパイスを求めて、転校先でちやほやされ、飽きられを繰り返して今にいたる。そろそろ、ありきたりな転入とは卒業したい。

 しかし、ドキドキするような展開か・・・どんなのがいいかな。


「あなたが、今日入ったっていう転入生?(立ち位置を変える)」

「あ、あぁ、そうだけど?(立ち位置を変える)」

「そっかぁ。じゃあ、行こっか!(立ち位置を変える)」

「え、どこに?(立ち位置を変える)」

「どこって、決まってるでしょ。学・校・案・内。君が迷わないように全部教えてあげるね。職員室、保健室、音楽室・・・あと・・・私たちだけの、秘密の場所・・・とかね!(立ち位置を変える)」


 なーんて、展開・・・あるわけないか。


「・・・ハッ、いけない。こんなことしている場合じゃなかった!早く登校しないと遅刻してしまう」


 とは言っているが、これもフラグだ。そう、転入生といえば・・・遅刻!

 ラブコメの定石手段であり、街角での可愛い女の子とのエンカウント率が激アツなのだ。

 俺は軽くストレッチと屈伸をする。

 そして、俺の腕時計の秒針がちょうど12を指し示した時がスタートの合図・・・!


 俺は足に力を込めた、姿勢はもちろんクラウチングスタート。

 前回やった時は空振りに終わってしまったが、今回は成功するに違いない。


 いや――。

 成功させてみせる――!!


 秒針が12を刻んだ時、俺のクラウチングダッシュが炸裂した。


 その街角まであと数メートル――。

 ん? これは――来た!

 人影だ――!

 あとは同じ高校に通う可愛い女の子であることを祈るだけ――。


 ――衝突。


ててて・・・なんだよ、急に飛び出してくんじゃねぇよ・・・」


 ニヤリ――。

 これは決まった、と思わざるを得ない。

 ちょっとしたぶっきら棒な態度を取ってこそ、このエンカウントに相応しい。

 なぜなら、そんな態度を取るからこそ印象に残るからだ。そして、そこから発展するちょっとした小競り合いを経て、二人はクラスで再会するのだ――。


 ガチャリ――。


 ん・・・?

 今、なんか金属音的なのがしなかったか?


「うっ・・・くそ・・・なんでこんなことに・・・あぁ、誰か・・・」


 え、何この人――。


「しまった・・・薬草はさっき店で売り払ってしまったのだった・・・おい、そこのお前、ぶつかって来たのだから、責任とって私を看病しろ!」


 え、何でマントしてるの?

 え、何でちょっと露出多めなの?

 え、何で頭に変な被り物してるの?


「おい! 聞いているのか!」


 え、何で勇者みたいな格好してるの? この女――。


「あぁ・・・苦しいなぁ、辛いなぁ!」


 確かに、刺激的な出会いは欲しかったよ?

 街角で可愛い女の子とエンカウントしたかったよ?

 でもさ、勇者って・・・っていうか、勇者が何でこんなところにいるの?

 朝っぱらからコスプレしてんのかこの女・・・。

 関わらない方が良さそうだ、無視して通り過ぎよう。


「なるほどなるほど、お怪我は大したことなさそうですね。じゃあ俺、急いでるんで、御機嫌よう!」


 と、そそくさと立ち去ろうとしたが、勇者らしき女が俺のズボンの裾を力強く握りしめて来た。


「ちょっとぉぉぉぉ! 人が瀕死の状態で苦しんでるでしょうがぁぁぁ! 声かけるのが普通でしょ! 冷たいなぁもう!」

「いや、めちゃめちゃ元気じゃん! しかも一応声かけたよ!」

「全然元気じゃないし! 瀕死だし! HPゲージ真っ赤だし!」女は虚空を指差しながら「ほら!」

「何もないから! 全く、ゲームじゃあるまいし・・・あの、遅刻しそうなんで、もういいですか?」

「君さ、さっきからなんなの?その態度。私を誰だと思ってんの?」

「え・・・?」


 まさか・・・本当に勇者とか言うんじゃないだろうな・・・。

 いや、でもここは知らんふりしておこう。


「・・・誰ですか?」

「瀕死の人だろ! どう見ても!」


 ――勇者じゃねぇのかよ・・・!


「瀕死じゃねぇよ! ピンピンしてるじゃん! っていうか、その格好って、ゲームとかで魔王倒しに行きそうな感じの・・・」

「そんなことより、早く・・・連れて行ってくれ」


 ――おい、無視だよコイツ。格好に触れてやったのに!


「病院だったら早く救急車呼べばいいじゃないですか」

「病院じゃない。教会だ」


 ――やっぱり勇者じゃねぇか!


「なんでだよ! 普通怪我したり急病になったら救急車で病院だろ!」

「いや、だから瀕死なんだって! 瀕死になったらほら、教会とかセーブポイントとかにビューンっていくじゃん?」

「なにゲームの世界みたいなこと言ってんの!ビューンていけるなら、ビューンって行けばいいだろ、ビューンて」

「・・・だから、それができないから困っているのだ」

「まぁ、普通できないですけどね」

「君・・・さっきから聞いていれば、なんだ? 普通、普通って。君さっき言ってたじゃないか。平凡な日常とはおさらばしてドキドキするような展開が待ってるといいなって」


 ――こいつ、どこで聞いたんだよ!

「確かにいったけども! こんな展開ドキドキしないからね!」

「いや、ドキドキしてるじゃないか! 私が!」


 ――お前かよ!!


「なんであんたがドキドキしてるんだよ!」

「いや、ほら、出血多量とかで」

「マジで瀕死なんだな・・・っていうか、え、さっきの独り言・・・聞いてたのか?」

「あぁ、一部始終な」


 最悪だ――。

 よりにもよって、こんなやつに見られていたとは・・・。

 って言うか、おかしいぞ・・・街角でエンカウントしたはずなのに・・・。

 ――ハッ・・・まさか、こいつも街角エンカウント狙っていやがったな・・・!



「ふふふふふ・・・」

「・・・?」

「フハハハハハハハ!」

「え、ど、どうかしたのか?」

「貴様! さっきの一人小芝居をばらされたくなければ、私を教会に連れて行け!」

「うわ、急に強気になったよこの人・・・くそ、こんなやつに弱みを握られるなんて・・・」

「いいから早くしてくれ。私が棺桶状態になる前に」

「棺桶状態って某ゲームの死んだ状態ってことか? それ、知ってる人にしか伝わらないぞ?」

「それを言うな。作品名なんて告げたら著作権委員会的なやつに訴えられるだろうが!それこそ致命的だわ。精神的瀕死!」

「急に現実的なこと言い出したよ・・・。あ、やばい!学校に遅れる!急がないと!」

「あ、ちょ、ちょっと待ってくれ!私も連れて行ってくれ!」

「嫌だ、絶対に!」

「頼む!瀕死で動けないんだぁぁぁぁ! さっきの恥ずかしい一人小芝居バラされたくなかったら、どこでもいいから連れてってくれよ!一生のお願い!」

「チッ・・・仕方ないなぁ・・・」


 こうして、俺と勇者の登校ぼうけんが始まった・・・。

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