副町長、死す!!
町に向かって軍勢が来ていると、情報が入り町は騒がしくなっている。
うちの自宅が、作戦本部になっている。
色々な人材がここに集まっていた。
「ハジメ君、その格好は冒険の時の格好だね」
と、マルコさんが言ってきた。
「嫁さんの手作りの服を、下に着込んでますよ……。
さて、お客さんがそろそろ、北の森を抜けるみたいです。
私が指名する人は、私と一緒に高台に立ってもらえますか?」
「おう!!」と、一同答えてくれた。
「まず、私がPTリーダーになります、その次にボルグ様、その次に町の代表としてミルコさんお願いできますか」
「当然だ、私が行かなくして誰が皆を守れるというのだ」
「今まで私が守ってきた町だ、あんな奴らの好きにはさせない」
と、ボルグと副町長のミルコが言った。
「それと、ボルグ様の護衛の2人、君達はこの2人を守ってくれ」
「おう、それが仕事だからな」
「坊ちゃんと、副町長は必ず守り切ってみせるよ。
だが商人の旦那、アンタはどうするんだい?」
「私は、どうにでもできるさ……」
計5名をパーティに指名した。
マップ表示で、この5名がパーティとして表示されている。
「マルコさんは、内側の城壁で防衛の指示をお願いします。
スミス神父達は、救護などが必要になった場合、エミリー達と一緒に対応をお願いします」
「あぁ、任せてくれ」
「それじゃ、みんな配置につこうか」
「おう!!」と、威勢良く男達達は立ち上がった。
パーティの5名は、高台に立つために[転送魔法]で移動を行なった。
「おう、おう。
うじゃうじゃと、団体様で森を抜けてきて……」
全ての兵が、森から出てきて隊列を組もうしていた。
高台に、[スピーカー]を設置をして、スピーカー付属マイクを使い、軍勢に向かうように話を始めた。
「あー、サドタの街の皆さんおはようございます。
私は、この町の町長の二階堂始です。
最初に貴方達にご忠告します。
それ以上進んだら、貴方達の命はないものと思ってください。」
と言って、[双眼鏡]で様子を見てみる。
明らかに、軍隊に動揺が走っている……。
それもそうだよな、1ヶ月もしない間に城壁ができて、到着と同時に宣戦布告を受けたのだ。
再び[スピーカー]を使って、
「それじゃ、貴方達がよく知ってる方と交代をしようかな、ボルグ様お願いします」
と言って、スピーカー付属マイクのスイッチを入れたまま、ボルグに渡した。
「それを構えて、あの軍勢に向けて話しかけてみて下さい」
ボルグは、それに対して頷いた。
ボルグは付属マイクを使い、父達に向けて話しかけた。
私は、貴族達や軍勢の様子を双眼鏡で覗いていた……。
「私はサドタの街の、リストア侯爵の息子のボルグだ。
今回の父の蛮行は、身内の恥である。サドタの街の皆、兵士諸君そのまま引き上げてくれ。
先程の男が言った発言は嘘ではない。
一歩でも軍勢を進めようすれば、諸君が消し飛ぶ術を持っている。
お願いだ。街の民が死にゆくのを、私は見たくない引き上げてくれ」
おうおう、完全に動揺が走ってるぞ……。
あっ、リストアが指揮をとって手勢の2000を、前衛にいた前に残りの3000は後ろに動かした。
緊急で招集した人間が動揺して手勢以外は、使い物にならなくなったんだな……。
先程の発言を警戒して、軍隊は進んで来ない。
そんな感じで、様子を見ていると。
リストアから、指令を受けて一名の兵士が、こちらに向かってきた。
「攻撃の意思はなさそうなので、様子を見ましょう」と言って、その兵士の動向を伺った。
城壁の前に立ち、その兵士がこう言った。
「セカンタの町の、住民達よ降伏せよ!!
町長は、警戒を解き。リストア様の元へ馳せ参ぜよ」
「あぁ、うちの店を壊した。
アンタが伝令か、正直今すぐ吹き飛ばしてやりたいが、あの貴族の元へ戻るんだな。
返答しに行くさ」
「わかった。ここに降伏条件を書いた手紙を置く、確認せよ」
と兵士は言って、去って行った。
[転送魔法]降りて、手紙をとって再び高台に戻った。
皆で手紙をみてみると、内容はもう色々と酷いものだった。
まず、第1に貴族への献金をせよ。
次は、エミリー達の引き渡しだった、この時点で考える余地もない。
降伏条件の文章が始まり、無理難題を10程並べられていた。
「なぁ、これを私が受け入れると思うか? ボルグさんよ」
「あぁ、ありえないなここまでくると、身内の恥とさえ思うよ」
「さて、返答に行く必要があるから。私が行ってくるかな」
「ちょっと、待ってくれ。その件私に行かせてくれないか」と、ミルコさんが言ってきた。
「いやいや、あなたが行っても死ぬだけになりますよ」
「それでもだ、この町は、私が今まで守り抜いてきた大事な町なんだ。
町長を罠だと、わかっている所に行かせて失いたくない。
それこそ、この町が終わってしまう」
この件は、自分も考えていた。
自分が捕らえられたら、この町は終わる。
なんとか貴族に、ノーを突きつけて逃げようと思ってたが、罠に自ら進むのも愚策ということも。
「わかりました。
結果的にミルコさん、あなたが死ぬことになっても、この町の全てを私が救ってみせます。
返答に行ってきてもらえますか?」
「おう、ようやく町長に頼られた気がするよ……」
「そんな事ないですよ、いつも町のみなさんには、助けられてばかりですよ」
「そうか、その言葉が聞けて嬉しいよ……。
町長、私を高台から降ろしてくれないか」
「わかった」と言って、ミルコと一緒に[転送魔法]で下へ降りた。
「それじゃ、高台で様子は見ているよ」
「あぁ、任せときな。あの腐れ貴族に言いたいよう言ってやるさ」
「あはは、相当鬱憤溜まってたみたいだね」
「あぁ、それじゃ町の事は頼んだよ。町長……」と言って、軍勢に向かって、ミルコさんは進んで行った。
ミルコさんの進む後ろ姿を眺めて、
「全て救ってみせるさ……。ミルコさん、貴方もね」と独り言を呟いた。
そして、[転送魔法]で再び高台に上がった。
双眼鏡で、ミルコさんの移動する有志を見ている。
兵士達の間を通り、貴族、いや腐れ貴族の元へ向かっていく。
そして、ミルコと貴族の会談が始まる。
穏やかな表情に見えた、貴族が急に怒り始めた。
貴族は兵士達を呼び、ミルコを囲んだ。
ま、拙い、この状況はどうにもならない……。
貴族が、命令を出した瞬間。
ミルコの体に兵士の持つ剣が、突き刺さる。
ミルコは体勢を崩しながら倒れ、そのまま絶命した。
パーティの項目欄で、ミルコさんが死亡したのを確認した。
すでに、私の感情は怒りを通り越している。
その為、逆に冷静になり、コイツらクズどもを消す為の行動を取っていった。
ミルコさんの遺体から兵士達が、離れるのを確認したあと、パーティメンバーへの位置[転送魔法]を行なった。
[転送魔法]で、遺体の前に移動して、ミルコさんの遺体を、回収し。
ミルコの遺体に、とある魔法をかけておいた。
その時、自分の獲得している経験値が微量に減ったが、気付くことはなかった。
「あっ、お前は!!」と兵士が、私の存在に気づいて声をかけてきた。
兵士達が、私を取り囲もうとしてきたが……。
「お前達は、絶対に許さないからな!!」
と、私は大声をあげて、腐れ貴族を睨みつけ、貴族を含め兵士達に脅しをかけた。
スキル効果もあり、周り一同怯えきっていた。
そのまま[転送魔法]で、城壁の高台に戻った。
ミルコさんは、高台の上で再び目を覚ました。
「どうだい、ミルコさん一度死んだ気分は?」
「あぁ、最悪だね。なんで私は生き返ったんだ?」
「蘇生魔法の[レイズ]さ、かなり前に覚えててね、使う場面なんてこないで欲しかったよ。
ただ、ミルコさんが殺されて、私の決意は固まったよ」と言った。
ミルコの死と蘇生により、私は魔法を人に向けて放つ覚悟を決めた……。




