ボルグ救出!!
夜も更けて、完全に闇夜の世界になっていた。
「セバスさん、道案内お願いしますね」
「はい、お任せ下さい」
俺達は[転送魔法]で、サドタの街の貴族の城の前まできている。
門兵は、一人だけだった。
兵士は、ほとんど出払っており、人員が足りていないのだろう。
「セバスさん、どうするんですか?」
「そのまま、進みましょう。
ボルグ様のご友人を連れてきたという、ていにしますから。
それにボルグ様を置いてあの兵士三人が、リストア様についていくとは思えませんし」
「それで大丈夫なら……」
ロープやら壁登ったりとか、そういうのを期待したが、そんな苦労はいらないみたいだ。
セバスさんの後をついていく形で、俺も一緒に貴族の城へ進んでいく。
「何者だ!!」と、門兵に止められた。
「お疲れ様です。やはり貴方は、ここに残ったんですね」
「あっ、セバスさん。
今まで何処に、行ってたんですか」
「坊ちゃんの、ご友人をつれてきた」
「へぇ、こんな時間にご友人ですか、げっ!!」
俺の顔を見るなり、ゲッ!!って言われるとか……酷いなぁ。
「どうも、ご友人らしいです。何度かお会いしましたよね。
氷の大陸と、三号店でお会いしましたよね」と、笑顔で言ってみた。
「ヒッ!!」と、軽い悲鳴をあげて、兵士は怯え始めた。
「安心してください、今日はボルグ様を助けにきたんです」
「助けに?」「はい、セバスさんからボルグ様から手紙を頂いて、リストア様が出立したタイミングで救出する作戦ですよ」
「商人の旦那、坊ちゃんをどうするつもりだい?」と、兵士は聞いてきた。
「現状この街で、貴族の仕事してるのはボルグ様なんだし、この街を貴族として指導してもらうつもりですよ。その舞台に立ってもらうだけですよ」
「そうかい商人の旦那、坊ちゃんを頼んだぜ」「あぁ、悪いようにはしないさ」
と言って、俺達は先へ進んだ。
この先に、兵士の姿はなく。
そのまま地下牢まで、何の苦も無く進むことができた。
そこには、兵士が見張りをしていた。
「坊ちゃん、私が鍵を開けますんで逃げ出して下さい」
「いや、それは出来ない。セバスがあの男に連絡を入れてくれているハズだ。
ここ何日かセバスの姿が見えないのが、その証拠だろう」
「いや、そうなんですけど。このままココにいたら、坊ちゃんの命も危ういかもしれませんし」
「お二人とも、私の不在に面白い事をお話をしてますね」
と、二人の会話にセバスが割り込んだ。
「セバス、会いたかったぞ!!あの男に手紙を渡してくれたか?」
「はい、渡しました」
「そうか、そうか良くやってくれた。
これで、父の悪行もこれで終わる」
「ちょっと、待ってくれ。
ソレを終わらせるのはボルグ様、貴方の仕事だよ」
と、俺が二人の会話に割り込んで言った。
「ボルグさん、貴方の力を貸してくれ。このままだと5000人が無駄死にするだけだ。
貴族の私兵2000人が死のうが構わないが、他所から徴収した3000人を死なせるのは気がひける。
そいつらを説得してくれないか?
貴方が説得してダメだったら、その時は諦めて魔法を放つ覚悟だが、減らせる犠牲は減らしたい」
「そうか、やはり私が動かねばならぬのだな……。
解った、私も貴公に同行しよう」
「坊ちゃん、父殺しになりますぜ」と、兵士が言う。
「しなかったからこそ。
私がこの場にいる、反省するべき事だ」
この兵士も氷の大陸に連れて行った一人か、威勢の良かった奴か。
「おい、商人が何でしゃ張ってきてんだ?」と、兵士が言ってきた。
「ん? この前の件で身の程わきまえてないんですか?
まぁ、それは別に良いです。
ボルグ様の護衛について下さい、あと1人は門兵の彼で良いでしょう」
「そうだな、奥の方で警備してるアイツをつれていくと「もうダメだ」とか叫びそうだしな」
と、ボルグが笑いながら言った。
「そしたら、ボルグさん母に挨拶はしなくて良いんですか?」
「母も理解してると思うよ……。
私が立つと言う事は父を討つという事だと」
「そうですか。
それならセカンタの町に戻って、ゆっくり体を休めましょう。
セカンタの町に、軍勢が到着するのはあと5日以上はかかりますし」
「そうだな、そうさせてもらうとするよ。
よし、鍵を開けよ私は立つぞ!!」
すかさず、牢の鍵を兵士は開け始めた。
「坊ちゃんの守りは、我々がやるからな……」
「それは、任せたよ……」
そして、ボルグ、セバス、門兵、牢屋番の4名を連れて[転送魔法]でセカンタ町へ移動した。
人数が増えすぎているので、4名には宿屋に泊まってもらい。
昼過ぎに、4人を案内することにした。
そして、自宅へ帰り。[クリア]の魔法を使ってから眠りについた。
……。
…………。
そして、朝になり。
いつも通りに、仕事を行なったあと。
4人に、セカンタの町を案内した。
そして、3人が驚愕していた……。
「おい!! この前まで、こんな城壁なかったじゃないか」
「あぁ、昨日は夜だったからも見えなかったんだね。
この城壁は、1日で作ったよ。
今はギルドが、間の濠に水入れてるんじゃないのかな?」
「やはりこの男とは、敵対するべきではないな」
と、ボルグが言った。
「次は、[転送魔法]最前線の高台を案内するよ」
4人を、高台に連れてきた。
「ほう、ここからだと森の方まで見えるんだな……」
「ちなみにどうやって撃退するかというと……」
双眼鏡で、森近辺のあたりを確認して。
[エクスプロージョン]を森の入り口付近に放った。
相変わらず、物凄い威力だなぁ……。
あまりの威力に、4人は固まってしまっている。
「出てくる場所が、あそこからしかない以上……父は何をしても勝てはしないな」
「そしたら皆さん、ここに残ってもらって、良いですか?
今から、私がさっきの地点に移動しますから、そこの整地が終わった後に、ココに向けて声を出しますんで、聞こえたら手で合図をして下さい」
[転送魔法]で、森の入り口付近へ移動して、荒れた地面を[アースウォール]を使って整地しなおした。
今回用意したのが[双眼鏡]だ、ここからでも4人の姿がしっかりと見えた。
次に用意したのが[スピーカー]だ。
[スピーカー]を設置して、
「聞こえますかー!!」
と話してみた。
双眼鏡をのぞいてみると、各々が驚きながら、身振り手振りで反応していた。
[転送魔法]で、再び高台に戻ってきた。
「あれは、どうなっているんだ?
あそこから、ここまで声が聞こえたぞ……」
「声を遠くにまで飛ばせる、魔道具みたいなもんですよ」
と言って、スピーカーと付属のマイクを見せた。
「これを、使ってボルグ様には説得をしてもらいます」
「なるほど、説得に応じれば逃すが応じなければ的になるだけと……。
私は責任重大だな」
「魔法を見てもらったのは威力が高過ぎるため、魔法を受けた相手は無事では済まないと理解して欲しかったからです。
[エクスプロージョン]見ておいた方が、ボルグ様も説得にも身が入るでしょ……」
「貴公が、手の内を隠していると思ってたのは、これがあったからか。
私ができることは、みんなを説得をすることだ。
1人でも多くの人が無事に生き残れるよう努力するよ」
こんな感じに、4人を案内し終わった。
そして、その6日後……。
貴族の大群が、押し寄せて来たのだった。




