プリンを作る。
ビッグフロッグ、血の惨劇から一夜過ぎて……。
(単なる大量ハントの事です。)
いつものように、朝が来た。
子供達にとっては、希望の朝だ。
ライアン神父に対して、処罰が甘いと思う人もいるだろう。
それでも、少女だけでも50人近くいたという現状を見ると……。
街が、援助をしてないのなら、仕方ないと思う部分はあった。
教会を、支えるため支援ではなく、腐れ貴族にとっての、私援なのだろう。
孤児院から養子に出せる事は、ありがたい事であるのはわかるし。
人格者のスミス神父でさえ、二度あの貴族に騙されている。
そう考えればライアン神父へ処罰を私がするのは間違ってるし、処罰を下すのは教会だろうと考えたためだ。
と、ある程度は納得していた。
さあ、今日は子供達の住処を探してやらなきゃな。
いつものように、朝ごはんを食べたあと、副町長に会いに行った。
一応、私は町長だし、顔を出せる時は出さないとな。
建物用の裏口があるらしく。
その鍵を使って、町長の仕事場へ入った。
来るのが早かったのか、所員はほぼいなかった。
町長室は、灯りがついているようだ。ミルコさんはすでに仕事に入ってるのだろう。
町長室のドアをノックしてみた。
「ミルコさん、私だ……入っていいかい?」
「あぁ、町長。どうぞ入ってくれ」
と言われたので、部屋の中へ入っていく。
「今日は、どうした? 勤務時間より早いが? 」
「ちょっとばかり、元町長のミルコさんに相談がある」
「なんだ? 言ってみてくれ……」
ミルコさんに、クソ貴族の悪行と、少女達を保護の為にこちら連れてきている旨を伝え、子供達を二週間ほど住まわせる場所はないかと確認した。
「それなら、ギルドの貸しスペースを緊急の避難所にしたらどうだ?
マルコになら町長の顔も効くし、喜んで貸してくれるだろうよ。
ギルドに金も入るだろうしな」
「そっか、それなら二号店とも近くなるし、対応しやすいな。ミルコさん、ギルド長にその旨伝えてくれないか?」
「あぁ、それは構わんぞ。ギルドにはお茶を飲み行く感覚で行ってるしな」
この町の政治は、かなりギルド寄りだったのだろう、ただスミス神父とも仲いいみたいだし。
バランスは、良かったのかもしれないな。
「それじゃ、ミルコさん任せたよ」
そして、この場を離れいつもの社長業務(配送がメイン)を行い。
昼前には作業を終わらせていた。
今きているのは、金物屋だ。
大鍋を買いに来た。
子供達にとある食べ物を作ってやろうと思っていたからだ。
町長になる何日か前の事だが、いつものように、
[異世界取引]による仕入れを、ベッドの中で行っていて。
普段は、[調味料]の3ページくらいまでしか確認しない私だが、その日は10ページ目くらいまで潜ったのである。
そこで、とあるものを見つけることができた。
[バニラエッセンス]だ……。お菓子作りの定番アイテムだ。
お菓子の美味しさのポイントに、甘い匂いは欠かせないのである。
それと、
[ゼラチン]だ……。これを見つけた時は、天啓が私に走ったね。
買うしかないと……。
それを見つけた私は、問答無用で、ダース買いを行い。
現在に至るというわけだ。
卵が使える、牛乳が使える、砂糖が使える、バニラエッセンスが使える、ゼラチンが使えて、冷蔵庫が使えると来れば……。
それなら子供が喜ぶお菓子作るなら、アレしかないだろう。
その為に、大鍋を買いに来た。
今回作るのは、プリンだ。
初心者でも失敗がほぼない、ゼラチンプリンだ。
最後の作業は、冷蔵庫に入れるだけという、火を使う回数も少ない、アレだ。
金物屋から、大鍋を購入して。
大鍋のついでに、今後三号店をリニューアルオープンする際に使用する、屋上に設置する金樽三つを依頼した。金樽は2回目の注文なので、割と早く完成するとの事だ。
家のキッチンで、プリン作りを始めた。
エミリー達は、すでに出かけているので、ここは私の主戦場である。
まずは、プリン液作って、それからカラメルを作って。
グラスに、カラメルソース入れてからその上にプリン液を入れる。
興が乗りすぎて、つい作りすぎてしまったな。
大量のグラスに入った、プリン液を見てそう実感した。
プリン液の入ったグラスをアイテムボックスに全て入れて、裏庭の冷蔵庫に移動して、冷蔵庫の空いたスペースの棚に、大量のプリン入りグラスを置いていった。
2〜3時間冷やせば出来上がるだろう。
……。
…………。
そこから3時間程、通常業務に戻り。
プリンが出来上がったら、アイテムボックスに入れて、教会へ向かった。
教会に、ギルド職員とギルド長と副町長が来ていた。
「やぁ、ハジメ君珍しく遅かったね」
「色々と、やってたもので……」
「ギルドの貸しスペースへ移動の準備です?」
「そうだよ」
「あー、それなら先にお菓子作ったんで、ここで子供達に食べさせて下さいよ」
「ほぅ、何を作ったんだい?」
「秘密です」 、配るまで楽しみにしお待ち下さい」
外にテーブルを置いて、プリンの入ったグラスとスプーンを用意して、ここの孤児院の子達と、連れてきた子供達に配っていった。
当然のように、大人達も列に並んでプリンを獲得していった。
キャリーと、お菓子専属スタッフの二人にも取っておいてやろう。
とプリン3つは、アイテムボックスへ戻しておいた。
大人達(エミリー達も含める)も、割とご満悦で、子供達も喜んでプリン食べていた。
自分も食べてみた。うむ、よくある自家製プリンだな。
次はゼラチン無しの焼きプリンでも作るか、と新たな探究心を燃やしたのは秘密である。
プリンを差し入れした事で、子供達が私の前に集まっていた。
「私が、この町の、町長の二階堂 ハジメです。みんな、お菓子は美味しかったかい?」
「美味しかったー」という声が多く、概ね好評だったみたいだ。
「これから、君達の仮の住居に移動するので、ギルドの職員さんについて行ってね。
食事はちゃんと、みんなに提供するから安心してね」
「はーい」と、挨拶が来たので、とりあえず大丈夫だろう。
調理スタッフの二人に、ハンバーガー用以外に、普通にパンを焼いてもらうとしよう。
スープとパンがあれば、お肉はビッグフロッグの肉が大量にあるので、大丈夫だろう。
子供達をギルドに誘導したら、人数分布団を敷いてあった。
子供達が、布団の上ではしゃいでた……。
このままの、状態で睡眠をとらせるのは少し拙いかなと思い。
「エミリーとシェリー、大変と思うけど。この子達を裏庭のお風呂に入れてあげてくれないかな」
「やりますよ。久しぶりですね、沢山の子供達を洗うの」
「シェリー、お姉ちゃんだから頑張る」
いやいや、シェリーより年上の子がいるぞ、間違いなく胸とか……。
本人が、やる気になってるし、ツッコミを入れるのは野暮だな。
と、相手が女の子達なので、エミリーとシェリーに頼りきりになったため。
ギルド長に、ここの手伝い人員の募集をお願いした。
これで、食と住はフォローできたので、一週間はなんとかなるだろう。
内心は、服まで新調してあげたいところだが、そこまでやると怒られそうだ……。
とりあえず、一通り作業を終わらせて、三号店へ向かった。
ドリンクテナント(仮)の二人と、キャリーにプリンを差し入れした。
非常に喜ばれたので、その場で作り方を実演して、あまりの簡単さに驚かれていた……。
調味料棚に、ゼラチンとバニラエッセンスが追加され、2名の料理人によるスイーツバトルが、より一層激化したのは言うまでもない。
この二人が、どんなスイーツを作り出してくれるのか、非常に楽しみである。
そして、キャリーがこう言った。
「自宅でも作って下さいね、お兄さん」
言わずもがな。頼まれるのなら喜んで作りましょう。
親指をグッと立てて。「了承」と、答えておいた。
こんな感じで、子供達の世話をしつつ、色々な事をやって、一週間が過ぎた。
次は、男の子と神父を移動させないとな……。
プリンに関しては、最初ミスが少ない湯煎で作ろうと思いましたが、更に簡単に作れる。
[ゼラチン]を利用することにしました。
オーブン(焼き)で作ると、「す」ができて難易度上がるんですよねぇ。




