貴族の憂鬱
初の、ハジメ以外の視点です。
私の名は、ボルグ。このサドタの街を治める、貴族の父のサポートを主にしている。
いや、ほぼ内政は私がやっている……。父は、悪評を高める悪癖を持っており。
私が帰ってきた時も、父は悪癖を見せつけるように……褐色の肌の少女を弄んでいた。
「父上、このような行為は、あまり褒められたものではありません慎んで下さい」
「ふん、息子のお前が、ワシに口出しするでないわ……」
胡散臭い商人による、昼間の[氷の大陸ツアー]に、行ってわかったことがある。
あの胡散臭い商人の、二階堂ハジメは、我々貴族を敵視していることだ。
しかも、その原因が、今私の目の前で行われている。
嘆かわしい、誰かこの豚を、殺してくれないものか……。
私の母は、正室ではあるが。
この悪癖に、意見をあげた際に暴力で意見を封じられ、それ以上の言及はできないでいた。
「それはそうと、セカンタの町のエミリーとシェリーは、いつウチに来るのだ?
あの神父が、エミリーはシスターにすると言って断り続けたが、シェリーはそろそろ来る頃だろう」
…………。何を急に言いだすんだ。この豚は!!
あの男の、虎の尾を、この豚は踏もうとしている。
それだけは、阻止せねば。
あの男に暴れさせれば、こんな街一人で破壊されてしまうぞ。
あの男には、街の中を指定して動ける[転送魔法]を所持している。
即ち、この街は奴の射程圏なのだ。
それに加え……。あの練度の高い魔法。
まだあの男は、手の内を隠しているようでもあったし。
寝ている虎、いや龍を起こす必要はあるまい。
「父上、セカンタの町のシェリーは、良い殿方に養子として引き取られたそうです」
「なにぃ、あの神父め。私に譲らず他の得体も知れぬ奴に譲るというのか!!
今すぐ、シェリーをここに連れてこい」
「私どもで、シェリーの所在を調べますので、今しばらくお待ちください」
「うむ」
「それなら、エミリーはどうじゃ?シスターをしているんだろう。それなら強引に連れてこれるじゃないか」
……。
…………。
この豚が!!この街を、そんなに血の海に変えたいというのか!!
「お待ちください、エミリーさんは、良い殿方と出会われて結婚されて、今は教会におられません」
「そんな男など殺してでも、エミリーを連れてこい。今までワシを待たせたんだ、そう簡単に壊れんだろう」
こんな言葉を、あの男に聞かせたら。この豚の、命はないだろう。
「嫁ぎ先までは、すぐにはわかりませんので、調査してわかり次第報告します」
「まぁいい、あの教会には、キャリーがいたよなアレを連れてこい」
と言って、この豚は舌なめずりをする……。
「キャリーは、今年成人になるということで、新規に仕事を見つけ、独り立ちされたとの事です」
セカンタの町教会関連は、すでにあの男はの手の内である。
この豚の、好きにさせてはなるまい。
「何をーーー!!」と豚は怒り狂い。
少女に暴力を振るい、怒りを発散する。
「おやめください、父上」
「なんじゃ、ワシに意見するというのか!!」
と言って。父は、私に殴りかかってきた。
私は、ソレをそのまま顔面に受け。
「戯れは、そこまでにしてください。次はないですよ父上」
「不快じゃ、不快じゃ!!
兵よこの男を、地下牢に叩き込め」
兵士達は、顔を見合わせて「どうする?」と困惑していた。
「何をモタモタしておる、早く牢に叩き込まぬか!!
それとも、お前たちは首を落とされたいのか?」
兵士たちは、諦め私を捕獲した。
「すいません、坊ちゃん」と兵士が私に謝ってきた。
「仕方ないさ……気にするな」
「お前さえいなければ、口うるさい奴もいなくなるからな、2ヶ月後にワシはセカンタの町に行く用事があるので、その時に三人ともワシが連れてくる」
そんな父の言葉を聞きながら、私は地下牢へ投獄された。
……。
…………。
しばらくすると、執事のセバスチャンが、地下牢に降りてきた。
「やあ、セバス。すまないが、暫くここで大人しくさせてもらうよ。
それと、父が言っていた。2ヶ月後というのは何があるのだ?」
「あぁ、セカンタの町の新町長への挨拶に、当家は毎回参加されるのですよ」
と、セバスが答えた。
「父の言い分だと、私をここから2ヶ月の間、出す気ないと見える……。
もし1ヶ月以上私が、この牢から出されないようなら。
セバスちょっと待ってくれ、今から二通の手紙を書く、紙と書くものを用意してくれ」
「かしこまりました、急ぎ用意致します」と言って駆け足で地下を出て行き。
駆け足でセバスは、地下室へ戻ってきた。
「お待たせしました、ボルグ様」
「セバスはもう私の事を、坊ちゃんと呼んでくれないのだな」
と会話をして、紙とペンを受け取った。
まずは、母への手紙だ。
これには、投獄されてはいるが心配するなと。
次に、セカンタの町にいる二階堂ハジメへの手紙だ。
この手紙には、私の決意が書かれている。
私は、すでに城の地下牢に投獄されており。
父を止める手段がない、貴公に父が危害を加えるというのなら、迷わず討ってくれと。
「1ヶ月以上私が投獄されるようなら……。
この二通を、母と、セカンタの町にいる、二階堂ハジメに届けてくれ」
と言って、手紙をセバスに渡した。
「必ずや、お二人に届けてみせます。坊ちゃん」
と、礼をして懐に手紙を忍ばせて……。地下室を出て行った。
私が、内政をやらねば我が家の、評判は下がるだけになるではないか。
はぁ……。と頭を抱えていたら。
一週間もせず、投獄が解けた。
案の定、内政の悪化と、仕事をできる人間がいないため。
私に頼ってきたのである。
「坊ちゃん、この手紙は……」
「それを二人に、渡す必要があると判断した時に、二人に渡しに行ってくれないか?」
「かしこまりました」
軽くセバスと会話をして、私の部屋に入ると、天井にまで届きそうな勢いの、書類が私の机に乗っていた。
はぁ……こんな状態、地下牢の方がマシなんじゃないのか?
この街は、腐っている。私の手で、建てなおすしかない。
次に、あの男と会う日までに、色々と体裁を整えておかねばな……。
再び、あの男と出会う日まで、貴族の息子ボルグの憂鬱な日常が続くのであった。
本日は3話投稿になります。
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