貴族の息子
砂漠での狩りを終え、[転送魔法]で自宅へ帰る。
家に入る前に、[クリア]の魔法を使う。
自宅へ入り、寝室で睡眠につこうとした。
……。
…………。
寝れない……。
久々に狩りにでたせいもあり、気が立って寝付けない。
一人でも、いいから風呂入るか。
裏庭に移動し、脱衣所で服を脱ぎ。
誰もいないので、下半身にタオル一枚状態で、魔道具を利用して風呂を沸かす。
お湯が沸いて、水温調節してからお風呂に入る。
一人分なので、お湯があぶれることはない。
程よく体が、温まってきていた。
この浴槽にも、石鹸シャンプーと酢リンスが用意されていたので。
体と頭を洗った。
[クリア]の魔法もいいけど、やっぱり風呂入ったほうがスッキリするなと。
頭に浴槽のお湯を、かけながら感じていた。
お湯を、捨てて、浴槽をひっくり返して石窯に立てかけておく。
さっぱりしたこともあり、そのあとは、ぐっすりと睡眠をとることができた。
……。
…………。
見慣れた天井……。
朝か。
服を着替え、身だしなみを整えてから部屋を出る。
エミリーと、シェリーが飲食スペースにいた。
「おはよう、二人とも」
「おはよう、お兄ちゃん」
「ハジメさん、おはようございます」
「料理はテーブルに並べてるんで、食べてくださいね。
昨日、夜ご飯に、帰ってきませんでしたし」
「あぁ、ごめんごめん。二箇所狩りに行くとどうしても、時間が辛くなるんだよね。
そうだ、アイスタートルのお肉、捌いてもらってるから。冷凍庫に保存しとくね」
「ハジメさん、ちょっと良いですか……」
エミリーが、かなり真面目な表情してる。
「はい、なんですか」
「ハジメさんは、無理しすぎです。もう少し身体を、労ってください」
「いや、それもわかるんだけどね」
「狩りに行くなとは言いませんから、一日、片方だけ行くようにしてください」
「お兄ちゃんがね、家にいないとシェリー寂しいの」
「私も、寂しいんですけど、それは良いんです。
だけど昨日は、あきらかに疲れてたみたいですし、寝付けなくて、お風呂入ってたんですよね」
「あはは、バレてたか……わかったよ。狩りに行くのは、昼か夜かの、どちらかだけにするよ。
心配かけてすまないね、二人とも」
まったく、私の嫁さん達の優しい事。
男はATMなんじゃねーぞと、昔言ってたけど。
二人から心配されて、寂しいから帰って来てだって。
二人とも、可愛いなぁ……。
こんな状況をブチ壊すバカがいたら、ソイツに間違いなく[エクスプロージョン]ぶちかましてやるわ。
「ハジメさん、料理できてるんで食べてくださいね」
「はーい」と言って、朝ごはんを食べた。
「じゃあ、今日は昼は狩りに行って夜はお休みするね」
「はい、そうしてください」「晩御飯、一緒に作ろう、お兄ちゃん」
「あはは、良いねシェリーが、びっくりするの作っちゃうぞ」
ふふふ、裏庭の畑にジャガイモと、人参と玉ねぎは出来て既に収穫して冷蔵庫に保存してあるのさ。
[アレ]作るしかないだろ。
午前中の、雑用を済ませて、昼飯を食べてから、午後の狩りに向かった。
今日は、氷の大陸である。
いつもなら6時間コースだが、今日は早めに切り上げたいので、3時間コースでいいだろう。
最近、魔力操作をすることが多くなったため、魔法が効率的に威力出せるようになってる。
今までは、剣で止めさしてたが、レベルが上がった事と、[サンダーボルト]の威力強化により。
[サンダーボルト]のみで、アイスドラゴンを、仕留めれるようになっていた……。
とっとと、ドラゴン三匹見つけて、そこから探索するとしよう。
……。
…………。
時間一杯狩りをして、サドタの街のギルドに行った。
いつものように買取倉庫へ行ったら。
レクターさんが、話しかけて来た。
「よく来てくれたな、にーちゃんに、客が来てるぞ」
「は? どういう事?」
「それは、本人から聞けば良いだろう」
は?何言ってるのか意味がわからない等と、考えていたら。
昨日の、貴族風の青年が俺の前に立っていた。
あぁ、この人は、この街の貴族の息子だったかな。既に、情報は収集済みだ。
リストア様が、貴族続けれているのは、この温厚な息子が、いるからとまで噂がある。
「貴公が、昨日のドラゴンを倒した。と聞いたが、それは誠か?」
「違うんじゃないですかね?忙しいのですいません。失礼します」
と言って、その場を離れようとした。
「ちょっと待ってくれ、にーちゃん、その方の話を聞いてくれ」
ギルド長が、俺に静止をかけて来た。
「なんです? 不躾な上に失礼すぎませんか?」とレクターに耳打ちした。
「いや、そうなんだが相手がこの街の、貴族の息子でな」と耳打ちで返された。
「それで、ギルドは話を通したんですか、貴族様とか面倒なんで関わりたくないんですけど」
青年貴族に、ワザと聞こえるように言ってやった。
「ふむ、何か貴公の気に触る事をしただろうか」
「そういう事、白々しくよく言えますね……。ご自分の評判ご存知ないのですか?」
「あぁ、そういうことか。その評判の元は、私の父が原因だ。
アレの悪癖は、一向に治らなくて私も苦労している」
「は?貴族なんてどれも一緒……」と言おうとした所に、ギルド長が止めに入った。
「にーちゃん、ストップそれ以上言うな」
「何故? 私は、初対面の彼に、ここまで嫌われているのですか?」
「あー、それは、にーちゃんの嫁さんのせいだ」
勝手にウチの事情を、青年貴族にレクターが話していた。
俺が貴族を嫌う理由を聞いて、青年貴族は顔を青くしていた。
「馬鹿か、父上はこんな化け物を、敵に回す気なのか……」と、小さく呟いていた。
「全面的に、私が悪かった。
父の悪癖については、治すよう努めるので、今回は、話を聞いてもらえないか?」
「話聞くくらいは、良いんですけど挨拶もなしですか?
礼儀のない奴は、無視するって決めてますんで」
ギルド長が、慌てている。
「すまなかった、私の行動が全面的に礼を欠いていた申し訳ない」
「そうですか、それがわかってよかったじゃないですか……。
それじゃレクターさん、今後このギルド使いませんのでー。今まであり……」
レクターの全力で静止が入った。
「ちょっと待ってくれ、にーちゃん、それだけは本当に困る」
「困るも何も、かってに人の情報流すのは、いかがなものかと?」
「二階堂 ハジメ君だったな、この件は私が頼み込んで、了承してもらったのだ。
ここのギルド長に、非はない」
「非のあるなしで、商売はできないんですよね。
信用なくせば、それで商売はおしまいです」
と、ギルド長を睨みつけた。
「君は、何がそんなに許せないんだ?」
「人を訪ねて来て、挨拶もしてこないような奴と、話する気は無いね」
「あくまでも、貴公は私を、貴族として見る気は無いと?」
「貴族として見るのなら、既にこの場を離れてますけど?
親だろうが息子だろうが、身内の恥を止めれない奴と話したくもありません」
「わかった、私が折れようじゃないか。
私は、この街の貴族をやっているリストア侯爵の息子のボルグだ」
「挨拶できるじゃ無いですか。
私は、セカンタの町でしがない商売人をやっている、二階堂ハジメと言います。以後お見知り置きを」
ふぅー。相手が、噂通りの温厚な奴で良かったよ。
話をするにしても、相手にマウントを取らせたら、権力で潰されるからな。
まぁ、本人でなくても敵視してる件は、十分に伝わっただろう。
「それで、ボルグ様は私のような、しがない商人に何の御用でしょうか?」
「しがない商人などと、白々しい嘘つきますね……。
セカンタの町で、大商いを、やっている商人の名前は知ってますよ」
「すいませんね、まだ貴方を、信用してはいませんので」
と笑顔で返した。
「手厳しいね……」
と続きを言おうとした所を遮った。
「ふざけるな!!
人の嫁を、性奴隷にしようとする、クズの息子と話しさえしたく無い!!
スミス神父からも、リストア侯爵の非道を聞いてるからな……」
と、敢えて感情的に、なっている振りをしてみせた。
「君は、私から何か条件を引き出そうとしているのかい?」
「へぇ……。それが、わかるんならたいしたものですね。
商人ですから、利なければ動きませんよ」
「貴公に利に、なるかどうかはわからないが……。
今回の件で、貴公が力を見せてくれるのなら。私の父が、貴公に敵対した際、父を討ってもらってかまわない。その場合は私も、父を全力で止めるのでな」
「今回の件って、なんですか?」
「あー、にーちゃん。ギルドから依頼だ。
ボルグ様を連れて、氷の大陸での狩りを、明日にでも見せてやってくれ」
「もし、嫁や従業員一同に手を出したら容赦しませんから、覚悟だけはしておいてくださいね」
「私も、アレには手を焼いているのだ……。アレの存在のせいで評判が悪くてな」
父親を、アレ扱いか、このボルグとかいう貴族も、苦労してるんだな。
まぁ、同情はしないがな……。
「わかりました、明日の昼過ぎに、ココに来てください。
防寒具は、自分で用意してくださいね」
と言って、ギルドを離れ自宅へと帰宅した。




