匂いでバレる。
気、気まずい。
エミリーが起きてないのを信じて、
扉の鍵を開けるために鍵を差し込む。アレ?鍵は開いてる。
電気も付いてる……。エミリー、もしかして起きてる?
ゆっくりと、扉を開け部屋を見回す……。
よし、誰もいない。
足音を立てずに、こっそりと寝室に入る。
「ふぅ……」
緊張のあまり、息を吐いた。
2時間程度でもいいから、布団に入るか……。
掛け布団を開けると、エミリーが布団に入っていてこちらを見ていた。
あぁ……。最初から気づかれてたのか。
「ハジメさん、布団に入らないんですか?」
……。
…………。
無理、もう耐えれない。
「ごめんなさい」
「何が、ごめんなさいなんです?」
ひぐっ!!追求された。
土下座したら許してもらえるだろうか。
多分無理だな……。
「あの後、酒場に連れていかれたら、そこが連れ込み宿でした。
酔っていたため記憶がありません。朝起きたら、となりに裸のお姉さんが寝てました」
「色々したんですか?」「本番はしていないみたいです」
「ハジメさん、ベッドに座ってください」「はい」
抵抗もせず、エミリーの指示に従った。
エミリーが、俺に顔を近づける。
匂いを嗅いでるみたいだ……。
「お酒の匂いと、女性の匂いがしますね」
「ほんと、ごめんなさい」
「ハジメさん、そんな顔しないでくださいよ。今回の件は許しますから、次は気をつけてくださいね」
「ほんと?」
「反省してるみたいですし、許してあげます」
広い、広い心の持ち主だエミリーさん、
俺は、素直に嬉しいと思い、抱きつこうとしたら拒否された。
「他の女性の匂いさせたまま、抱きつかないでください」
「ごめんなさい」
「ハジメさん、今日は、ごめんなさい禁止です。
反省してるのはわかりますけど、もっと堂々としててください。
ギルド長達の、軽い悪ノリもあったんでしょうし……。
そうだ、ハジメさん、まだ時間ありますし、お風呂に入りましょう」
エミリーが、笑顔で提案して来た。
あぁ、なんとなくわかる、内心は怒ってはいるんだろうな。
今後は、軽はずみな行動は控えるとしよう。
「はい」
二人で、お風呂に行き、お湯を張ってから、身体を洗ってもらった。
それから、色々ご奉仕してくれたため……。
お姉さんの匂いは取れたが、エミリーの匂いが付いた気がする。
お風呂から上がり身体を拭いて、二人とも部屋に戻った。
エミリーが、いつものように、朝ごはんの準備している。
シェリーが、起きて来た。「お兄ちゃん、おはよう」
「おはよう、シェリー」
朝イチで、俺に抱きついてくる。
可愛い子だなぁほんと……。
いつもと、違う感じに気づいたのか。
「今日のお兄ちゃん、なんかヤダ」と言って、俺から離れた。
シェリーも、小さいながら女性なのだ。何が察しているのだろうか。
エミリーが、朝ごはんを用意してくれてそれを食べて、三号店に向かった。
とりあえず、二時間でアイスを作らないと……。
オープンまで、2時間あるがアイスを作っていなかったので、急いで在庫を作る必要がある。
昨日から、牛乳商品とアイスが、売れるようになったので在庫を少し増やしとかないとな。
生クリームと卵と砂糖を混ぜて、金属の容器に入れて混ぜる。
そのまま冷凍で作るなら、5時間ほどかかるが、そんな時間はないので魔法を使って
金属の容器の温度を直接下げる。
固まりかけたら、また混ぜる……。これを繰り返し。1時間ほどでアイスの完成である。
牛乳も販売用に、最初から金属容器に混ぜて入れておく。
アイスと牛乳を作り終えた後に、二号店の倉庫の在庫補充や、三号店のアイテムなどの在庫補充を行った。
営業時間には、なんとか間に合うことができた。
エミリー達のいるテナントに入って様子を見ているが、
エミリーはご機嫌、シェリーとキャリーは不機嫌である。
イマイチ、不機嫌な理由がわかってなかったので、直接キャリーに確認した。
「なんで 今日は、キャリー不機嫌なんだ?」
「えっ?」この人わかってないのって、表情やめてくれませんかね。
「社長から、女の匂いがしますよ。
朝から盛るのは、よした方がよろしいかと」
それを感じて、今日は、女性陣から扱いが悪かったのか……。
狩りにも、行ってないが [クリア]の魔法で、一度身綺麗した。
この場所に、私がいると拙いなと察し。
となりのテナントスペースに、隠れるようにして逃げだした。
はあ……。今日は反省点だらけだな。
ごまかすにしても、[ヒーリング]と[クリア]は、使っておかないと女性にはバレるって事だな。
お客さんが、このテナントにも集まり始めた……。
看板もないしノボリも立ててないので、完全に口コミとリピートだろう。
本日の予定分の、アイスと牛乳商品を売り切ってしまった。
今から、明日の分のアイスと牛乳の仕込みを初めておこう。
今回の仕込みで、牧場から仕入れた、牛乳と卵は使い切ってしまった。
どうせ、売り物もないし、農場に仕入れに行くか。
今日は、バツも悪いし……。
[転送魔法]で牧場へ移動して、建物の中に入った。
「すいませーん、ライルさんいますか?」
「おう、ちょっと待っててくれ」
……。
…………。
「よう、商人のにーちゃんまた来たか」
「在庫が無くなりましたので、再入荷に来ました」
「予定より一日早くないか?」
「仕込みに明日の分を今日使うんで、明日、仕込む分ないんですよ」
「なるほどね、それで今度は量はどうする?」
「前回の倍下さい、売上の見通しが立ったので」
「おう、準備するからちょいと待っててな」
と言って、ライルは建物の奥に入っていった。
しばらく待っていると、従業員と共に牛乳と卵を揃えてくれた。
「代金の支払いは、今回から月末払いだったよな」
「はい、それでお願いします」
と言って、集められた牛乳と卵をマジックバッグ(仮)に入れる。
「それじゃ、次は上手く売り切れれば三日後に来ます」
「おう、いい結果を期待してるよ」
と言われて、この場を離れた。
材料は増えた、しかし生産量が増やせないと意味がない。
そうなると、次に、行くのは金物屋だ。
金物屋に売ってある、金属製の容器を複数購入して、次回の支払いの際に今回の代金も、まとめて支払う形にした。
外での業務が終わったので、三号店へ戻って来た。
建物の中へ入り、すぐに牛乳の販売テナントで、商品製造作業を再開した。
一通り、翌日の準備が済んだので、見回りをすることにした。
まずは、屋上からだ。
キャリーが、屋上のチェックに来ていた。
うぅ……、気まずいな。
まぁ、話しかけないのもアレだしな。
「あの、社長」
先に、キャリーから、私に話しかけてきた。
「ん? なんです?」
「今朝の事なんですけど、スイマセン言い過ぎました」
「あぁ、私もその件は、反省してるから大丈夫だよ。
女性は、匂いに敏感なんだなと」
「いや、社長の場合はそれだけじゃないと思いますよ」
「えっ、私もしかして、女性陣に嫌われてたりするのかな……。
流石に凹むかも」と言ったら。
「本当に、エミリーとシェリー以外には、鈍感ですよね」
と言われて、キャリーに呆れられた。
「それじゃ、失礼します」
と言って、キャリーは屋上を出て行った。
うーん、よくわからん。
私は、鈍感系じゃないと思うが、こんな状況[魔法使い]にゃ理解不能だ。
イマイチわからない事に、悶々としながら、1日の勤務を終えるのであった。




