歓楽街を見つけた。俺は、その場を逃げ出した。
お祓い(御布施)の相場はだいたい、3000~10000円って言われてますけど。
実は、上限はないんですよね。
お気持ちに上限はないでしょうと言われたら納得してしまった。
ギルドから出て、すぐの近くの借りた物件へ移動し、お店をどのようにレイアウトしようかと考えた。
一階で調理をするスペースが必要かな?
建物に、お店の看板を作るか?
いや……。お店の入り口の前に、ファービレジで使っていた屋台を置いて、お客さんのギルドに来るお客さんを呼び込みをしつつ。
お客さんが食事する為のスペースとして、一階を全て使ってしまおう。
冷蔵スペースとかも欲しいが、それはゆくゆく考えるとして、まだ商品を増やす必要もないので、その辺りの事はのちほど考えよう。
とりあえず、食事スペースに必要なものは椅子とテーブルだな。
食器なんかも持ってきているが、露店で使っていた分を使えば足りるかもしれないが、買い足しておこう。
そして、階段を使い建物の二階へ移動する……。
二階は仕切りも何もない広間という感じの部屋だった。
二階を住居として利用するのなら、改築する必要があるかもしれない。
少なくとも、お客さんが入れないように二階の入り口に扉と鍵は最低でも必要だ。
それと一度は、この建物全体の大掃除をしないとな……。
とりあえず、二階にベッドだけは置いておこうと決めた。
次の買い物候補は、食器と寝具、後は掃除用具って所かな。
これからの必需品に、なりそうなものをピックアップして、その日はセカンタの町を探索をすると決めた。
出かける前に入り口に屋台を設置して、買い物に出かけることにした。
町を徒歩で見て回る。
途中、道具屋で生活用品や掃除道具等を購入した。
店の露店に出ている、串に刺した肉を見つけ興味を示した。
ビッグフロッグの肉串かぁ、焼き鳥みたいなもんか……?
フロッグ? カエル? まぁ、カエルの肉は鶏肉に近い感じと聞いた事もあるし試しに食べてみるか。
「おっ、お客さん買っていくかい?一本2ゴールドだよ」
「それじゃ、一つ買おうかな……」と言って、2ゴールドを露天商に渡した。
代金の代わりに肉串を渡され、試しに食べてみる。
味付けは、塩のみであっさりと仕上げてある。
うーん、食べた感じ鶏肉に近いな……。
美味しくはあるけど、少し物足りない感じもする。
これなら、もう少し胡椒を効かせれば、もっと美味いような気がする。
「塩だけでも美味いが、胡椒とかは使わないのかい?」
「お客さん。何の冗談だい胡椒なんて高級品をこんな露店で使えるわけがないよ」
「そうなのか……」
「せっかくだし、もう一本貰おうか……」
「まいどあり」
「ところで、主人。
私は、この町に引っ越したばかりで、この町に詳しくないので少しお店を教えてもらえないだろうか?」
「ああ、自分が知ってる店なら教えれるよ」
「助かるよ。
ベッドが欲しいので家具屋と、食器が欲しいので食器屋はどこに行けばいいかな」
「それなら、この先に食器屋があるよ」と言って、食器屋の方を指差して教えてくれた。
「あと、家具屋はここから反対の方に行った所で、教会を過ぎた所にあるよ」
「そうか、ありがとう。先に食器屋に行ってみるよ」と言って、その場を去った。
そんな感じの食べ歩きなども楽しみながら情報収取を進めた。
この辺りかな? しばらく歩いた先に食器屋があった。
そこで、食器を購入して[アイテムボックス]へ入れた。
マジックバッグと、ごまかしてアイテムボックスを使っているので、店員には不思議には思われなかった。
そして、食器屋を離れた。
うーん、ここから正反対かぁ。結構、距離がありそうだな……。
教会がある所の先って言ってたよな、まずは教会目指して歩いてみよう。
……。
…………。
うーむ、結構歩いたが教会らしき建物が見当たらない。
マップを開いて見てみると、いろんな建物が道中に点在していたが教会は無かった。
もう少し歩いてみるか、あっ!! 教会みたいな建物を見つけた。
教会を通りすぎもうとした時に、教会の離れに別の建物を見かけた。
あれって、なんだろうな……。
おっと、教会はあくまで目印で家具屋を探してるんだった。
教会の近くで身形はそれほど良くないが、子供達が遊んでいた。
可愛いな……と、つい子供達を見てしまった。
いかんいかん、日本だったら通報案件にされてしまう。
(実際は、16歳の身形なんでギリで大丈夫とは思いますがね)
更に、先へ進むと家具屋があった。
家具屋に入ると「いらっしゃい」と、店員に声をかけてもらった。
「知らない顔だけど。
こんな離れの家具屋まで、よく来たね」
「あぁ、フロッグの肉串売ってる。
露店で家具屋の場所を聞いたら、ここを紹介されまして」
「あぁ、アイツか。あいつは俺の友人なんだよ」
「あっ、そうなんですか……」
「おっと、今日は何を買いに来たんだい?」
「ベッドと布団をセットで買いに来ました。
配達とかはしてもらえますか?」
「配達は別料金だけど可能だよ」
「そうですか、よかったです」
流石にバッグ以上の大きさを、[アイテムボックス]に入れると疑われるので、配達を依頼することにした。
屋台をアイテムボックスに入れた時は人がいなかったのでやれたが、今は店の中だからやらない方がいいだろう。
「ベッドはどんなのがあるんです?」
私は寝相が良くないほうなので、ベッドはそれなりの広さがあるほうが有難い。
本当は畳部屋があるといいんだが、今の現状で趣味の為にスキル取るのは愚策だろう。
趣味系の道具も、ゆくゆくは欲しいと思うが今は我慢だ。
寝相の悪さ回避の為に、二人でも使えそうな大きめのベッドを購入した。
「お客さん、その若さで奥さんがいるのですか?」と、ダブルベッドを購入したので聞かれてしまった。
「いや、まだ独身さ。今度は、いい人に巡り会いたいねぇ」
「ん?」と、困惑されたが話を進めた。
「あぁ、私が寝相悪くてね。シングルだと転げ落ちそうだから。
お金に余裕があるんでダブルベッドを買っているだけだよ」
「変わった人ですね……」と、言われてしまった。
「失礼しました、失言でした。すいません」
「ああ、いいんだよ。
自分でもわかってるから……で、いくらかな?」
「配送料込みの500ゴールドです」
まぁ、こんなものだろと思いそのまま購入した。
「どちらにお届けしましょうか」
あっ!! 住所とか知らないぞ。
近くに有名な建物でもあれば説明しやすいのに、そうだギルドあるじゃないか。
「場所は、ギルドのすぐ隣の建物です。
ギルドの近くで空き物件借りて飲食店始めるんで、よかったら来てください」
と言って、代金を渡した。
「今からだと今日の夕方過ぎに、運び込めると思います大丈夫ですか?」
「寝る前に届けばそれで十分さ。
申し訳無いけど、一階はお客さんのスペースだから生活スペースの二階に運んでくれると助かる。
ベッドの位置は階段から少し離してもらえると助かるかな。
今日は、もう少し町を見て回りたいから。
私がいなかったら、勝手にベッドを運び込んでいてくれていいよ」
「建物に鍵は、かかって無いんですか?」
「まず盗むようなものを置いてない」
アイテムボックスあるしな……。
「あと、その建物の前に[ハンバーガー]って、文字を書いた屋台があるから、それを目印にしてくれるといいよ」と言って、家具屋をあとにした。
そういえば、近くに教会があったな。
神頼みってのはアレだが、せっかくだし商売繁盛を祈願して寄ってみるか。
俺は教会に入った。
大きな女神の像が建物の奥にある。
あれっ? あれって俺を出荷しやがった女神の像だ。
あの人、ちゃんとした女神だったんだな。
運命がどうとか言ってたが、きっと食肉加工かその辺の女神さんだろ。
(この男、罰当たりである……。)
シスターが、こちらに気づき近づいて来る。
「この教会へ、どんな御用ですか?」と、訪ねられた。
「今度、この町のギルド前で出店するんで神様にお願いしようかなと思いまして。
すいません、この女神像の女神様はどんな方なのですか?」
「この像はノルン様の女神像ですよ、運命を司る女神様です」
「へぇ、そうなんですね……」
食肉加工の女神じゃなかったか。
「貴方が商売繁盛できるよう、お祈りを捧げてもよろしいですか」と聞かれたので。
「お願いします」と、言ったら。
シスターさんに、お祈りされてしまった。
もとより、神社に来て賽銭は出す位の気持ちで教会に来たので、お祈りされてしまったので寄付をさせてもらうことにした。
お祓いなんかを依頼すると、お気持ち相場の5000円〜10000円だったっけ。
100ゴールドをシスターさんに寄付として手渡したら、驚かれた……。
「なんと言う、慈悲深い方なのでしょう」と、シスター感謝してくれている?
アレ? 渡す金額間違えた?
よし、よくわからない。
この場を去ろうと思った矢先に、
「商売を始められると聞きましたが、人手は足りてますか?」と、シスターが質問してきた。
「あいにく、商売自体は一人でなんとかなると思ってるけど。
あえて言うなら、新しく購入した建物を掃除する人を探してるかなぁ」
「この教会は孤児院を併設してまして、簡単な事なら子供達もできますから、雇っていただけませんかね」
あぁ、子供達がいたのはそう言うことか。
羽振り良く金出したから直球で攻めて来た感じかな、このシスターさん。
「うーん、子供を働かせるのはなんか抵抗があるといいますか。
機会があれば、その際はお願いします」と言って、教会を離れた。
子供達が遊んでいる。働かせるのはちょっと違うよなぁ。
そのまま、家路に帰ろうと歩いていたら迷ってしまった。
夕方を過ぎてしまい、マップを見てみると家の方向とは違う方へ向かっていた。
それはそうとして、ここって……。
ヤケに、色気のある女性が多いし、なんか他の男性がソワソワしてるぞ。
薄着の女性が俺のことを誘って来た。
「そこのおにーさん、いいことしましょ」
えっ!? 何事!!
服が薄くて視線に困るって。
「いえ、結構です」
「残念……」
ここ、歓楽街だ。
入った道をまっすぐ戻り、マップを見ながら帰宅して、お店へ戻る頃には辺りが暗くなっていた……。
今回は、歓楽街から脱兎のように逃げ出しましたが、
いずれ行くようになります。だって男の子だもん。(笑)