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何か足りない

 オープン当日によくある、準備漏れによる。

 忙しさも、なんとか対応して、営業終了まで三号店の見回りを続けた。

 色々と施設を回っていたが、とある事が引っかかっていた。


 この施設には、何かが足りない気がする……。


 来客? 十分すぎるほど来ている。

 スタッフ? 初日にしては皆頑張ってくれている。

 利益? 正直 クズ魔石で、水を作ってるだけなので、ほぼ利益だ。

 経費? 人件費が主な経費だ。営業するなら理想すぎる状況だ。

 風呂? まだ大浴場だけだが、十分に、目新しいはずだ。


 なんだろう、この物足りなさ。


 昔よく行っていた。銭湯を思い出してみるか。

 水風呂? 泡風呂? 電気風呂? 露天風呂? サウナ? 違うな。


 私が、銭湯に行ってよくやる行動は……。

 あっ解った、風呂上がりに、牛乳を自販機で購入して飲む。

 私の感じていた物足りなさは、それだ……!!


 この世界に、自動販売機設置したら拙いよな。そもそも日本の通貨はないんだし。


 見回りスタッフの増員して、脱衣所の入り口に、牛乳の販売スペースを作るか?

 ウチの店らしく、屋台を脱衣所の入り口につっこむか?

 男湯、女湯ともに、脱衣所の入り口のところには、

 配線を壁に隠してるんで、コンセントを付けて冷蔵庫を起動するくらいは出来るな。

 久々に、屋台営業してみるか? イヤイヤ、流石に脱衣所で飲食物売るのは拙いな。


 そうだ、空きテナント使って、ドリンクを販売するか。


 フルーツ牛乳はコーヒー牛乳は、異世界取引のスキルを利用して作る事にする。

 異世界取引で、[フルーツジュース]と[コーヒー]の二つを指定して、

 紙パック入りの物を購入するとしよう、そして牛乳と混ぜて販売する。

 紙パッケージは、三号店の裏の焼却炉で燃やせばいいし。

 反応をみて、脱衣所で屋台出すか考えよう。


 牛乳は、普通に飲料として流通していたので、その辺りが元いた世界の中世と違うところだろう。

 魔法(魔道具)があるから、普通に流通していても不思議ではない。


 問題となるのは、新鮮な牛乳を大量に、確保する必要がある事だ……。


 どこで生産されてるんだ? 牛乳は?

 今まで、いくつか町を周ったが、酪農をしているところは見かけなかったぞ。


 うん、わからん。わからない時は聞こう。

 見回りは一度中断して、エミリーに相談しにテナントスペースへ移動した。


 シャンプー販売のテナントに、普通に列ができている。

 シェリーは、製造をやっていて、エミリーは、販売を行っていた。

 私も販売の手伝いに入り、販売を手伝った。


 なんとか列がはけて、一息つく事が出来た。


「ハジメさん、ありがとうございます」


「どういたしまして、三人だとちょっと厳しいかな?」


「基本的には、大丈夫ですけど。

 キャリーさんが、見回りや店長業務に入った際に、列ができると少し厳しいですね」


「そうなんだ、休みとかの件もあるし。人員補充検討しますね」


「それは、そうとハジメさん見回りは終わったんです?」


「エミリーに聞きたい事があってね、ここに来たんだった」「なんですか?」


「この町って、調理用と飲料用に牛乳を普通に販売してるよね?

 この町の牛乳って、どこで仕入れてるのかなと思ってね。知りません?」


「それなら、ファービレジの村の南に行ったところに、牧場があるんですよ。

 この辺りの牛乳は、魔道具で冷やして、そこの牧場から持ってこられてますよ」


「ファービレジの村には、一時期いたけど意図して南には行かなかったから。

 村の南に牧場が、あるって知らなかったよ。

 ありがとう、今から行ってみるよ」


「また、何か思いついたんですね……」「あはは、バレてーら」


「それじゃ二人とも少し、お店を空けるけど引き続きよろしくね」

 と言って、この場を離れて、[転送魔法]でファービレジの村へ移動した。


 せっかく、この村に来たんだし。

 ギルド長と、宿屋の人達と会っていくかな。


 どうせ、いつもの事だ。

 ギルド長は、[奥の宿]の食堂にいるはず。

 ギルド長が、最初から居ると決めつけて、奥の宿へと向かって行った。


 食堂は、相変わらず人の列である。

 もう昼飯どきは、すぎてるんだけどなぁ。


 列に並ぶことはなく、いつものように、関係者としてお店に入った。


「いらっしゃい、って。今日は商品の仕入れじゃないよね?」


「あっ、どーも奥さん。

 丁度この村による機会が、あったんでギルド長と奥さんに、新店舗をオープンしたので挨拶しに来ました」


「ギルド長なら、いつもの場所にいるよ。

 それで、新店舗ってなんのお店だい?」


「セカンタの町で、一般向けに湯浴みができる、大衆浴場施設を作ったんですよ」


「あら、良いわね。今度旦那と一緒に行こうかしら」


「それでしたら、お店で私を呼んでくれれば、代金の一部割引しますよ」


「あら、それなら。お休みの日作って、いつか行きたいわね」


「お待ちしてますよ。それじゃこの件を、ギルド長にも伝えるのでこの辺で失礼しますね」

 と言って、奥さんの前を離れ、ギルド長の前へ移動した。


「ギルド長、お久しぶりです」


「やあ、ハジメ君じゃないか。この前は、大金の支払いありがとうな」


「いいえ、私としても羽衣が残っている事が重要だったんで、お互いの意見が噛み合ってるので。

 これが商売だなと、実感出来ましたよ」


「それにしても、このお店いつも以上に客多いですね」


「ああ、それはほぼ、ハジメ君が原因だよ」「えっ、どういうことです!?」


「今までは、価値の付かなかったクズ魔石を君が、低価格であるが買い取ってくれるようになったので、

 ギルドも利益が出る、冒険者も魔石をギルドに持ってこれる」


「それもあって、スライム狩りしかしない冒険者でも。

 外食で、食事が取れるようになったということですね」


「まぁ、そういう事だね。それで今日は何の用なんだい?」


「二つ要件がありまして、一つはセカンタの町に新施設をオープンしたのでそれを報告ですね」


「どんな、施設なんだい?」「一般向けの、湯浴みのできる大衆浴場の施設を作りました」


「ほう、それは面白いことを考えたもんだ」「はい、なんで機会があれば是非遊びに来てくださいね」


「解った。セカンタの町に寄る機会があれば行くとするよ」「はい、お待ちしてます」


「それで、二つ目の要件は何かい?」


「二つ目の要件なんですけど、この村の南にある牧場さんに、紹介状出してもらえませんかね?」


「あぁ、そういうことだね。良いぞ君には、かなり稼がせて貰ったからな」

 と言って、ギルド長が紹介状を書いてくれた。


「これを、持っていけば牧場主さんも話聞いてくれるはずだよ」


「ありがとうございます。助かります」と言って。その場を後にした。


 ファービレジの村を出て。1時間程村を南に進んでいくと。

 柵が建てられていて、まっすぐに進めない。

 柵が、横に長く続いている。


 流石に、柵を乗り越えるのは拙いだろうし、柵に沿って歩いてみるか……。

 途中に、柵と柵に挟まれている、通路があった。


 看板が立ててあり。

 [卵・牛乳を、お求めの方は通路をまっすぐ]と書かれていた。


 ここで、間違い無いようだ。

 通路をまっすぐ進むと、柵越しに、牛の姿が観れるようになった。

 これぞ、酪農って感じだな。


 更に、しばらく進むと建物があった。目的地は、ここか……。


 建物に入り、

「すいませーん、誰か、いらっしゃいませんか?」と言ってみた。


「あぁー、はいはい、少し待ってくれ」

 と男性の返事が聞こえた。


 ……。

 …………。


 奥の部屋から、筋肉質な男性が出てきた。

「待たせて申し訳ない、どんな要件だ?」


「はじめまして、私は二階堂始と言います。商人をやってまして、そちらで牛乳を作られていると聞きまして取引させてもらおうと思い。ファービレジの、ギルド長からこちらの農場のご紹介を受けました」


 ギルド長の紹介状を、男性に渡した。

 紹介状を読み、納得した様子だ。


「俺は、ここの農場長のライルって言うんだ。よろしくな商人のにーちゃん。」


「あっ、よろしくお願いします」と言って、頭を下げた。


「それで、どれくらい牛乳がいるんだ?」


「とりあえずは、最初は20リットル程お願いしようかなと思ってます。

 売れ行き次第で、量は増えていくと思いますので」


「思ってたより少ないんだな」


「いえ、新鮮な牛乳が欲しいので回数を分けて、取引させてもらおうと考えてます」


「ほう、と言うことは、かなりの上客になってくれるって事かい」


「あー、それと卵も、販売されてるんですよね?

 それも、買わせてもらえませんかね?」


「おう、良いぜ、どれくらい必要だ?」


 と、卵の取引もトントン拍子に進み、卵も取引をすることになった。

 今回は、初回の取引なので現金で支払い、次回以降の取引は、月末払いの約束を取り付けた。


 取引が終了し、現金と物品(牛乳と卵)の交換が終わり。


「おう、商人のにーちゃん。またよろしくな!!」


「はい、こちらこそ。よろしくお願いしますね」

 と言って、この場を離れ[転送魔法]で、三号店へ移動した。

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