盛況の裏側で……。
なんといっても、
商売やる上で一番経費がかかるのが人件費……。
ここを少しでも抑えようとしているのが、
努力しようとしてるのが世の社長さん。
努力が、搾取に変わった時、ブラック企業が誕生する。
けど、当の本人はブラック企業って思ってない……。
パターンも多々あるみたいです。
毎日が忙しい……。
何故だ? 俺は楽がしたかったはずなのに、こんなに働いてるんだ。
初出店から2週間ほどたった段階で、昼間には行列ができるようになった。
夜も出店してくれという話もあるが無理だ。
俺一人で、そんなに働いていたら体を壊してしまう。
そんな、休みなしの状態が一ヶ月ほど営業を続けている。
ポテトのみの販売も希望されたので、200gで2ゴールドで販売。
ハンバーガーとコーラのセット売りの場合は、200gでポテト1ゴールドにして、更にお得感を出して販売したらランチとして、お店を使う人が増えたのである。
所持金も、すでに元の所持金(5000ゴールド)の2倍以上になっている。
よし、明日は休もう……。
夕方になり今日の営業は終了したので、お店を閉めて、メニュー表の立て看板に、[明日の営業はお休みします。]と、書き込んだ。
宿屋へ帰り食堂へ行く、奥さんが浮かない顔をしている。
「どうかしましたか?」
「最近、昼の売り上げが下がっちゃってねぇ……。
なんかギルドの前の露店に、お客が集まってるみたいなのよ」
「そうなんですか……」
ギルド前の露店……。ん?
売り上げが落ちた。俺の露店の売り上げ絶好調。
「あぁ、それ俺のせいです。
俺がその露店の店長です」
「ギルド前の店は、お客さんの店だったのかい」
もともと、この村は小さな村なのである。
そこで牌を食ってしまうと他所のお店に影響するよなぁ。
客の身分ではあるが、一ヶ月も世話になっているんだ、この店に迷惑かけるのはしのびない。
「この宿屋には、お世話になってるんで迷惑かけたくないですし、露店は閉めた方が良さそうですね」
「いや、お客さんも商売なんでしょ。そういうわけにも」と、奥さんが答えた。
ど、どうしたものか、むむむ……。
むむむ……。
あっ、思いついた。
露店の利益の大半を、占めるのがコーラである。
この店で、コーラを販売してもらえばいいんじゃないのか?
冷蔵は魔法でなんとかなるだろうし……。
ハンバーガーは流石に出来立てじゃないとイマイチなので提案しないとして、それに、提案したら俺のスキルの異常さがバレてしまう。
「あー、提案なんですけど。
うちの露店の一番人気の商品をそちらで仕入れてくれません?」
「うちの店だと500mlのビールジョッキに、氷入れて300mlのコーラ注いで、一杯2ゴールド取ってたんですけど、そちらに、1.5ℓで3ゴールドで一本お譲りします」
「値段は、それ以上は下がらない?」
「下がりませんね、流石に……」
こちらとしても、主力を売ろうとしているのだ値段を下げれるわけがない。
「その商品を買いましょう。
そちらの露店での売り上げの三ヶ月分仕入れるわ」と、大口の注文を頂いた。
「流石に、この村では商売できなので、一旦大きい街にでも出ようかなと思います。
折を見て、この村にきますんで、その時に仕入れて貰えれば良いかと」
「なんか、申し訳ないねぇ」
「流石に、奥さんに浮かない顔されてまで、商売したいとは思いませんよ。
それに、大きい商談できましたし、実働を考えれば儲けものなんで構いませんよ。
そしたら明日、商品持ってきますんで、よろしくお願いします。
それと、試しに一本飲んでみます?」
自分で飲むように、購入していた500mlの2本のうち一本を奥さんに渡した。
自分が先に蓋を開け飲んで見せて、奥さんがそれに続けてコーラを飲んだ。
「不思議な感じだねえ、これは……今までにない飲み物だね。
お客さんが作ったのかい?」
「そうですね、俺の(世界の店舗)商品です」
異世界から輸入してるとか言うより、作った事にしておいた方がわかりやすいし、そういう事にしておこう。
「あっ、そうだったお客さん。ご飯食べに来てるんだよね」
「そうでした」
そのあとは夜ご飯を作ってもらい、それを食べ終えて、そのまま宿屋へ戻り睡眠についた。
そして、朝になり起床した。
今まで世話になったし、ギルドに挨拶行くかな。
そのまま宿屋を出発し、ギルドへ向かった。
ギルドに入ったが、あいかわらず明暗がはっきりと分かれてるギルドの受付である。
まぁ、色々と世話になったのと、軽くコーラ中毒になっている男性受付さんに移転の話をすることにした。
「えっ!!コーラ飲めなくなるんですか!?」と、あからさまに驚いてる。
それを聞いて、周りもざわついている。
この村の宿屋の食堂にコーラを卸すことになったので、そこで購入できると伝えた。
「あー、この村の[奥の宿]さんですね」
ざわついていた周りの雰囲気が、なんとか落ち着いたみたいだ。
意外と、コーラ中毒者多かった!?
「それで、大きい街にいこうと思ってるんですけど、どう行けばいいですかね」
「あぁ、それなら、この[ファービレジ]の村から、街道が北に向かってるので街道に沿っていけば[セカンタ]の町があるよ」
えっ、この町って、ファービレジって名前だったのか。
あと、宿屋の名前は奥の宿だった。
「また、この村にコーラを持ってきてくれるんだよな?」と、真剣な表情で聞かれたので。
「そのつもりですよ……」と、答えておいた。
「そうか、なら大丈夫だ。
それなら、セカンタの町のギルドに紹介状を出してやるよ」
なんか、受付の男性が紹介状を書いてくれることになった。
受付の男性の紹介状に、それほど効果があるとは思えないが、好意を無駄にするのは失礼だし素直に受け取るか。
「ありがとうございます」と言って、男性受付の書いてくれた紹介状を受け取った。
ん?[ファービレジ]ギルド代表 …………という肩書きが書いてある。
え?この人ギルド長!?
あぁ、思い当たる節はあるなぁ。
隣のお姉さんが案件をぶん投げた件といい、ギルドの所有地の使用許可出してくれた事とか。
まぁ、この人にも世話になったから、商品を切らさないようにしないとなと内心考えていた。
「あと、露店の所の立て看板を残しとくので、ある程度したら片付けてください。
コーラのファンの方がいらっしゃいますんで、教えておかないと惨事が起きそうなんでね。
それと、色々とお世話になりました。
またお世話になるかもしれないんで、その時はお願いします」と、挨拶をして露店の前へ移動した。
この露店どーしようかなぁ、流石に引いて行くのは大変だし。
アイテムボックスに入ったりしないかねぇ……と考えてたら、普通にアイテムボックスに入った。
このサイズでも入るのか、[アイテムボックス]の機能は凄いな。
アイテムボックスから立て看板を、とりあえず取り出して、
【コーラの販売は、[奥の宿]にて引き続き行います。】と、だけ記載して立て看板を置いて行った。
次は食堂に向かった。
「どーもー、ご注文の商品お持ちしました。
冷蔵がベストなんですけど、どこにお持ちしましょうか?
この前、コーラを飲んでもらった時のように冷たい状態が一番美味しいので」
「ああ、それならこっちに……」と奥さんに言われて、キッチンの奥に通された。
地下室あるのか、ここに食料やらが所狭しと並んでる。
その奥に扉がある……。
「氷の魔道具で食材を冷やしてる部屋があるから。
そこに、商品置いてください」と、言われた。
「注文された商品は、ウチが露店で売り上げたぶんの、三ヶ月分でしたよね。
賞味期限が半年くらいある商品なんで半年分を置いときます。
ギルド長が、この商品のファン(中毒者)なので、あの人にも世話になってたんで、商品切れ起こすと申し訳ないんでね……。
今回の支払いは注文を受けた三ヶ月分で結構です。
残りの三ヶ月分は売れた分を後払いって事で……いいですか?」と、奥さんに確認を取った。
「払う側としてみれば、むしろ後払いの方が助かるわ」と、答えられた。
「それじゃ、奥の方に商品詰めていきますね」
冷蔵室に商品を卸していった。
そして、代金を頂いた。
三ヶ月分を売掛の形にしても、最初の三ヶ月分の代金で少なくとも利益が出る計算だ。
太っ腹なことをしているようだが、こちらも商売だ。
多少のリスク回避は、当然のように行なっている……。
今日中は、この村にいる予定なので、次の町[セカンタ]の情報を夜になるまで、収集し宿屋へ帰った。
翌日になり[ファービレジ]の村を俺は出発した。
俺の新天地での商売が始まるのだった……。
俺たた、エンドで。村編終了。
終わるわけではありません。
続きは明日の7時にアップします。