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ポテトはサービス

萎びたポテトは嫌いです。


業務用のポテト探してたら、ありえないくらい安いものがあってびっくりした事があります。

 村のマップは昼間歩いている時に、ほぼ埋めてしまったので宿屋の位置は分かっている。


 最初に、この世界に来たときに、俺が簀巻きにされていた場所の建物が宿屋である。

 あの旦那さんが店主なのだろう……。しばらく歩いて宿屋へ到着した。


 そして、宿屋へ入る。


「いらっしゃい。お客さん 、一人一泊50ゴールドだよ。

 って、今朝のにーちゃんか」


「あっ、どーも。一泊お世話になります」


 50ゴールドを手渡した。


「うちは、後払いでも大丈夫だが?」


「いや、払っておいた方が気楽なんで……」


 そうか、一泊50ゴールドということは、一泊5000円位か。

 下手に、6ゴールドとかだったら逆に困っていた。


 販売価格と仕入れ価格が合わなくて、計画が頓挫することは無くなったな。

 最悪のパターンは、[コーラ]だけを販売して、しのぐ可能性もあったが。

 コーラを氷で、水増して売るという商法だ。


 現実でも、100円のコーラを1000円で売るお店もあるわけだ。

 条件が揃わないとやれないこの方法だが、異世界でなら余裕で通用するだろう。


 販売価格を釣り上げれるコーラだが、コーラについては製造原価を知ると、更に深い闇を知ることができる……のは置いておこう。


 これで、仕入れ値の3倍〜4倍位の値段付けても。(原価率25%〜33%)

 なんとか商売にはなりそうだ……。

 そんな感じで、考えがまとまった。


「それで、にーちゃん。いや、お客さんは夜飯はどーする。

 ウチでたべていくかい? 泊まりのお客さんにはサービスしてるけど」


「あ、お願いします」


「ウチの隣に食堂あるだろ。

 そこも、ウチが経営してるんだ」


「へぇ、そうなんですか。

 それなら、お隣の道具屋さんは?」


「流石に、そこは関係ないねぇ」


「ですよね……」


「先に部屋の鍵を渡しとくよ、109号室だ」


 109号室の鍵を渡された。


「その鍵を見せれば、家内が料理作ってくれるよ」


 宿屋は旦那さん、食堂は奥さんが運営してるのか。


「それじゃ、食堂行ってきます」


 そのまま食堂に入り、奥さんに宿屋の鍵を見せた。


「今朝のぐるぐる巻きの人……。

 あら、ウチに宿泊してくれたのね。

 それじゃ料理作るから、ちょっと待っててね」


「はい」


 お客さんの入りはなんともまばらだ。

 夜は、お酒を出す酒場の方が人気があるらしい。


 空いた席に着き、メニュー表を確認した。


 一食、安くて6ゴールドから12ゴールドまでの価格といった感じだ。

 よし、これなら。価格勝負に負けるって事はないかな……。


 料理を出された。

 料理は、魚のフライとパンとスープだった。

 それを完食し、109号室へ戻った。


 まず、営業をする上での注意点を考えた。


 衛生面は出来合いのものを出すので問題ない。

 完全にマッ◯のハンバーガーの包みだし、包みを剥いでお皿に乗せて提供しよう。

 ハンバーガーの対策はこれで、良いとして。


 業務用のサーバーが使えれば、コーラに関しては一番安くつくが、残念ながら電気もなければ炭酸も使えないこの状況なので1.5ℓのコーラを購入して、桶に水と氷を入れてジュースを冷やす。

 そして、冷やしたペットボトルから、コップに注ぎ別ける方法を取ろう。


 アイテムボックスに入れとけば購入した時の状態、並みに冷たいのだが、お客が稼働してない状態も考えると、アイテムボックスから出した状態で冷やす必要がある。


 あとは、あまり考えたくない、ゴミの問題があるがココは割愛しよう。


 とりあえず、焼却炉作って、ペッドボトルの単体焼却をします、とだけ言っておく。

(まぁ、現実のエコという。無駄の塊は正直するだけ無駄だと思うしな)


 電気とジュースサーバーの問題が解決できれば、そちらに切り替えるとしよう。


 油に関しては宿屋の奥さんに確認したら、売ってもらえる事になった。


 氷をどうやって作るか、そんなの魔法に決まってる、なんのために魔法を獲得したと言うのだ。

 [アイス]の魔法を使って氷を作る……。

 氷を使ってコーラを冷やす、水増しする。

(おっと、人聞きが悪い。冷たいコーラを提供するための営業努力ってヤツですよ)


 魔法は、非常に便利だ。

 焼却炉の件も、魔法で片付けよう。

 食べ物は、皿に乗せて提供する。

 飲み物はグラスに入れて提供するスタイル。


 ハンバーガーを包み紙のままで出して、ギルドの前や中で、ゴミのポイ捨てされて、ギルド前の好立地を、叩き出されるのは勘弁被りたい。

 そういう考えなので、包み紙を外した状態で皿に乗せて提供する。


 そうなると、皿やグラスを洗う必要があるが。

 [ウォーター]の魔法で水を出せるので綺麗な水は出せるから、水道がなくてもなんとかなるだろう。


 あとは、移動式の屋台を作る必要があるくらいか。

 別に調理するわけではないので。

 荷車を装飾してと、あとは屋根だけつけれればそれで済む話だ。

 正直、ハリボテでなんの問題もない。


 と、注意点あたりはこんなものか……。


 その日は、必要な物を買い揃えて、一日中、工作に勤しむ羽目になった。

 翌日から、ギルド前での営業の準備を開始した。


 ハンバーガーを3ゴールド、コーラを2ゴールドの価格で販売する。

 コーラ300mlは氷をお酒用のジョッキ(500ml)に、入れて販売することにした。


 おまけとして、セットで購入してくれた人に、ポテトを少量サービスする。

(ポテト自体は、業務用であれば1kgで、200円位の破格のものもある)


 慣れるまでは、この2品の販売のみを行うことにした。

 ギルド前に屋台を移動し、ギルド受付の男性に販売開始の許可を貰った。


 さぁ、販売開始だ!!


 まず、最初の客は、いうまでもなく。

 ギルドの受付の男性だった。


 仕事は、どうした仕事は……。


 メニューを表を記載している、黒板を屋台の前に置いておき。


 食べ物

 ハンバーガー 3ゴールド


 飲み物

 コーラ 2ゴールド


 と書いて、メニュー表代わりに置いている。


「この間の飲み物をくれ。

 あとアレに合う食べ物ってヤツもくれ」


「ハンバーガーとコーラですね。

 セット購入のおまけで、ポテトをサービスさせていただきます。

 代金は5ゴールドになります」


 5ゴールドを受け取る。


 屋台の中で作っておいた氷を入れてコーラをジョッキに注ぎ。


 5ゴールドから、ハンバーガー、コーラ、ポテトの代金の4ゴールドを使い[異世界取引]のスキルで商品を取り寄せた。


 ポテトを50gほど油へ突っ込んで揚げる。

 こういう、業務用の商品は一度熱処理されているので、長く熱処理する必要はないものが多い。


 ハンバーガーを同じ皿に乗せて、その皿にポテトを盛り付ける。

 トレーに、ハンバーガーの皿とコーラの入ったジョッキをのせ、手を拭く為の紙を置いた。


「はい、お待たせしました」と言って、この世界で最初のお客さんに手渡した。


「えっ、早すぎないか!?」と、ギルドの男性は驚いていた。


 注文されて1~2分しかたってないので当然だ。


 お客さんが増えるようだったら、最初からポテト揚げておけば。

 それこそ1分もあれば渡せるのだ。


 なんの問題もない……。


「【速さ】が売りのファーストフードだからね。

 手軽、速く、美味しいが基本だから。

 食べ終わったら、食器は、そこの食器の返却口に置いておいてくれ、こっちで洗うから」


 ギルドの男性受付は、酒場のテーブルに食事を持っていき、食事を楽しんでいる。

 食べ終わったみたいだ……。

 こちらに食器を返しに来て、そして、また売り場にもどってきた。


 更に、コーラを2つ注文していった。

 コーラの中毒性に、ハマった人間がここに誕生したみたいだ。


 予想通りコーラの粗利がやばい。


 ポテトをつけることによって、満足感のアップを狙っている。

 6ゴールド〜8ゴールドあたりが食事の相場なので、多少サービスしても5ゴールドで、満足が得られれば、お客さんが来るだろうと予想した。


 それ以上に、コーラを売りさえすれば、なんとかなる……。


 受付の男性が来たあとは、客足がなくなったが。


 しばらくして、受付のお姉さんが売り場に来た。


「いらっしゃいませー、ご注文ですか?」


 受付のお姉さんは、ハンバーガーとコーラを注文していった。


 そのあとは、お姉さんの列に並んでいる冒険者達が、そのままお店に並んで大盛況だった。


 店を開いていた夕方までに、ギルド職員のほとんどと、ギルドに来ていた連中が屋台を利用してくれたおかげで大きな稼ぎを作ることができた。


 夕方からは、酒場が盛況になるので俺はお店を閉める。

 屋台の出入り口に鍵だけ掛けて、撤収する。

 冷蔵庫があるわけでもないし。

 アイテムはアイテムボックスに入れるだけなので、盗難の心配はない。

 もし、酔っ払いに壊されても所詮ハリボテだ、一日もかからなくて修理できる。


 俺は、この商売は金になると、確信して宿屋へ帰るのだった。

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