冷蔵庫(仮)を作る。
今週は初日こそ、エミリーの件でちょっとしたトラブルがあったが、今週も順調に営業が終了した。
子供達が孤児院に帰る準備をしていて、シェリーがいつものように引っ付いてきた。
「お兄ちゃん。あしたはシェリーとデートだから、わすれないでねー」
ほんと、おませさんだなぁ、この子。
可愛いすぎるので、頭をつい撫でてしまう……。
「明日は、お家に迎えに行こうか?」
「ダメー、わたしがむかえにいくのー」
アレ? これって浮気になるのか? いや流石にそれはないだろ。
いや流石に年齢一桁だし、遊んであげてるだけだよな。
「そしたら、シェリー。
また明日」と言って、俺に張り付いてるシェリーを引き剥がした。
「バイバーイ」と言って、手を振って。家に帰るシェリー。
可愛いとは思うが、これは父性だ。ロ◯コン的な感情ではない……。
「なんじゃ、店長はシスターだけじゃなく、幼女にも手を出してのか?」と、ドワルドが話しかけてきた。
「それは、聞き捨てならないね。
ドワルドさん、[焼酎]の取引辞めてもいいんですよ」
「うぐっ、それは無いよ。
店長、ワシが悪かった」
「あははは、冗談だよ冗談」
ドワルドに[焼酎]を売るのが、終業前の日課になっていた。
「ドワルドさん、いつものですね?」と、聞いた。
「それもあるが、店長。
ちょっと地下室の件で、少し話があるから現場に来てくれないかな」
「暗くなる前に、今から行きましょう」と、私は答えた。
既に、地下室への入り口や柱の代わりになりそうな棚と、土の重量を支えるための柱が出来上がっていた。
「作業早くない?
もしかして、最終工程に入った?」
「店長が、一番時間かかる作業を片付けてしまったからじゃ。
壁も頑丈に固めとるしなぁ」と、ドワルドか言った。
それならば……。
「最後に土を被せていって、天井をアースウォールで固めると良いのかな?」
「そうなんじゃが、これが終わったら。
ワシらの仕事なくなるんじゃろ?」
「いやいや、なくならないよ。二階にキッチン作ってもらおうと思ってるし。
それにこの前言ってた、裏庭のドアもまだできてないし。冷蔵庫は、まだ考えてる事の一部だよ」
「なんじゃ壮大な計画しとるみたいじゃの」
「ゆくゆくは、私が店に立たなくても営業ができるようにしたいからね」
「使えるとわかってる、人材を手放す気は微塵もないよ。
まぁ、ドワルド含め工事班が辞めたいって言うなら別だけど……」
「うまい酒が飲めるこの仕事を辞めれるわけないじゃろうが」
「そっか、なら良いけど。
暗くなる前に土被せとこうかな。最初は薄く土を固めとくので、庭の外れに土集めとくからそれを使って、地面の高さを調整して行ってください」
「わかった、明後日からは仕上げじゃな。
それと店長、明日は休みだから焼酎を6本程、融通してくれんかのう?」
「ん? 良いよ。
とりあえず、米、蕎麦、麦、芋の全種とどれを大目に欲しい? 」
「芋と米じゃ」と即答が来た。
「どれも味わいが違って美味いんじゃが、この二つは格別じゃの?」
「全部、芋と米にしとこうか?」
「いや、そういうわけじゃない。
どれも美味いから全種くれ」
そしたら、先に仕事を片付けておくかな。
ドワルドが作業を見ていたほうが、わかりやすいだろうし。
[アイテムボックス]から土を取り出して、[アースウォール]で土で天井を薄く固めた。
そして、庭の外れに[アイテムボックス]から土を全て取り出して置いた。
「店長。お主桁違いじゃな?」
「えっ、魔法でやってると言ったよね?」
「そう言う問題じゃない」と、ドワルドに呆れられた。
「そっか。とりあえず来週も頑張ってくれよ」と言って、焼酎6本をドワルドに渡した。
「ああ、これがあれば仕事も進むってもんじゃ」
焼酎をもらってホクホク顔で、ドワルドは帰っていった。
地下室がほぼ完成してしまったので、中に入って見た。
天井を塞いでしまっているので暗い……。
[ライト]の魔法を使い、地下室の中に入り確認した。
棚は、棚から荷物が取れるように、階段もつけてあるし。
柱も大きく作っていて安定している。
奥の方の冷蔵スペースに棚はないが、外壁をしっかり作っている。
それと、大きな柱を作り耐圧をしてる。さすが、ドワルドいい仕事してるねぇ。
パッと見の問題点は、暗いので灯りの魔道具が必須。
地下室の入り口と、冷蔵庫スペースに風の魔道具で、風の壁を作り温度調節をする事にした。
この前のサウナ作りで、エミリーがやっていた事を思い出して、思いついた。
電気があれば、それで灯りをつけてもいいけど、今のところは無いので魔道具頼りだな。
広さ的に、灯りの魔道具4と風の魔道具2あればいけるかな。
冷蔵の魔道具が届き次第、地下室は完成って感じになるだろう。
暗くなるまでに、まだ時間はあるし。魔道具屋で、買い物してから設置まで済ませとこう。
[転送魔法]を使い、魔道具屋へ行き。灯りの魔道具と風の魔道具を購入した。
ついでに、冷蔵の魔道具について魔道具屋の店主に確認した。
「冷蔵の魔道具は、完成の目処はどうだい?」
「そうだね、あと五ヶ月ってところかね……」
「早く仕上げるのは、無理ですよね?」
「できなくはないよ。
「この町の北に森があるだろう。
森の中に整備された道があるので、そこを通り森を抜けて、そこから[サドタ]の街へ続く4日程、街道を進んで行けば隣町の[サドタ]に着く。
サドタの街は、この町より栄えててな、この町にないお店も存在するんじゃよ」
……と、魔道具屋の店員が説明してきた。
「へぇ……。隣町って栄えてるんだ」
「そこの魔石屋で、三つの魔石を買って来てもらえれば。
すぐにでも冷蔵の魔道具は作れる」
「要するに、移動するタイミングがないから半年位かかるわけだ」
「森の道はゴブリンがおるし。
その先にはオークなんかも出るしの、一人で行こうとするのは無理じゃ」
「それじゃ、俺が行ってくれば魔道具はすぐ作ってもらえるんだな」
「じゃが、金は既に貰っとるぞ?」
「そしたら、三つの魔石代分は、冷蔵の魔道具の値段から差し引いてくれよ。
立て替えとくから」
「それは、当然じゃろうて。
それならお主に任せようかの、ギルドに依頼してたが受け手がいなくてな」
「それで、何の魔石を買ってくればいいんだ?」
「それは、アイスタートルの魔石と、アイスウルフの魔石と、アイスバードの魔石じゃ」
「なんか、冷たそうなモンスターの名前だな」
「この三つの魔石が、あれば冷蔵庫にできる程度の冷蔵の魔道具が作れる。
ちなみに、そこにアイスドラゴンの魔石を追加すれば 冷蔵ではなく、冷凍までできるらしいぞ」
「へぇ、冷凍庫も作れるのか。いいことが聞けた」
「それじゃ、この件はお主に任せたわい。
主程の商人なら集団を作って隣町に行くじゃろ」
「それは、買いかぶりでは?」
「ワシの情報源である、カラスに気づいて、ソレを撒くような奴だし。
更に、高額アイテムである魔道具を一ヶ月の間に、何度も買いに来るような商人は普通じゃあるまいて」
「あはは。
それなら近々、隣町に行ってみます」と言って、魔道具屋をあとにした。
よし、今から途中まで行ってこよう。探索途中で、[転送魔法]を使って帰ってくればいい。
その翌日は[転送魔法]で、そこの続きから先に進めばいいし。ソレを繰り返せば、4日もあれば着くだろ。[スピードアップ]の魔法あるしな。
正直、オークというモンスターは厄介ではあるが、普通の冒険者でも倒せるモンスターである。
まぁ、女性には何かと厄介なモンスターではあるけど……。
それは、今回関係ないし。
私には、[魔法使い]としての一流クラスの力があるのだ。
正直、オーク等は相手じゃない。力量がはっきりしているため、今回のオークは狩られる側だ。
オークと戦闘する事は、俺の基準からいうと冒険のうちに入りさえしないのだ。
それじゃ、夜の探索に行きますか。今日は、深夜の3時位には帰らないとな。
朝の10時にはシェリー来るだろうしな……。




