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魔王誕生(閑話)

 山田ハジメ (30)は、ごく平凡なサラリーマンだった。


 金なし、嫁なし、仕事なしの身となってしまった。


 今日も、職場からクビを宣告され誰もいない家へと帰る。

 一人暮らしだ、当然だれもいないので寂しさを感じる。

 せめて、女でもいればこの辛さを紛らわせる事もできるのだろうが、女を知ることもなく30歳という節目を迎えてしまった。


 彼女が欲しい、いや女が欲しい。

 こんな不名誉な30歳でいるくらいなら、そういうお店で[魔法使い]を捨ててしまおうと考えてた。

 新しい仕事は、それから考えることにする……。


 脱!!魔法使いを心に決めた俺は家を出た。


 そして、お店へと向かう途中。

 横断歩道を青信号で渡る俺に、吸い寄せられるように車が突っ込んできた。


 い、意識がなくな……る.....。


 こうして俺、山田ハジメの人生は終わったのである。


 あれ? 俺は横断歩道を歩いてたはずなのに、車は?

 何処だここ? やけに明るすぎじゃないか?

 状況を理解できず困惑する。


 あ、綺麗なお姉さんがこっち見てる。


「山田ハジメさん、始めまして」


 初対面なのに、お姉さんに名前を言われてしまった。


 これは夢なんだな……?

 俺の知り合いに、こんな美人の女性はいない。


「君は誰? 俺は君のことを知らないのだが?」


 独身だしな......。


「私はノルンと言います。所謂、女神です。

 あなたに、単刀直入に申し上げます。 

 山田ハジメさん、貴方は交通事故に巻き込まれお亡くなりになりました」


「えっ!?」


 いやまてまて、30過ぎるまで童貞さえ捨てさせてくれなかったのか?

  あの世界は、理不尽すぎるだろ。

 30歳過ぎたら魔法使いってのに本当になれたら救いはあったのにな、その前に死にましたって冗談だろ。


 考えを女神とやらに、そのまま読まれてしまい。

「魔法使いにはなれませんでしたが、それに近い事は提案できますよ山田さん。

 私は運命を司る女神です、あなたに二つの選択を与えましょう」


「1つめは、新しい肉体を与え、1からやり直す俗にいう輪廻転生です。

  2つめは、貴方の知識を残したまま、異世界で生き返る」


「この二つの運命の選択をあなたに与えましょう......。

 そうですね、異世界だと知識はあってもその扱いに困るでしょうから

 異世界での成人年齢の16歳からのスタートってのはどうでしょう」


「新しい肉体って、記憶はどうなるんだ?」と、俺は聞き返した。


「輪廻転生の流れに乗るのです。当然、無くなります。

 新たな個としての人生を送っていただきます」


 こんな腐った世界より異世界の方がまだマシかもしれないな。


「俺は、異世界に行って何をすればいいんだ?」


「別に決まりなどはありませんよ、好きに生きてくれればいいのです。

 それに、異世界へ行くというのなら貴方の望みをなんでも一つ叶えてあげましょう。


「この場で、貴方を抱きたいというのは?」


「できますけど異世界に行った時に、なんの特典もなく始まりますよ。

 転生して、即死にたいのならそれもいいでしょう」


 せっかくの美人だが、即死は流石に嫌すぎるな。

 あんな目にあうのはもう嫌だ。


「それなら、異世界で俺が思いのままにできる女をくれ、その世界で退廃的に過ごしたい」


「年齢はいくつくらいの子が好みですか?

 女性の成長と加齢は気になりますか?」


「ん?好みの年齢のまま見た目を維持できるのか?」


「それがお望みならば可能ですよ。ただし種族が人間ではなくなりますが」


「人間じゃない? 見た目がひどいのか?」


「人間より美しささえ感じると思いますよ、そちらの腕は種族的な理由でバツグンにいいですからね、貴方にはお勧めだと思いますよ。

 それじゃ何名かサキュバスの女性の候補を出しますんでそこから選んでください」


 A.16歳

 B.18歳

 C.20歳

 D.22歳

 E.10歳


 5名の年齢の札を持った女性が現れた。

 イヤイヤ、流石にAとEはないだろう変態じゃあるまいし。


 体つきと顔つきを見るとCとDと行ったところか……。


「CとDの二人が気になってるんだが、どちらか一人に選ぶ必要あるんだよな?」


「いえ、修羅の道を選びたい貴方なら二人を選んで頂いて貰って結構ですよ?」


「え?修羅の道? なんか困難でもあるのか?」


「貴方の願いが、女を抱きたいですが、異世界に転生するとある一定の条件を揃えずに女性を抱くと魔王になってしまうのです。

 大前提が女性を抱くことの貴方の場合は、初日で魔王化するでしょう。

 魔王化するとレベルアップの上昇条件が変わるのです、女性から経験値を奪うに変わるのですよ……」


「つまり、彼女達を抱けば強くなれると?」


「そうです。

 私が今から一年間、安全な物件を提供しましょう。

 ただし、一年が過ぎ勇者を名乗る人間が現れたら危険な状態と理解してくださいね。

 しかし、魔王ならば貴方の期待に答えれると思いますよ」


「魔王でも、なんでもいい。

 そこの二人と楽しめるんならそれでいい」


「山田さん、何か勘違いしてますね。

 異世界にはたくさんの女性がいるのです、その二人と言わず手広くやればいいんじゃないですか?」


「その時が来たら考えるよ……」


「どうされますか?

 最初から魔王スタートなら反転衝動で苦しむことなく、魔王から始めれますけど?」


「ふっ!!どうせやることはやるつもりなんだ。

 魔王でもなんでもなってやるよ、一年間は安全なんだよな?」


「はい。とても立派なお屋敷で、食料なんかもすでに準備されてる環境ですよ」


「至れりつくせりじゃないか、この二人は料理を作ったりできるのか?」


「それはもう、お手の物かと思います」


「そうか、それなら心配することはないな。

 異世界とやらに飛ばしてくれ……」


「それでは、貴方の活躍を期待していますよ」と言って、女神は私と二人のサキュバスを異世界へと転送した。


 それは、作られたばかりのような立派な城で、部屋の数も多く家具も揃えられていた。


 何より、魔道具をというものを利用している、お風呂らしきものもあり色々と活用の幅が広がった。


 このお城でただひたすら、この二人の相手をする1年間が続いたが、俺はこの二人に飽きが来ていた。

 この一年間で、レベルも当初の1レベルから25まで上昇していた。

 レベルも上がってきたので、新しい住処を探そうと思ったが住み心地の良いこの場所を離れることができずにいた。


 引っ越しをする開始する前に、勇者を名乗る女が魔王である俺を討伐しにきたのである。


「肉欲に溺れる悪しき魔王よ、この私が勇者として貴方を討伐します!!」


「ん?勇者って女だったのか?」


 それとなんだ、この女の近くにいると力が湧いてくるような感じがする。

 魔王のスキル[魔眼]にて、相手の力を読み取る。


 レベルはこの勇者とやらが10以上高い。

 だが、レベル25である私の方がステータスでは圧倒していた。

 ステータスが上がっているのはコイツのギフトが原因か、コイツがいれば通常以上に私は強くなれるしこの女は見た目も悪くない、次の獲物はこの女勇者だな……。美味しくいただくとしよう。


 勇者との戦いはそれほど苦戦せず、魔法を使い遠距離と中距離で戦いを進めるとあっさりと確保することができた。

 その戦闘の際に、勇者は気を失ってしまっていたのでベッドルームへと案内してあげた。

 魔王に負けた、女勇者の成れの果てなど想像するのは容易だろう……。


 指輪に向けて、女が話しかけていたのに気づきはしたが、こんな海に囲まれた島に1日〜2日で来る奴がいるわけがない……。

 新しい女ということもあり、レベルの上がりも良い……。

 この調子なら明日にはレベル30も到達は容易だろう……。

 この女さえいれば、コイツみたいなバカな勇者どもが、私を討伐にきても返り討ちにできるだろう。


 寝室に三人の女を侍らせて、翌日の朝が来た。

 やはり、私の予想通りだ……。

 朝方まで、この女で遊んでやるとレベルの35まで到達できた。


 ふはははは、勇者が35レベル程度なのだこの女がいれば、私はレベル105の魔王と変わらない……。

 これなら、この場所に居座って、この世界を牛耳ってみせる。

 レベルが上がった記念の手始めに魔物でも作り出してみるか、[モンスタークリエイト]を使い、作り出したモンスター部隊に城の入り口を守らせることにした。


 次から次へと、モンスターを作り出し島をモンスターだらけにした。

 ふははははは!!この世界を牛耳るのもたやすいことなのかもしれないな、新しい女を魔王様の生贄として捧げさせようか……。


「フゥーハッハハハハハハハ!!」と、勝利の笑いを上げた時。

 となりに侍らせていた、二人のサキュバスが浄化されて消えていった。


「な、なんだ!!何が起こった!!」


 漲る力が一転、急激に力の減衰を感じるようになってしまった。

 三倍の上昇は効いているが、ステータスの全体半減を受けている……。何故だ?


 この島でなにかが、おきていると……気づいた次の瞬間。

 戦いの狼煙を打ち上げるかのように、大きな爆音が俺の城に響きわたった。

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