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変わり果てた腐れ貴族

 サドタの街につき、男と女を荷物のように持ってギルドに入った。


 ギルド長クラスではないと、この案件は片付けれないので案内の人に直接レクターさんを呼び出してもらうことした。


 周りから奇異の目を向けられているが今のところは無視だ無視。


「よぉ、にーちゃん。いや伯爵か……。

 こんな所に呼び出さず買取倉庫にきてくれりゃいいのに」



「いつも通り、にーちゃんでいいですよ。

 あとすいません、結構ヤバい案件なんで。

 人のいない所で話できますか?」


「ん?そこの荷物のように持ってる男と女の件か?」


「はい」


「後、ボルグ様を呼んでもらっていいですか」


「ああ、急ぎ呼び出しをかけるようにしよう。

 にーちゃんの名前は出していいのか?」


「はい、出してください。至急来てもらわないと拙いです」


 レクターは他のギルドスタッフに、貴族の呼び出しに行かせて私達は来客室へ移動した。


「人払いは大丈夫ですよね?」


「あぁ、ちとやばそうな気配がしてるんで、そのあたりはしっかりしてるぞ」


「事の経緯から話すと、勇者と一緒にオークキング討伐を果たしたんですよ」


「それはいい話じゃないか?」


「そこからが問題で、そこのオークキングの巣に大量の人間の遺体らしきものと、オーク達の繁殖の道具にされているモノがこの二人です。

 今は強引に魔法で眠らせています」


「その繁殖の男と女を助けて来たところまでは、なんとなくわかるが……」


「この男性は、ボロボロですけど服装に見覚えありませんか?」


「すまん、わからない」


「私は、この男リストア様なんじゃないかと思ってるんです。

 なので、ボルグ様に来てもらおうと思って」


「貴族の地位を降りた男が、今更戻って来ても大罪人として裁かれるだけだろ」


「既に、この男と女は精神が壊れています。

 罪を与えても理解さえできず、死に行くだけです……」


「たしかに、セカンタの町を襲撃した張本人を見つけたのはヤバい案件だよな。

 けど、他にもあるんじゃないのか?」


「これがもし、元貴族のリストアなら捕まってから半年以上経っていて、大量に繁殖が済んでると思うんですが、私達が討伐した洞窟には思ったよりオークの数が少なかったんです」


「ちょっと、待て!! それは、もっと大きいオークの巣があるかもしれないと言うことか?」


「その可能性を提示します。

 冒険者減少の原因が、オークの大繁殖に原因があるのかもしれません。

 これが私の考えている最悪です」


 次にマップを指差しをして、レクターさんに伝える。


「今回私が討伐したオークの洞窟はココです。

 ここのオークの住処以外の探索をギルド依頼で出しませんか?

 あと戦闘はしなくていいです。場所だけわかれば対応できますから」


「つまり、オークの巣の場所を探すだけのギルド依頼を出せってことか?」


「そうです。その依頼は私じゃなくギルドが出すべきです。

 それが嫌なら、この領地の貴族に協力を仰いでください」


 話を続けていると、貴族のボルグが来客室へ入ってきた。


「待たせたな、急な話とは何事だ?」


「あぁ、聞いてくれ……」


 先程レクターさんに話した事を、もう一度貴族の息子のボルグに伝えた。


「変わり果てたこの男が私の父であり。

 それと、オークの大量繁殖が行われたかもしれないと?」


「はい、大量繁殖に関してはあくまでも憶測ですけどね」


「ボロボロには、なってるが当家の服であるのは確かだ。

 それに、痩せてしまってるが父の面影があるな……」


「今、この男は完全に壊れています。

 治療せよと言うのなら死罪は免れないと思うが、この状態なら私は手を下せない。

 普通の部屋でかつ牢屋みたいになってる部屋があるだろう、貴方の家には……」


「すまない。あんな父ではあったが討伐となると躊躇ってしまってな」


「ん?にーちゃん。

 この壊れた状態治すことができるのか?」


「うん。多分できると思うから。

 女性のほうは、女性のスタッフに着替えと体を綺麗にしてあげてもらっていいかな。

 流石に、このまま正気に戻すのは可哀想だ……」


 女性の着替えなどが終了するまで、部屋の外で待ち。

 ボルグの命例で、ボロボロの男を使いの者に綺麗な屋敷牢に入れとけと命令を出して元貴族リストアを屋敷の牢屋に連れて行った。


 昔、奴隷を入れる為に作った牢屋に自分が入れられるのか、なんの因果だろうな……。


 ギルドスタッフの女性が、着替え終わりましたと私達に伝えてきた。


 再び来客室へ入り、[ヒール]をかける前に、[魔力視]を使った。


 人の臓器とは、別の器官的なものが作られている。

 そして、女性に鑑定をかける準備をする。

 ボロボロの状態じゃない為、同情とかを抜きに顔を見てあげることができた。


 あれっ、この人どこかで会ったことがあるような?


 見知らぬ女性に[鑑定]をかけるのは、失礼と思うがかけるしかない。

 人間に対して鑑定をかけると、スリーサイズや秘密であろう細かい部分も出てくるので、困りものだ。


 鑑定が発動した。

 女性でレベル低め僧侶で、パーティリーダーの男性に好意を持っている。


 経験人数……1000以上


 はっ?流石に盛りすぎだろオイ。

 子供が1000以上いる、全てオークだ。全てを察した。


 状態異常、錯乱、混乱、恐怖、オークの妻


 オークの妻:オーク御用達の道具。(別の器官的なモノ)


 あぁ、鑑定結果を見ると色々とヤバい。

 ほぼ、想定した最悪が全て的中しているのがわかる。

 もういい、これ以上は十分だ……。


 鑑定の結果を見るのを止め、治療してやることにした。


 まず状態異常を消す、特にオークの妻だ。

 もともとないステータス異常なので取り除けるだろう。


 ボロボロになっていた彼女に[ディスペル]と[ヒーリング]をかけてやった。

 顔色が良くなり、状態が回復したみたいだ。


 次に[ヒール]だ。

 精神が壊れていたので、体力を回復させて現状を理解できず暴れられることを回避したのだ。


 [ヒール]が彼女にかかり、顔色が良くなって行くのが見て取れる。


 彼女が目を覚ました。


「おはようございます。目を覚まされたんですね」


「なんでアンタが、ここにいるのよ!!

 他のみんなは何処よ?」


「ん? 私とは初対面じゃないですか?」


「アンタが私達のパーティを脅したから、狩場を移る事になったんじゃない」


 思い出した。砂漠であった事のあるパーティの一人だ。


「ん? シェリーが倒したモンスターに言い掛かりつけてきたクソ野郎どもか!!」


「あんなガキが倒せるわけないじゃない……!!言い掛かりはそっちでしょうが!?」


「ホント、コイツらクズだな。

 助けるんじゃなかったよ……」


 イラッと、きたのでツイ貶めてしまった。


「それで、あの洞窟で何があったよ?

 オークの嫁さんよ」


「あっ……」と言って、女は一気に表情を曇らせた。


「すまない、いいすぎた。

 状況を伝えるぞ。オークの住む洞窟にいた君を私達のパーティが救出した。

 君に、何千匹とオークの子供がいることまでは確認済みだ。

 その状況を治すための治療はおこなった。ここまではわかるか?」


「理解したわ、アンタが助けてくれたのは感謝するわ。

 それなら、もっと早くきてくれれば、パーティのみんな死ななかったのに……」


「勘違いするなよ……。

 冒険者なんてものはモンスターの命を奪って生きている連中だ。

 殺される、いや、死ぬ覚悟もなくて冒険者なんてやるんじゃないよ。

 確かパーティのリーダーさんには遠回しに注意したんだけどね?

(賢さが足りてないから)もっと考えろとね……」


「アンタがあの時、脅さなきゃ私達はあそこで狩りを続けれたのに……」


「あのな、人のせいにする前に自分達のせいだと気づけよ。

 まぁいい、俺と会った後にオーク達に捕まったとすると1年以上か……。

 それでも、君だけでも無事だったのは良かったと思うよ」


「そう、助けてくれてありがとう」


 そこから、洞窟内での生活オーク達の習性などを生々しく聞くことができた。

 彼女はしばらくの間ギルドとボルグ様が支援をするという事で話がついた。


「ちなみに、悪い情報はココまで次はいい情報を提供するよ。

 私がレベル40超えたので、ラッキーインセクトとデスワームの出現の法則を教えるよ。

 俺と勇者様ともう一人の三人で9匹討伐したので、来月に1匹湧いて出てくるよ」


 レクターさんに、ラッキーインセクトが1ヶ月に1匹湧くという事と、ラッキーインセクトが12ヶ月放置されるとデスワームになるという旨を伝えた。

 私がラッキーインセクトを狙うことはないと伝えた。


 これで来月から、砂漠に人が戻ってくるだろう。

 そうなれば、デザードブルの肉を無理に私が狩る必要がなくなるという旨を伝えた。

 私が肉を買うとしたら、サービスしてくれるだろうなと笑顔で言っておいた。

 昨日の今日で私のいう事に反論出来ず、レクターは頷くだけだった……。


 ギルドと貴族の共同で探索の依頼が発令され、挙式の2日前にこちらに報告を入れてくれるらしい。

 この件の報告に関しては、転送装置を使って良いとレクターさんに特例を出した。

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