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サドタの街の様子見。

 軽くサドタの街のギルド長と不仲になりしばらく経ったが、4号店に関しては手を打ったが教会に関しては手を打っていないと思い出し、貴族のボルグ様に挨拶するついでに様子を見ることにした。

 一応は教会の土地は私の所有地で、私も教会の建設費の資金提供をしているからな……。

 不当に中断でもされているようなら、何かしら対策せねばと思っていたからだ。


 [転送魔法]を使い、教会の前に移動した。

 教会の様子を見てみると、以前より建設をする人が増えている気がする。

 気になったので、ライアン神父を訪ねることにした。


「おはようございます、ライアン神父」


「お久しぶりです。二階堂さん」


「一度突き放してから、様子を見ることはあっても会わないようにしてましたからね。

 建築も順調に進んでるようでなによりです」


「作業を続けてきて、私には貴方に文句さえ言う権利もないことがわかりましたよ。

 ここにいる従業員の給料、建築費の大半は貴方が支払ってくれている。

 それに子供たちを住まわせているホールの使用代金と食費なども……。

 本来なら私がなんとか工面すべきものなのに……。

 それにも関わらず何も理解していない発言をしてしまったなと、反省するしかないですよ」


「へぇ……。それだけでもわかるようになったら。

 少しはマシになったんじゃないですか?」


 経過の確認も程々にして、本題を聞くことにした。

 結論から言うと、4号店の作業を終えたスタッフが追加要員として、こちらにきているらしい。


 仲違いをしたからといって、こっちの作業を止めるような相手ではなかった部分は、ギルド長を評価すべきだろう、それでも取引相手として最低限の評価を保てているだけである。


 人数増加の謎が解けたので、ライアン神父にこれ以上の用事はないので軽く建築現場の様子を見て、この場を後にし貴族の城へ移動した。


 貴族の城では相変わらず門兵には恐怖され、いつものようにボルグの座っている椅子の前へ案内された。


「やぁ、二階堂殿。

 久しぶりだな……」


「そうですね、伯爵位を頂いた以来ですかね?」


「あぁ、それ以来だな。その時に購入したあの鏡を量産する気は?」


「ないです。今後作るかどうかも怪しいですね」


 何より一人では倒せないボスモンスターなので、そうそう倒す機会がないからだ。


「そ、そうか。それならもう少し値段を上げても良さそうだな……」


「商売がうまく行ってるみたいで何よりです」


「ははは、おかげさまでな稼がせてもらってるよ。

 それで今日は何の用だ?」


「何点か、お伝えすることがあってまいりました。

 まず一つ目は、お気づきだと思いますが、教会を新しく建設し直しています。

 現在は、ギルドと私による再建築を行なっている状態です。

 ここに資金援助を頂けないかと、提案しにまいりました」


「しかし、父の件があるので教会との関わりは切った方が良いのでは?」


「なさ過ぎるのも、ボルグ様に悪影響を及ぼすと思いますよ。

 せっかくこの街で名の知れた、まともな貴族様なはずなのに。

 それなのに教会に一切の支援をよこさない、権力の一角の教会から父のほうがよっぽど有能だったとか陰口が出るのが目に見えてますよ……」


「うむ、たしかにそれは考えられるな」


「それに、私と商売で出た利益があるのでしょう」と言って、ニヤリと笑ってみせた。


「そ、そうか。それもあるので私に鏡の購入を提案してくれたのだな。

 わかった。後日ギルドを経由で資金援助を提案してくるよ」


「はい、よろしくお願いしますね。

 それでコレが本題なんですけど、私は貴族として大きな事業を立ち上げようと計画しています」


「大きな事業とな?」


「はい、本来ギルドと協力して行う予定でしたが、ギルド側が目先の利益に飛びつき。

 わたしからの評価を落としている真っ最中です。

 特にこのサドタの街のギルドとのお付き合いをほぼ絶っている状態です」


「それで、貴族であるわたしに相談をしにきたと言うことだな」


「はい、その通りです」


「事業の内容を教えてもらえないか?」


 新しく計画している、農場、運送、学校、警備の4つの業務をボルグ様に伝えた。


「ほぅ、それはまた金が動きそうな話だ。

 それに二階堂殿が私財を投入して、やる計画だ喜んで乗っかりたい輩も出るだろうな。

 あぁ、それがウチの街のギルド長だったと……」


「まぁ、そうですね。

 あくまでも村と町を結ぶ業務は私に利があり、やる予定だったのですでに完成しています。

 サドタの街が中継基地としてのハブ地点を作り、利益の両の取りを狙うのならギルド単体でやるべきと思いスルーしてたんですよね。

 ギルドのために私財を使いたいわけではないのですから」


「あぁ、それが仲違いの原因か……」


「まぁ、そうですね。

 一応は私の領地内で全てやる予定ですが、ボルグ様の耳にも入れておこうと思いまして」


「私としては、貴公が冒険者の最後を気にしているのかが分からぬ。

 狩りが出来ぬ冒険者が死ぬのは道理だと思うが?」


「そう言われましても、死の森というある種の壁を作り出したのは、その考えが蔓延しているからだと思いますよ。

 私が見たのは片腕をなくした冒険者の遺体でした、たしかに片腕での冒険は辛いかも知れないがそれで命を落とすしかない状態が拙いと私は考えたのです。

 何より冒険者も一人のお客様だ死なせたくない。

 経済活動さえしてくれればお金が回っていく、それを手伝うのが町のトップの仕事だと考えてますから」


「あははは、新米貴族なのに大業を成そうとするのだな。

 それで私は何をすればいいのだ?」


「学校に関しては私達の領地内に立てることになりますが、農場と警備に関してはこの街でも立ち上げれるのではないかなと思いまして」


「活かす事で税収が増え、収穫する事でも税収を増やしたいのだな」


「はい、その通りです」


「学校は、魔法学院や騎士学校とは違うのか?」


「全く違います、そんなもの一部の貴族や豪族や金持ちがいけるだけの学校ですよね。

 私は人を育てて、町全体の生産力を育てたい。

 だからこそ、学者や教授などに勉学を、引退した冒険者などに得意な授業をやらせたいと考えてます」


「貴公が支援するだけでは、莫大な費用がかからないか?」


「かかったとしても、学校の卒業後に力を上昇させてさえくれれば。

 その費用の何倍の利益を生み出せるようになると考えてます。

 農業でいうと種まきみたいなものですよ」


「学校に関しては貴公が学校を建てて、その評判を聞いてから私も対応させてもらうよ」


「はい、それで大丈夫だと思います」


「農場と警備に関しては、是非考えさせてもらうよ。

 領地を守るのが貴族の仕事だからな……」


「是非、検討して下さいね。

 きっとギルドと街と貴族の三つが手を組んでようやく実現できると思いますから。

 そこに教会が加わってくれれば、私としても一安心できるんですけどね……」


「あぁ、それを伝えるために私の元へ来たんだな」


「はい、その通りです」


「わかった。こちらでも対応させてもらうよ」


「しかし、運送には食いつきませんでしたね?」


「街を納める側としては、損をする可能性があるじゃないか?

 輸出ができるなら、当然のように輸入もできる。

 ハブ拠点の手数料で稼げる運営側ならいいが、それを使う側の街とすれば輸入ができるわけで、それだけの費用を出す必要が出てくる。

 ましてや貴公が町長をするセカンタの町から輸入をする羽目になる。

 所謂、諸刃の剣さ……。掴んでしまえば私の指は切り落とされるよ」


「それに、設備投資にかなりの費用がかかりますし。

 防犯もなしにやるのは、愚策ですからね」


「あぁ、準備もなしにやろうとしたから。

 貴公は怒ったのだな……」


「あははは、どうでしょうね」と、はぐらかしておいた。


「それじゃ、今日お話をした件、検討しておいて下さいね」と言って、その場を離れた。


 アリアに、この街のギルドへの教会の建設費用の入金をお願いしとかないとな等と、考えながらいつもの通常業務に戻るのだった。

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