4号店オープン!!
朝食を済ませて……。
今日はオープンからクローズまで4号店にいるので、昼食と夕食は必要ない旨をエミリーに伝えておいた。
そして、4号店のあるサドタの街へ魔道具を使い移動した。
毎回お店の新規オープンの時はドキドキする。
今回はギルドも共同出資の形を取っているので、ギルド長のレクターさんも来ている。
「なぁ、にーちゃん。新規店のオープンっていうのはこんなに緊張するものなのか?」
「そうですよ……。どんな状況よりもこの瞬間が一番私は怖いですね。
どんな準備してても無駄に終わるかもと、脳裏によぎるといてもたってもいられませんし。
今回はギルドで告知をしてくれたんですよね、それにボルグさんも動いてくれたみたいですし」
レクターさんは落ち着きなくウロウロしている。
「上司がそんな姿を見せてどうするんですか。
堂々としていましょうよ」
「そうは言っても、我慢できんぞ!!ちと外を見回ってくる……」
みて回ってくると言った割にはすぐ戻って来た。
「にーちゃん、すごい行列が出来てたぞ!!」
「それは良かったです。それじゃ落ち着いてオープンまで待ちましょう」と言いつつ、小さくガッツポーズを取っていた。
お店の開店時間だ!!
来客数が凄まじく、一気に人がカウンターに並ぶ……。
「す、凄い凄いぞ。
にーちゃん!!並ぶとほぼ同時に商品を渡すような流れ……先輩社員はズバ抜けているのぉ」
「彼達はあくまでも1ヶ月のヘルプですよ……。
新人さん達をここまでのレベルに引き上げるのが一番大事なのですから。
けど新人さんもしっかり頑張っているので、列が崩壊するような事はないので健闘してますよ」
蓋を開けてみれば、人口数が違いすぎるので二号店の何倍もの売り上げを叩き出していた。
「これは、今後も期待できそうですね……」
「あぁ、基本的な運営はギルドでノウハウなどの顧問と社長の肩書きは、にーちゃんが持つんだったな」
「野菜の仕入れとかは、問題ないですか?」
「今のところは問題ないが、ゆくゆくはどこかに専属で依頼する必要があるかもしれない」
「それですけど、引退した冒険者さんのお仕事にできませんかね?
あと、裏庭に高額な魔道具を設置しているので、裏庭への出入りの確認のスタッフとかを雇う必要がありますよ」
「死の森の意味が理解できたのか……」
「冒険者の最後の死に場所がアレじゃ流石に可哀想ですよ。
言ってなかったんですけど、私は貴族の位の伯爵位をもらったんですよね。
なので、冒険者の終活について見直そうと考えてます」
「にーちゃん、貴族になってたのか?
まぁ、不思議ではないがな、今まで言っていなかったが。
すでに、にーちゃんはギルドでの評価は最高クラスだぞ、所謂Sランクという奴じゃ」
「そんな事言われたこともないので知りませんでした」
「にーちゃんは興味ある依頼しか、どうせ受けないだろ?
「それは、その通りですね……。
あと一応、私の領地はセカンタの町から南の海岸沿いまでらしいので、引退した冒険者でも雇って学校を立ち上げたいですね」
「貴族の連中が通う魔法学校とは違うのか?」
「違います。
商売や冒険や勉学を主に学ぶ実践的な施設にしないと、一般人には意味がありません」
「本気で冒険者の終活について考えてるんだな。
よし、その話を各ギルドに伝えておく。
領地外の仕事にはなるが貴族になって初仕事になると思うから、是非引き受けてくれ!!
ギルドの共同依頼の形になるから、どこのギルドでも引き受けてもらっても構わない」
「作れるとしたら、私の領地内になるのでギルド依頼をかける場所はセカンタの町になると思います」
「あぁ、それで構わない。
各ギルド一同で、協力する形になる。なんといっても、にーちゃんの仕事だからな。
それと、本当にその件を実行するのなら。一つ頼まれてくれないか……」
「何をですかね?」
「死の森の浄化さ……。
にーちゃんなら、森を傷つけずアウルラネを駆除できるんだろ?」
「まぁ、聖域で囲んで仕舞えば余裕だとは思いますが。
無抵抗のモンスターを倒すのは、私も少しは気がひけるのですが……」
「嫌な、ああいう場所があれば人間は結局は逃げてしまうんだよ……。
それなら、根本を潰すしかないし、元冒険者に仕事を与えるしかないんだよ。
今回のこの4号店の完成でギルドも活性化するし、この街も一層発展するだろう。
そうなると働く人材が必要になる。
そうなれば、冒険者上がりの者にも働いてもらう必要が出でくる。
死の森という無駄死にスポットを残すわけにはいかないんだよ……」
「そうですか、これは善処しますで片付ける訳には行かなそうですねぇ……。
企画の進みをみて、対応できるようだったら対応しますよ」
「そうか、そういってくれて助かるよ」
「今後は4号店に寄るのは、倉庫への調味料の補充や飲料の補充がメインになります。
一応社長室には朝方に顔は出すようにしますんで……何かあったらそこで連絡をもらえればいいかなと思います」
「あぁ、今後ともよろしく頼むよ!!」
「はい、二号店へのお肉の搬入もよろしくお願いしますね。
それと私用での利用は禁止ですよ注意してくださいね」
「あぁ、それは任せとけ」
4号店のオープンはなんの問題もなく終わり、続きの業務はギルドへ引き継いだ。
今日は4号店のオープンからクローズまで付き合ったので他の仕事は何もしていないが、4号店で食事を済ませて自宅へと帰宅した。
「おかえりなさい、ハジメさん。
新しい店舗はどうでした?」
「うん、大丈夫かな?
1ヶ月間は二号店からヘルプも出るし、しばらくは大丈夫かな。
二号店のコッペ店長がお店を育ててきた成果を感じ取れたよ。
あと何より人口が多いから、客数が桁違いだったのには驚いたね……」
「今日は夕飯食べてきているんですよね?」
「うん、商品の質は食べてみないとわからないし。
何度か食べてきてるんで、今日は食べなくて大丈夫だよ」
「これで一つ肩の荷がおりましたね」
「んー? また新しく、施設を作ることになりそうなんだ。エミリー聞いてくれるかい?」
「はい、喜んで」
狩りの出来ない冒険者の終活が悲惨な事、それを生かす為に農場の作りや、警備の仕事を作る。
それと目玉は学校という施設を作りたいという旨をエミリーに伝えた。
「本当に、領民思いの領主様で私達は幸せですね……」と言って、エミリーは肩を寄せてきた。
「私としては妻思いの旦那さんで、ありたいと思ってるよ」
「十分に、いえ十二分に旦那さんとして、頑張ってますよ。ハジメさん」「そっか……それならいいかな」
「そうだ、ハジメさん一緒にお風呂に入りましょう。
妻思いの旦那さんの背中洗ってあげますよ」
「お願いします……」と、エミリーの提案に流されるまま流されて、朝起きた時はお屋敷の寝室にエミリーが寝ていたのは言うまでもない……。
本日の9/2日の投稿は3話投稿になります。
147話 7:00
148話 12:00 ◀︎イマココ
149話 16:00
の三話投稿です。