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商人、貴族になる。

 先日は、貴族のボルグ様から親書を貰い、国王陛下にお渡しする約束を取り付けた。


 今日は、二号店の毎週恒例の週末の二連休の二日目だ。(所謂、日曜日)

 取引先もお休みが多いので、週末は基本的に狩りには行かず気楽にやっている。


 今日は、先日ボルグ様から貰った親書を国王陛下に渡したいと思うので、教皇様経由で国王陛下に挨拶へ行こう。


 仕事がないので、今日はゆっくりとした起床だった。

 朝食を頂き、魔道具を使いお屋敷へ移動した。


 お屋敷に着くと、各自お屋敷の掃除をしている様子だ。

 掃除の邪魔するのも悪かったので、そそくさとお屋敷から出て教会へ向かう事にした。

 教会へ到着していつものように、教皇様の部屋に案内され教皇様に親書の件を伝えたら。

 すぐに国王陛下に会いに行こうという流れになった。


 この馬車に乗るのも慣れたものだな……。

 外の景色は見えないが、灯り魔道具が付いていて暗い事はない。

 しばらく馬車で移動していると、そろそろつきそうだなと外は見えないが感覚で解った。


 そして、いつも通りに国王陛下の下へ案内され。


「珍しく朝方に来たな。教皇と二階堂君……」


「今日は、二階堂君が貴族のボルグ様より親書を預かっていると聞いたため、早い時間のご挨拶になりました」


「そうか、そうか。

 貴族の息子の親書という事はあの件じゃな……」


「はい、あの件だと思われます」と、教皇が答えた。


「それじゃ、二階堂君その親書を渡してくれたまへ」と、言われたので親書を国王へお渡しした。


 国王がその親書を受け取り、ボルグ様が書いた文を読む。

 深妙なツラ持ちでうんうん、と言った感じでうなづく国王陛下。


「なるほど、相分かった(あいわかった)!!」


「国王陛下、例の件でしょうか?」と、教皇が問いかけた。


「あぁ、その件だ……」


 なんだ? 水面下で何かが動いている予感がする……。


「二階堂君、この文の内容は貴族のボルグ侯爵が貴公に、貴族の位で名誉貴族として男爵位を与えるといったものだ」


「はぁ? 貴族?

 国王陛下、どういう事でしょうか?」


 正直、困惑を隠せなかった。


「何、簡単な事さ。

 あの男は君を……街の発展に尽くす君を評価している。

 私と教皇と同様にな……」


「いやいや、私はそこらの商人でございます故。

 貴族は身分違いでございます」


「まぁ、君はそうやって断るだろうな。

 貴族といっても名誉のみだ、貴族としての務めは別にしなくても構わない。

 君一代限りの称号だ、私の願いでもあるこの件を受けてくれぬか?」


 教皇にヘルプを求めるが、スルーされた。


「国王陛下が頼まれますと屋敷の件もありますし断れませんね……。

 過分な身分ではございますが、その件お受けいたします」


「そうかそうか!!良かった良かった。

 それでな、あくまでもボルグ侯爵の提案は男爵位だったが、私としては領地もありで伯爵位を与えようと思う」


 へ?


「いやいやいや、ちょっと待ってください国王陛下」


「まぁ、驚くのはわかるが全て聞いてから質問をしてくれたまへ」


「ぐぬっ……」


「主な領地は、セカンタの町から南の海岸沿いまでを貴公の領地とする。

 今までと同じによう、町の発展に尽くしてくれ」


「すでに今やってるように、ファービレジの村やセカンタの町が豊かになるように動いていけばいいと言う事ですか?」


「そう言う事だ!! ちなみに伯爵位を与えるので当然税収も発生する。

 一代限りの名誉貴族では無い、永代続けて発展するように務めてくれ……」


「そうなると、サドタの街の貴族のボルグ様の税収が減るのでわ?」


「もとより、その父のリストア侯はセカンタの町とファービレジの村など要らぬとクダを巻いておったわ」


「貴族としての仕事というものは、私はわかりませんが大丈夫でしょうか?」


「それは気にせずともいい、存分に町長と商人をやってくれたまへ。

 ただ、私から貴公に意見を求める事は増えると思うがその程度だ……」


「それなら、大丈夫ですかね。

 お受けしますよ……」


「そう言ってくれて、非常にありがたいと思う。

 男爵では娘を嫁にやれんのでな……」


「へ?」


「二階堂()()、我が娘マーガレットを妻に迎えてくれぬか?」


「いやいや、彼女はまだ若すぎますよね?

 本人の意見も聞いていないのに、それは拙いでしょう……」


「それなら、娘の意見を聞いてくるといい。

 娘は部屋で貴公がくるのを今か今かと待っているぞ」


 あるぇ? もしかしてこうなるのは規定事項だったのか?


「わかりました、王女様の意見を聞いてまいります」


「ふむ、断りはしないのだな……」


「断れるわけないですよ……」


「ふっ、そうだろうな」と、国王陛下に言われこの場を離れ王女様の部屋へ向かった。

 何度かお邪魔になったので、部屋の場所も覚えてしまっていた。

 扉をノックして、「マーガレット様、二階堂です。お話の相手になっていただけないでしょうか?」


「はい、扉は開いてますのでお入りください」と、言われたので部屋に入った。


 アレ?今日はメイドさんがいない?


「おはようございます。マーガレット様、今日はメイドさん居ないんですね」


「今日は週末なのでお休みを与えているの……」


 奥の物置からガタッ!!と音が聞こえた。


「そうなんですか?」


「今日はどう言った御用なのでしょうか?」


「例のスイーツ対決の件とかは、どうなったのかなと思いまして。

 一応、王女様とメイドさんの分もお菓子作ってきてますよ」


 奥の物置が、ガタガタっと音がなった。


「本題はソレではないですよね、言っていただけないのなら私から言います。

 二階堂様、いえハジメさん。ワタクシ、マーガレットは貴方をお慕いしております。

 父からは、その話をされたのではないのでしょうか……」


「えっと、マーガレット様………」と、言おうとしたら静止がかかった。


「呼び捨てで結構ですよ」


「マーガレットは、私が相手でいいのかい?

 単なる商人なんだよ?」


「伯爵になられるんですよね……。

 それに商人のままでも魅力的な殿方ですよ貴方は……」


「引く気はない?」


「微塵もありません。

 国王の娘が嫁ぎたい相手に嫁げる、最大のチャンスですから。

 きっと私は、もっと年上の貴族の男性の嫁に嫁ぐのだろうと覚悟しておりました」


「嫁さん沢山居ますよ? それでも大丈夫ですか?」


「それも男の甲斐性と思いますよ。

 貴族に敵対してまで守るくらいに、皆を大事にされているのでしょう?」


「それは当然です!!

 嫁を守らずして何が男か!! どんな手を使ってでも守り抜きます」


「それで、十分ですよ」


「あ、それと挙式みたいなことは嫁と一切あげていないので、マーガレットとも挙げれないかも?」


「それなんですけど、この前のスイーツ対決の場をハジメ様の住居で行い。

 嫁の皆様で一同にスイーツ一杯の挙式をあげましょう……」


「すごくいいですね、それ甘い感じがして……」


「わかりました。マーガレットの気持ち伝わったよ。

 これからも、よろしくね」


「はい!!」


 ガタガタガタ!!


 ガタガタと物置が煩いなーと思ってたら。

 メイドさんが物置から出てきた。


「お嬢様おめでとうございます!!」


「えっ、お休みじゃなかったんですね。メイドさん」


「お嬢様の勇姿を見届けるのもメイドの務めですから……。

 それで二階堂様、持ってこられたスイーツはどちらに」


「まだ出してませんよ? もしかしてそれ目当てで出てきました?」


「いえ、そんな事は……」と、言いながら目が泳いでいる。


 二人分のケーキをとスプーンを出して王女様とメイドさんに渡した。


「それじゃ、国王陛下に伝えてきます。

 私の気持ちを……」


「いってらっしゃい、旦那様」と言われて、頬にキスされて見送られた。


「行ってくるよ、奥さん」


 ぐはっ、柔らかい唇が頬に、下半身に悪すぎる……。

 これがロイヤルなキスか。


 その後、国王陛下と話をして、文字通りのスイーツな挙式を6ヶ月後お屋敷で執り行うことが決まった。

明日9/2日の投稿は3話投稿になります。


147話 7:00

148話 12:00

149話 16:00


の三話投稿です。

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