再び出荷される……。
加護の結果は冒険をする予定のない、俺にとって、あまり欲しくないものだった。
加護の用紙に、神の贈り物が映し出された……。
そして、用紙を受け取った。
[魔法使い]と、記入されていた……。
それだけなら救いはあったのだが、追記が書かれてあった……。
前世で、30過ぎても童貞だった魔法使いさんに、ぴったりのギフトを差し上げます。
なんと!! [魔法使い]のギフトで〜す。
嬉しいでしょ!!(追記がウザい!!)
このギフトは便利よ、貴方が童貞である限り効果継続よ……。
効果が続いてる間は、攻撃魔法も覚えれるし回復魔法も覚えれるわ。
貴方の有効ステータスの三つが通常の二倍で成長するわ。
ただし、この世界で童貞を捨てた場合は、ギフトの効果はなくなるわ。
今までに覚えた魔法と、成長した分は据え置きなんで安心してね。
最後に、[ロリコン]拗らせて魔法使いになった貴方に朗報よ。
この世界では、それなりの身分になれれば前世で叶わなかった貴方の願いが叶うわよ。
と、書かれていた。
「冤罪だ!!」と、思わず叫んでしまった……。
「どれどれ、見せてもらえないかね」と、スミス神父が聞いてきた。
手伝って頂いた手前、ダメとは言えないし。
ココは教会だし場合によっては、一晩くらいなら懺悔してやる……。
恐る恐る、スミス神父に、加護の用紙を手渡した。
それにつられて、エミリーもみにいく。
「加護、魔法使いだって凄いね。
魔法使えるのもギフトのおかげなのね。
けど、追記の先の文字読めないわ」と、エミリーが言った。
「そうだね。追記から先の文字は私達にはわからない文字だね。
古代文字とも違うし……」と、スミス神父が言った。
その後に、「えっ、2人とも読めなかったんですか?」と、馬鹿正直に答えてしまった。
「なんと、書かれていたのかい?」と、食い気味にスミス神父が聞いてきた。
わからないフリで通せばよかったか。
言いづらい所は、ごまかして説明するかな……。
まず、自分が転生者である事。
前世での女性経験がない故に、女神が皮肉を込めて [魔法使い]というギフトをくれた事。
ステータスの上がりが良い件と商人なのに魔法を覚えれるのは、ギフトが原因である事。
このギフトは、ある意味、魔法使いの期間限定(童貞)のギフトである事。
ギフト、[魔法使い]について三つの事を伝えた。
性癖と、元年齢までは教えるのは気が引けたので教えなかった。
「つまり、ハジメ君は勇者達と同じ稀有なギフト持ちなんだね」と、スミス神父に言われてしまった。
「ああ、転移者でも戦闘職じゃないので、そっち方面は勇者に任せてます」と、キッパリと断っておいた。
そんな話をしていたら、エミリーが突拍子も無い事を言い始めた。
「ねぇ、童貞って何? 捨てるってどういう事?」
俺は、目が点になった。
スミス神父は、笑いをこらえている……。
スミス神父が、エミリーを呼び出し耳打ちで話をしている。
エミリーが、こちらを見て顔を真っ赤にしてる……。
ぐぬぬ、なんだこの辱め。
女神よ食肉加工の女神とか言って悪かったからこの状況をどうにかして。
しかし、女神の奇跡は何も起きなかった……。デスヨネーー!!
「それで、ハジメ君。
既に夜遅くなってるから、今日は教会で休んでいくといい」と、スミス神父が提案してくれた。
続けて、スミス神父が耳打ちで話しかけてきた。
「布団とかは貸し出すから孤児院でも良いけど。
エミリーを相手にして、ギフト喪失とかなると教会として大問題になるからね」と、耳打ちして言われた。
「ちょっ!! 何言ってんですか」
「あはは……」と、陽気にスミス神父が笑っていた。
「ここで寝ます」
2人に夜の挨拶して、教会の一室を借りて睡眠を取ることにした。
……。
…………。
何処だココ? あぁ、教会の一室か。
いや夜なのにコレは明るすぎるだろ、それにこの感じ見覚えあるぞ……。
前回と同様に女神様が話しかけてきた。
「二階堂始さん、お久しぶりです」
「ノルン様でしたっけ?
もしかすると自分は、また死んだんですか?」
「いいえ、違います」
「それじゃ、何故? ここにいるんですかね……自分」
「貴方が教会で寝てるから。
神の啓示を受けやすい状態にあるんですよ」
「ふぇ!?
その件は、まぁ良いです。 それより、[魔法使い]ってなんですか?
スキルは二つ貰ったじゃないですか……自分」
「貴方が言ったじゃないですか魔法使いになってないってね……。
なので、レベルの上限が半分でも通用するギフトをあげたのです」
「余計なお世話ですよ」と、俺が言うと。
「そういうなら、とっとと魔法使いを止めれば良いんですよ」と、笑顔で笑いかける女神がなんか怖い。
「私は運命を司る女神です。
貴方には、もっと様々な出来事を体験していただきたい」
「そこまで言うのなら。
この世界の出来事を楽しむだけですけど、一つだけ聞かせて下さい」
「なんでしょう? 今ならなんでも答えますよ」
「ん?」今、なんでもって言ったよね? とか考えてたら。
女神に思いっきり睨まれた。
あぁ、思考読まれるんだった……。
「どこまでなら? 童貞喪失にならないんですか?」
女神にセクハラを働く不敬者である。
女神が顔を赤くしている……。
あれ凄くかわいい? 前あった時は美人局で、ノーサンキューしたのになんでだろう?
「あの時は、一般的に美しいと思われる年齢を選択しましたが、貴方にダメ出しされて若い子が良いと言われたので、見た目を2歳ほど落としました。
18歳位までは、貴方の許容範囲なんですね……」
「わざわざ、そんなことしてくれなくてもいいのに……。
もしかして俺に惚れました?」
「帰りは、ぐるぐる巻きで帰されたいですか?」
「いいえ、滅相もないことでございます」
それで先ほどの質問に、恥ずかしさで真っ赤な顔をした女神が口頭ではなく、ジェスチャーで返答してきた。
左手の指で輪っかを作って、もう右手の指をまっすぐ差し込んで、「この状態で、貴方が、果てたら童貞喪失とみなします」と、女神は言った。
「口頭で言ってくれないんですかぁ。
さっき、なんでもって言いましたよね!!」
女神様が加工の準備を始めた。
「調子に乗りました。許して……」
女神は笑顔で、「許しません……」の言った。
ぐるぐるぐるぐる……。
コレマジできついからやめてぇー!!死ぬぅぅ!!
ぐるぐるぐるぐる……。
俺は気を失った……。
「ロリコンは、異世界に出荷よー!!」
と、女神は嬉しそうに俺を再び出荷した。
「(´・ω・`)そんなー!」と、つい叫んでいた。
はっ!!
俺は、教会のベッドから飛び起きた。
体に、女神の羽衣は残ってないが、ぐるぐる巻きにされた後が各所に残っている。
ノックがあり、スミス神父が入ってきた。
「どうしたんだいハジメ君? 朝から叫んで何かあったのかい?
なんだい、そのぐるぐる巻きにされたような跡は?」
「夢だと思いますが、女神ノルンにぐるぐる巻きにされました。
その跡……かと」
「まさか、それは聖痕!?
詳しく聞かせてくれないか」
色々と、朝っぱらから色々と聞かれた。
主に女神の姿など、そう言った部分だ。
女神像との違いは、女神像は普通の服きてるが女神様は羽衣だったよな。
あっ、思い出した。
[アイテムボックス]から、女神の羽衣の一部を取り出した。
「女神様のきている服は、この布で出来たフワフワした感じの羽衣です。
転生してきた時に、女神様にこの羽衣で巻かれて、こっちの世界に来たんで」と言って、羽衣を神父に見せる。
「おお!!コレが女神の羽衣!!
譲ってくれないかね……」
「流石に、それは無理ですよ。
参考になればと思い見せているだけです」
「そうか残念だが、神が君に与えたものだから仕方ないな」
「わかって、もらえてよかったです」
その後は、まだ軽く濡れている自分の服に着替えて、[クリア]の魔法で服の状態を元に戻した。
そして、教会から自分の店へ帰宅する事となった。
神父とエミリー、そして、孤児院の子供たちが見送りをしてくれた。
お店に帰って、ギルドをついでに見に行ったら、驚愕の事実が書かれていた。
[ビッグフロッグの買取停止]
え? 明日から俺は何をすればいいの……?