ノルニルさんとお買い物1
新しい週が始まり、いつもの業務とドワルドの送り迎えをする事に今回はもう一つ業務が増える。
サドタの街の教会の再編計画だ。
貴族の寄付0でもやっていけるように、ギルドに間に入ってもらう。
私は、サドタの街のギルドからもらえる利益の一部を教会へ寄付する予定である。
サドタの街の街長はリストア候の行方不明の後、クビになり新しい街長が担当している。
話によると、貴族の悪事に加担したという事で前街長は奴隷の身まで階級を落とされたらしい。
まぁ、あった事もないクズがどうなろうと知らないので……別に構わないだろう。
今日からはドワルドさんとライアン神父を、サドタの街へ送迎する必要がある。
いつもの通常業務を終わらせて、昼食を取った後にライアン神父とドワルドさんが、サドタの街へ移動するためにやってきた。
「そしたら、二人とも準備はいいですか?」
「はい」「おう」
[転送魔法]を使い、サドタの街のギルド前に移動した。
「ドワルドさんは、いつも通り作業お願いします」「おう、任せとけ!!」
「ライアン神父、ギルド長と新しい教会を作るために話し合いしに行きますよ」
「はい」
いつものように、買取倉庫の一番奥に、サドタの街のギルド長のレクターさんがいた。
「よっ!!にーちゃん。
久しぶりだな、今日はライアン神父を連れて何のようだい?」
ボルグに書いてもらった。
元教会のあった土地の所有権についての書類を、レクターとライアン神父に見せた。
「教会のあったあの場所に、再度教会を立て直します」
「えっと、ハジメ君あの場所は色々と忌々しいのでと言ってませんでしたか?」
「土地の所有者が私なんです。
貴族のトップがボルグ様に変わった以上、あそこ教会が立っていても問題ないでしょう?」
「だったら、教会を壊さなくても良かったのでは?」
「は?
ライアン神父、あなたはこの街の教会の代表なんで、もう少し考えた発言をしてくださいね。
貴方に、スミス神父のようになれとは言えませんが。
流石に、情けなすぎる発言は教皇様に報告しますよ」
「ライアン神父よ、基本的にあの貴族が罪をひっ被ってくれてはいるが、本来ならアンタも罪をかぶる立場だと思うぞ」と、レクターさんが言ってきた。
「更地だからこそ、私に土地の譲渡が発生したのです。
本来なら貴方自身がこれをやるのが筋ですよ……。
そんな貴方が神父だから、アリアは教会に戻りたくないと言ってるんです」
続けて、ライアン神父に言った。
「今回の失態は、貸しみたいなものです。
状況が状況だったが、やれることをやっていないってのが私の評価ですよ。
それに、現状がセカンタの町の温情で助けられてるという事を理解されてないようだ。
シスターや子供達は、別にそれでいいが神父の貴方がそれじゃ示しがつかないですよ」
と、厳しい言葉を投げかけた。
「貴方言いましたよね。どこでも信仰はできると?
教会のない状態でも、本来はやるべきなんですよ。
貴方は一度、大変な思いをして鍛えられるべきだ」と言うと、ぐうの音もでず俯いていた。
「それで話を本題に戻します。
レクターさん教会用の人員は集めてくれてるかい?」
「いつ初めてもいいように、すでに用意済みだ」
「ライアン神父、貴方の仕事は一から教会を作り直す事だ。
貴方は教会の代表だ、私に頼らず動いて見せてください。
まず手始めに、住居はギルドに用意してもらってるので、そこから通ってください。
それと給与は、当然出ますので安心ください」
「これは私に対するテストなのですか?」「そうですよ(その通りだ)」
「わかりました……受けましょう」
「シスターと子供達には、新しい教会を神父が作っていると伝えておきますので、頑張ってください。
そしたら、引き続きの話は、レクターさんに任せるね」
「おう、任せとけ!!」と、力強い返事を聞けたので、この場を離れお屋敷前に[転送魔法]で移動した。
お屋敷の門の前で、ノルニルさんが待っていた。
「お待たせしました。
ノルニルさん、今日は案内したいところあります?」
「そうですね、基本的なお店だと。
武器、防具、道具屋、あと服屋に行きたいです」
「服屋ですか?」
「えっと? 服屋はお嫁さん達新しい服着られてましたし。
オシャレ好きなのかなぁと思いまして」
「うーん、嫁さん達にはオシャレしてもらいたいんですけど、彼女達はかなり質素な生活するタイプなんですよね」
「そうなんですね。
武器と防具と道具屋は、ギルドの施設の中にあるんで、まずギルドに向かいましょうか」
「あっ!!それと今日も魔道具屋に最後寄ってもらっていいですか?」
「何か必要なものが増えました?」
「昨日嫁さん達来たじゃないですか、自宅とお屋敷を転送の魔道具で移動できるようにしようかなと思いまして」
「一つ、依頼しましたよね?」
「あれは、セカンタの町からサドタの街へ移動用で、今回はセカンタの町からここのお屋敷へ移動用ですね」
「わかりました、最後に魔道具屋ですね」「はい、お願いします」
ノルニルはギルドへ移動し、私はその後をついて行った。
ギルドの二階へ階段を使って上がり、武器屋のある店まで移動した。
ちなみに隣が防具屋だった……。
武器屋に入り、店主に質問をした。
「今使ってる武器より、魔法適性が高く攻撃力の高い剣はないか?」
「おいおい、剣なのに魔法適性を求めるって、お客さん魔法剣士か何かかい?
それに、それはミスリルの剣じゃないか。
両方兼ね備えてる武器なんてものは、宝剣か魔剣くらいの物だろう。
純粋に魔法がメインなら杖を持てばいいじゃないか?」
「私は、商人だから杖は適正武器ではない、だから剣が欲しい」
「んー、困ったお客さんだね。
それなら、ドワーフの刀匠にオーダーメイドして魔剣を作るのはどうだい?」
「刀匠には、どうやって会えばいい?」
「お客さんに、ドワーフの知り合いがいれば。
そこから紹介してもらえるさ」
「そうか、それならアテがある。情報提供感謝する」
「ノルニルさん、こっちに来て」
「はい」と、言って他の武器を見ていた。
ノルニルがこちらに近づいて来た。
「店主、情報提供の礼だ。この子に合う武器を見繕ってやってくれ。
代金は私が出す」
「「えっ!?」」と、店主とノルニルと共に驚いていた。
「有益な情報を得たんだ。
何も買わずに帰るのは商人として失礼だろ」
「そんな、高価なものを頂くわけには……」
「そんな事気にせず、ラッキーって位に思ってくれ。
私も店主の礼の為に買い物したいだけだからね」
「それなら、お嬢さんは盗賊の職業をされているので、ナイフ装備ですよね?」
「はい」
「装備を見せてもらえますか?」と、言われノルニルは、腰に付けてるナイフを店主に手渡した。
「鉄製ですね。この辺りでは初心者向けの装備ですね。
お客さん、本当に良いんですね?」と、最後の了承を私に確認を取って来た。
「構わんよ、ミスリル製のナイフでも別に」
「お客さん一体何モンだい?」「しがない、商人さ……」
店主はノルニルにミスリルナイフを渡し、私に2400ゴールドを請求して来た。
代金を渡して次の店に移動した。
「防具は今のところ大丈夫なので、次は道具屋を案内してくれるかい?」
「あっはい。わかりました。
装備ありがとうございます」
「せっかくノルニルさんに出会えたんだし、装備がイマイチで怪我でもされたら私も悲しいしね。
だけど、冒険者である以上、死は覚悟しておかないといけないわけだ。
だから今持てる最高の装備を買う。コレが死なない近道さ」
「本当に、凄いですね。凄腕の冒険者さんみたいです」
「まぁ、武器が揃っておけば防具を揃えやすいでしょ」
などと歩きながら会話していたら道具屋についた。
道具屋のラインナップを見ていたら。
MP回復薬なども揃っていたので、回復薬の類を一通り購入し次のお店へ向かった。