貴族の逃走の果てに……。(閑話)
貴族のリストアの結末になります。
俗に言うザマァ回? いや因果応報かな?
(閑話になります)
ふざけるな……。
なんだ、あの化け物は遠距離で声を届ける奇術を使ったり。
数日で城壁を作り、敵陣に魔法で乗り込んで来た。
更に、あの魔法の威力はなんだ。
二発で、手勢の大半を損失したではないか。
2000だぞ!! 町如きが退けれる数じゃないハズなのに。
あの男を一人に、やられたようなものだ。
あの男の3発目の魔法が、来る前に逃げねば……。
逃げてしまえば、奴に大量殺人の罪を押し付けてやればいい。
あの男を始末した後に、セカンタ町を占拠してしまえばいいだけだ。
今はまっすぐだ、まっすぐ逃げよう。
北の森を、ゴブリン達を退け懸命に私は走って行く。
ぐっ、体が重い、日頃の不摂生のせいか。
単体のゴブリンは退けてきたが、ゴブリンの群れが、獲物を追い詰めるように私を囲んできた。
手持ちの武器で、なんとかゴブリンを仕留めることができたが消耗し過ぎた。
だが後ろに戻れば、魔法の餌食だ。
ここに残るも……さっきのようにゴブリン達の餌食になる。
森だ、森を抜けよう!!
森さえ抜ければワシは助かるハズ……。
懸命に森を走る、先に明るい光が見えた。
ボロボロになりながらも、なんとか北の森を抜けることができた。
平原を進んで行く、だれかいないのか?
だれかワシを助けよ!!
ワシは貴族のリストア候だぞ。
ずっと先に続く平原、何もない。
それでも、平原を進んでいった。
あっ、人影だ!!
「ワシは、サドタの街の貴族リストア候である。そこの冒険者よワシの護衛をせよ」
と、大声をあげた。
人影がワシに気づき、ワシに近づいてくる。
あっ、コイツらは人じゃない……。
女性タイプのオークのオークレディだ。
オークレディ達は、いいおもちゃが見つかったかのように、舌なめずりをしている。
オークレディはワシを取り囲んだ。
この状況は、拙いと察してなんとか包囲を抜けようとしたが、
後部から鈍器で殴りつけられ、そしてワシは気を失った……。
……。
…………。
目が覚めた。
ここは、どこだ?
松明が付いていて、薄暗い洞窟のようだ。
部屋の中に、ワシと冒険者風の男とボロボロにされている僧侶風の女性がいた。
冒険者風の男が、ワシに気づいて話しかけてきた。
「新入りさん起きたかい……。起きても起きなくても、ここは地獄だがね」
と全てを諦めたように話してきた。
「ここは、どこだ?」
「オーク達の貯蔵庫さ、ある意味宝物庫も兼ねてるな」
「宝物? そんなものないじゃないか」
「ご冗談を、あんたには男として大事なものが、まだ付いてるんだろ?」
「俺のモノを見てみろよ……」
「だれが男の下半身を見るものか気持ち悪い」
と、ワシは冒険者の言葉を断った。
「つべこべ言わずみろ、それで現状がわかるさ」
強く言われて、渋々冒険者の下半身を見たが大事なものがない、止血をされて切り取られている。
ワシのは大丈夫か? と心配して下半身を見てみるが、無事付いてるようだ。
というか、下半身は丸裸にされ、腕は動かせないように括られていた。
男の尊厳が付いていることに、ホッとするも束の間、冒険者の男が話し始めた。
「俺は、オーク達の食料、アンタと俺のパーティの僧侶は繁殖の為の道具さ」
「食料で捕まえた男は、オークレディが悪さしないように、男の象徴を切り取られるのさ。
ここからアンタは、そこの女と同じ状態になるんだ……」
私は、ボロボロになった女性を見た……。
女は、壊れている、完全に壊れている。
だが、ワシはどこかで、これを見たことがある。
「女と違い男は、そうなんどもやれるものじゃないだろう」
「モンスターの類にそれが通用すると思ってるなら、苦労はしないよ。
砂漠で必死になって、ラッキーインセクトを狩っていたら。
一匹も倒せないわ、訳の分からない商人が恐ろしい魔法使うわで、初心に返ってオーク狩りをしてたら不用意に突っ込み過ぎてこのザマさ、仲間二人はすでに奴らの胃の中さ。
あの商人が言ってたように、俺がもっと考えて行動すればこうはならなかったのに……。
みんなすまない」
貯蔵庫の扉が、ガチャガチャと鍵を開けるような音をしている。
扉が開いた……。
男と女が叫び始めた。
かたや、食料になる恐怖。
かたや、道具として慰みものになる苦痛だ。
オークが、女を捕まえて引きずって行く……。
「いやぁ……助けてぇ……もう殺して……」
と、叫びだけが響いて声が遠くなっていった。
先ほどの状態を見ていた二人は、いつ扉が開くのかと恐怖した……。
再び扉が開いた。
オークレディだ。
オークレディは、薬を口に含んで、ワシに薬を飲ませようと口移しで飲ませようとした。
ワシはそれを拒否した。だれがこんな化け物と口移ししなきゃならないのだ。
オークレディはワシの行動に怒り、殴りかかってきた。
顔面にオークレディの拳が当たる。
ものすごく痛い、こんなものをくらい続けるとワシは死んでしまう。
再び口移しで薬を飲ませようとしてきたが、それを受け入れた。
恐怖に敗北したのである。
あっ、この行動も嫌がる少女達にワシがしてきたが口移し行為じゃないか。
薬を飲ませた事に満足して、オークレディが貯蔵庫を出ていった。
「新入りさん薬飲んだのかい……。
これでアンタは引き返せないよ。
人として生きていたかったのなら、さっきの状態で殺されるのが正解だったんだよ。
これから、壊れるまで使われる、壊れてからも使われる」
と、俺の下半身を見ながら、冒険者の男が言った。
どういう事だ……。
私の感情とは関係なしに、もの凄い状態に下半身がなっている。
あの、商人が持ってきた薬を飲んだような状況か? いや、それ以上に酷い感じだ。
再び扉が開いた。
3倍以上の大きさのオークが、扉前に立っている。
あれは、オークキングか?
あまり、の出来事に内心恐怖しているが、ワシの下半身はいきり立っている。
オークの子分2匹が冒険者の男を牢屋の外に連れ出し……。
「嫌だ……死にたくない……!!」と泣き叫ぶ冒険者。
オークキングがその叫びを不快に感じ、冒険者の頭を掴み上げ握りつぶした。
部屋の入り口は血まみれになり、血の匂いが辺りに充満した。
食料を確保した、オークたちはこの場を離れて行った。
嫌だ、死にたくない……。誰か、ワシを助けてくれ……。
冒険者の男が連れていかれて30分位した後に、オークレディが複数で貯蔵庫に入ってきた。
オークレディ達が私の下半身を見て舌なめずりしている。
気持ち悪い……。
ワシは貴族だぞ、なんでこんな目にあうのだ!!
冒険者の男が言った言葉が、思い出された。
もっと考えて行動しておけばこうはならなかった。
息子の発言を聞いておけば、こうならなかったのか?
などと、考えていると。オークレディ達に引きずられるようにして。
違う部屋に運ばれた。
そこの部屋には複数のオークレディがいて、松明の明かりと鏡が用意してあった。
その部屋で、オークレディ達に嬲られ満足できなければ暴力を受け、道具のように扱われた……。
何故ワシが、こんな目に会わなければいけないのだ。
だが、薬の効果で常に下半身は全力モードだ狂いそうになる。
暴力を振るわれたくないから、対処する。
それに気づき、ニヤついていているオークレディ達。
ふと、鏡を見たとき、オークレディの位置にワシがいて、今のワシの位置に少女達がいる。
そんな光景を思い出した。
ワシは、モンスターと同じような事を少女達に続けてきたのか。
そんな、感情さえも不要と言わないばかりに、オークレディからの暴力を受けるのであった。
誰も助けに来てくれない……。
そんな日々が何日も続き、ワシは考えることを放棄した。
数ヶ月後、このオークの巣はオークキングと共に討伐されるが、2名の男女が繁殖の道具として扱わていたのが判明した。
精神の壊された男女2名がギルドによって保護されたのは、また別の話である……。