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エクスプロージョン!!

この話が100話目になります。

 その日、沢山の人が死んだ……。そして、沢山の人が生き返った。


 [エクスプロージョン]を放つ覚悟を決めた私は、貴族達に最後の通告を行なった。


「今から、あなた達へ攻撃を行います。

 死にたくない人は、今の位置から進まないように」

 と、スピーカーを使い、敵軍に通告を行なった。


 リストアが、手勢以外の3000名をうごかそうとするが、動く気配がない。

 手勢以外を動かすことを諦め、2000名の手勢を前進させ始めた。


 リストアは、最後方から指揮をしていた。

 軍は前進を続け2000人全て、私の射程距離に入った。


 私が、やらなければ町の人間全て死ぬ。

 やるしかない……。


 三発も魔法を撃てば壊滅できるだろう……。

 魔法の詠唱を始めた。もう魔法の発動をキャンセルするつもりはない。


 ……。

 …………。


 覚悟しろ、腐れ貴族ども!!


 ミスリルの剣を構え、前線の軍をめがけて[エクスプロージョン]を放った。

 大きな爆風が巻き起こり……。

 兵士達が、吹き飛んでいる、中には爆風で爆散しているものもいる。


 聞こえないはずの、兵士達の声が私の元に届いた……。


 死にたくない……。


 熱い……。


 助けてくれ……。


 聞こえるはずのない、様々な声が聞こえたが無視した。


 そのまま、二発目の、[エクスプロージョン]を放った時。


【善行値と悪行値の、相殺を開始します。】


 と、何度か見たことのある、注意書きみたいなものが表示された。

(例:インターネットや、盗難の時の注意書き)


 私の中で、兵士達の恨みごとや私に対する恨みの声が聞こえてきた。


 酷い……。


 悪魔なのか……。


 死にたくないよ……。


 声なき声を聴き、

「ふざけるな!!

 お前らは人を殺しに来たんだろう、自分の都合のいいことばかり喋るな!!」


 私は急に叫んだ後に、頭を抱えるようにして屈み込んだ。


 気分が悪い……。

 気分が悪くなりすぎたため、胃液が逆流してきたので手で口を抑えた。


 リストアの軍はほぼ壊滅しており、すでにリストアは自軍を放り出し北の森へと逃げ出している。


 死にたくない……人殺し……ひとでなし……。

 たすけて……たすけて……たすけて……タスケテ……。


 殺した人々の悪感情が、俺に流れ込んでくるのがわかる。

 悪感情に私の心が折れそうになった時、レベルが40になった。

 人殺しによる経験値が、加算されたのだ。

 【レベル40になりましたので、善行値と悪行値の計算を停止しますと表示された】


 軽く壊れかけた私は、そのまま屈み込んだままだった……。


「大丈夫か? 町長」とミルコさんが心配してくれた。

 ボルグは、何が起きたのか理解できていないようだった。


 私は立ち上がり、「大丈夫、状況を教えて」と言った。


 ボルグが、

「当家の手勢はほぼ全壊、死者多数。

 後方にいた父はそれを見て、護衛も付けずに一目散に逃げ出したよ。

 すでに戦況は決まった。皆を降伏させてやってくれ」


「あぁ、わかった」


 マイクを手に持ち。

「サドタの街の諸君、君達の敗北だ。

 悪いようにはしないから、敗北を認め武器を外し両手を挙げて降伏してくれ」


 外部兵3000人、生き残りの貴族の手勢は降伏した。


「マルコさん、ギルドで敵兵士達の捕縛をお願いします。

 決して暴力は振るわないようにして下さい」


「あぁ、任せてくれ。行くぞ私達の勝利だ!!」


「おーー!!」と冒険者達を連れて兵士達を捕縛しに行った。


「スミス神父、教会の人間で怪我人の治療の手伝いをお願いします」


「ああ、任せてくれ」

 と言って、内側の城壁を降りてスミス神父は治療班を集めてくれていた。


 最後に、

「ミルコさん、町からMP回復剤を、ありったけ集めてください。

 ボルグさん、あの敵兵士達をまとめてもらっていいですか?

 兵士の二人は、けが人を一箇所に集めてもらえるかな?」


「「「わかった」」」


「私は、生き残りの治療を行います……」


 今の私は、[魔力視]を切っている。

 魔力視をつけると、悲惨な姿が見えるのが、目に見えている。

 高台にいた人間を全て、地面に降ろし各自作業にあたってもらった。


 私が、けが人を治療していると、

「悪魔だ、魔王だ……」等と、いう声が聞こえた。


 兵士達は私の姿を見て怯えている。

 圧倒的な勝利は人を恐怖させる……と、理解することができた。


 兵士達の協力もあり、一通り怪我人の、魔法の治療が済んだので、次は死人だ。

 自己防衛の為に、切っていた[魔力視]を使った。

 悲惨だ、人がいたであろう場所に、魔力の残滓が残っている。


 残滓がある場所に向けて、[レイズ]の魔法をかけていく。

 魔力の残滓だったものに、肉体が形成され兵士が生き返った。


「アレ? 俺は爆風に飲まれて……。お前は!!」


「あぁアンタか、施設を壊した恨みがあるから、アンタにはもう一度死んでもらった方がいいかな……」


「あの件は、すまなかった。

 反省している、許してもらえないだろうか」


「反撃しようとか、無駄なんで余計な気は起こすなよ。

 すでにアンタの大将は、一目散で森の中に逃げて行ったよ」


「あぁ、わかった」


「武器を捨てて両手を挙げて、ここで待機しろ、俺は他の人間全て生き返らせる。

 邪魔をするなら、もう一度魔法を食らわすぞ」


「……」と、兵士は俯いてしまった。


 1/2ほどの兵士を、生き返らせたところで。私の魔力が尽きてしまった。

 自然回復で、MPを回復させていたら、下手するとタイムリミットが来てしまうかもしれない。

 そうすると蘇生ができなくなる、それは回避したいのだ。

 それと、レベルが40から39へと下がっていた……。


 兵士の命を奪って、経験値に変換したのだ。

 [レイズ]によって俺の経験値が、兵士達に奪われているのか?

 そんな事を考えていた最中に、ミルコさんと神父が話しかけてきた。


「町長、ありったけのMP回復剤を持って来たぞ……」


「ハジメ君、蘇生した直後の人間は、体力が少ないみたいなので私達がその後の対応は受け持つよ」

 と、副町長の二人が言ってくれた。


「助かります、二人とも」


 MP回復剤をミルコから受け取り、[栄養ドリンク]とMP回復剤を飲んでまた蘇生作業を再開した。


 強引にMP回復を繰り返し、あたりは暗くなってきたが、魔力視で確認できる分の、蘇生は全て完了した。


 MPは完全に尽きて、経験値がごっそりと奪われたのを実感したが、なんとかレベル39は維持していた。


 私は全ての人間を救えた事に安堵し、その場に倒れた。


「ハジメ君!!」「町長!!」と、ギルド長と副町長の二人が私の元に駆けつけてきた。


 いろんな人の、私を心配する声が聞こえたが今はもう眠りたい。

 そのまま私は、気を失ってしまった……。

腐れ貴族死なないの?

後日談がありますので、そちらで腐れ貴族の結末はわかると思います。

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