世界観が変わった夜
旧ナンバリングでは その1の末尾
一月二十一日(水曜日 深夜)
その夜、おれは二人の手引きにより、おのが常識の範囲が猛烈に広がった事を知った。
妹ごっこの二人が知っていた現実と貫一が知っていた現実は同じようでいて、まるで違っていた。
貫一が眠りに落ちたのが気配で知れる。
極度の興奮状態にあったので、普段とは違い随分と眠るのに時間がかかった様子だ。
のんきな貫一でも今日の事で、これからの自身の取り巻く世界が、常識から少しずつ逸れだす事を自覚するようになるだろう。
望んだ通り、これで事態は動くはず。その主導権を握るのが、誰であろうと……。
羅針盤、いや、今はただのギャンブルのルーレットだ。
必ずそれを回す者が現れる。
最初に回し、見事に望む数字を当ててみせたあの二人はさぞや満足している事だろう。
次に回す者、その出目が貫一にとって良い目なのか悪い目なのかは、解らない。
これからのすべての出来事は貫一の選択次第。
望みはまだ解らない。
願望もまた知らない。
本心もまた借り物なのだから。
それらの事を無意識に思った所で眠気が生み出される。
幾万、幾億、幾兆と繰り返してきた意志なく、今は意味もない思考遊びの深淵へと緩やかに下降していく。
※この夜の出来事は、大幅修正予定です