冒険者登録
--あらすじ--
ナオヤ「盗賊に再び襲われた?ので捕まえた」
アイラ「襲われました…」
シス『再び襲った?』
「なにしているんですか!兵士さんに剣を抜こうとするなんて!」
俺は、アイラから説教を受けていた。
「だって…、通行証がなかったから…」
「1人が見せるだけでも通行できるんですよ!」
「そうなのか?」
「そうですよ!」
『おい、シス』
『聞かれませんでしたので』
こいつ。
「とりあえず。ごめん」
「次からは、気をつけてくださいね」
「あぁ、約束する」
そう言って、アイラと約束をする。
『マスター気をつけてくださいね』
『お前が言うなよ!誰のせいでこうなったんだ!』
『思慮が足りないマスターのせいです』
『お、おう』
悔しいが否定できない。
「だいぶ日も傾いてきたし、どうしようか?」
「先に、ギルドで冒険者登録したいです」
「冒険者登録か…。そうだな、とりあえずギルドに向かうか」
俺たちは、冒険者登録をするべくギルドのある方向へ向かった。
「着いた!」
数分後。俺たちは、石造りの建物の前に来ていた。
「この中だよな」
「そうです」
俺は、恐る恐る目の前の木でできた扉を通る。
「うわぁー」
「すごいですね」
ギルドの中は、冒険者たちで溢れかえっていた。
俺たちが、入り口で周囲を見渡していると、それに気付いた冒険者の1人が話しかけてきた。
「よう。新人か?」
「はい、そうですけど…」
酒くさっ。
どうやら、ギルドの中にある酒場で飲んでいたらしい。
アイラも気付いたらしく、俺が見たときにはすでに鼻をつまんでいた。
とりあえず俺たちは、酒の臭いにやられそうだったので、その男から離れようとすると…。
「まてまて、どこに行くんだ?俺がギルドを案内してやるよ」
アイラを眺めながら、男はそう言った。
『気持ち悪い男ですね』
『あぁ、どうやってこの場を離れよう』
そんな考えをしていると…。
「おいシャード、俺の連れに何かようか?」
突然、後ろから金髪イケメンの男性が声をかけてきた。
「なんだよライト。お前の連れだったのかよ」
ライトという男がそう言うと、シャードと呼ばれた男はその場を去っていった。
「大丈夫だったか?」
「えぇ、助かりました」
「シャードも酒を飲まなければいいやつなんだがな」
そう言って、ライトが苦笑する。どうやら、酒を飲むとだめになるタイプの人らしい。
俺は苦笑し、横を見るとアイラも苦笑していた。
「それより、お前たち新人だろ?」
「「はい!」」
「冒険者登録なら、目の前の受付に行けば登録できるぞ」
ライトは、ギルドに入って正面になる受付を指差しそう言った。
「「ありがとうございます!」」
「じゃあ、頑張れよ」
「「はい!」」
ライトはそう言うと、ギルドの外に去っていった。
「よし、俺たちも行くか」
「そうですね」
そう言って、冒険者登録ができる受付まで歩いていく。
「すみません。冒険者登録をしたいのですが…」
「はい、分かりました。こちらに名前と職業をお書きください」
そう言うと、受付の人が一枚の紙を渡してきた。
『シス、俺の職業ってなんだ?』
『神の使いです』
「なるほど、神の使い…『っておい』」
『なんですか?』
『さすがに神の使いとは書けないだろう。それに神に使いを頼まれた記憶は無いぞ』
『後半は、私も知りませんよ。それより、書けないのであれば職業を偽装することも可能ですが…』
『本当か!ぜひ頼む』
『分かりました。…職業を偽装しました。村人です』
職業村人ね。俺は、受け取った紙に名前をナオヤ、職業の項目に村人と記入した。
記入が終わった俺は、アイラのほうを見る。
なるほど、アイラの職業は冒険者なのか。やはり父の遺伝があるみたいだな。
アイラも記入が終わったため、2人でその紙を受付に提出した。
「えっと、名前がナオヤで職業が村人ですね?」
「えっ?ナオヤって村人なんですか?」
「あぁ、そうだけど?」
「村人なのに、なんでそんなに強いんですか?」
しまった。村人は最弱職らしい。
「村で鍛えていたからかな?」
いつも通りの言い訳。
「そういうことですか!」
うん。俺の村便利。
ちなみに、職業によって能力値が変わるらしい。職業は協会で10歳になると確認できるとか。
っと、受付の人が困っているな。
「すみません。話を続けてください」
「あっ、はい。それでは、こちらに手をかざしてください」
俺たちは、水晶に手をかざすよう薦められる。
言われたとおりに手をかざすと…。水晶が光り始めて、レーザーが水晶の下にあるカードに当てられた。
「これで登録は完了です。冒険者ランクはFから始まりますが、依頼をこなしていけばランクアップできるので頑張ってください」
「はい」
「ねぇナオヤ?」
「なんだ?」
「盗賊も引き取ってもらえばいいんじゃないですか?」
「そう言えば、そんなのがいたな」
アイラに言われるまで忘れていた。
とりあえず俺は、受付の人に聞いてみる。
「すみません、盗賊を捕まえたらどうすればいいんですか?」
「それでしたら、ギルドを出てすぐ横にある建物に連れて行けば報酬と交換されます。ただ、盗賊は強いので気をつけてくださいね」
「ありがとうございます」
そう言って、俺たちはギルドを出た後、路地裏に向かった。
「どうしてこんな場所に来たのですか?」
「あぁ、さすがにみんなの前でバッグから盗賊を出したら目立つからな」
そう言いながら、俺はバッグから盗賊たちを取り出す。
「てめぇ、この野郎」
「…って、ここはどこだ?」
「街中じゃねえか。どうなってるんだ?」
取り出された盗賊たちは、状況が理解できずに動揺している。
『シス、縄をお願い』
『分かりました』
俺はバッグから縄を取り出して、盗賊たちを縛り始める。
「てめぇ、何すんだ!」
「やめろ、触るんじゃねぇ!」
「…これでよし」
目の前には、縄で縛られた盗賊たちが転がっていた。
俺たちはその盗賊を放置して、ギルドで言われた受付へと向かった。
「すみません」
「なんだ?」
「盗賊を捕まえたのですが」
「盗賊だと?そんなものどこにいるんだ?」
「実は、多すぎて連れてくるのが大変だったので、路地裏に転がしています」
「はっ?笑わせるなよ。お前みたいなやつを、相手にしているほど暇じゃないんでな」
「本当なんです」
受付の人は冗談だと思ったらしく、構ってくれなかった。
すると、アイラが受付の人の手を取りそう言った。
「はぁ、分かったよ。おい誰か!こいつらと一緒に路地裏に向かってくれ」
その人は降参したらしく、仲間に呼びかけてくれた。
「どうしたんです?」
「あぁ、盗賊を捕まえて路地裏に転がしているらしいから、一緒に行って確認してきてくれ
「この子達が?…分かりました」
同行することになった男は、半信半疑になりながらも俺たちに付いてきてくれた。
そして俺たちは、路地裏に向かったのだった。