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別に出会いなんか無くて良い  作者: 星野夜
一学期
2/15

第1話『確実にデリカシー損傷罪で確保されている』

 最初に言い忘れてましたが、この小説は長編にしようと書いていましたが、あまりにも長くなってしまいそうだったので、駒切りにして分割、連載型にしました。ゆえに、文章が途中経過から始まることがありますので、そこを了承ください。

 中学を終え、とうとう高校生活。みんな、高校生活に浮かれ気分。俗に言う、高校デビューのリア充予備軍。そんな学生が溢れかえっている入学式、私は独り、無情で立ち尽くして、校長の演説を見つめている。まぁ、話し相手がいる訳でもなく、暇だとも思っていなかった。むしろ、話すためにエネルギーを消費するつもりなし。

 長々とした入学式を終え、学生達は騒ぎ立てながら教室へ。教室では沢山の学生が盛り上がっている。入学式を終えた直後、良くもまぁ、こんなに燥げられるね。そこに尊敬の意を示します。

 私は一番後ろの窓際席に静かに座った。その席は俗に言う、ボッチ席と言うもの。どうやら、私はついているらしい。

 お祭り騒ぎな教室の中、ボッチ席の机でのんびりマイペースに突っ伏していると、誰かが話しかけてきた。私は少し反応して面倒くさそうに顔を上げる。そこには一人の男子生徒が。黒髪の天パで寝癖を直していない。だらしなくシャツを出したままで制服を着ていた。

 男子生徒は私に話しかける。

「君、友人は? もしかして、いない?」

 この男子は私を気遣う気持ちで話しかけてきたのだろうけど、私からしたら有難迷惑。それに、ボッチ好きの私じゃなければ、確実にデリカシー損傷罪で確保されている。

「いない」

 私は面倒だからと適当に流す。

「いないのか? 俺が一人目になってやるけど?」

 どこの国の王子様だよ。悪いけど間に合ってます。無駄な配慮です。

 私は再び面倒に返す。

「良いです。自分はボッチが一番似合うので」

 その男子は悲しげな表情を浮かべると、自分の席へと戻っていった。

 一体何がしたいの? あのデリカシー損傷罪もボッチ?

 少しだけイラついてしまったので、冷静になるために机に突っ伏し、眠りに就いた。


 急に飛んで放課後の事。暇人帰宅部学生は嬉しそうに次々と帰ってゆく。私はいつもみたいに暇そうな顔で一人、帰る。初の高校生活、さすがに疲れたし、そんなにはなるよ。

 玄関で靴に履き替え、私は下校する。周りでは数人のグループが一緒になって帰っているのが見えている。話し声が自然と耳に付く。これがまた、耳障り。私は耳障りな音を聞きながら帰る。

 下校通路の一つに角を曲がる所がある。良く恋愛小説の古くてベタなシーンで、ここを走ったら偶然、男子学生と曲がり角で衝突してしまい、目が合ってしまうみたいな事があるけど、現実は非情、そうにはならない、望まない。そもそもボッチな私にそれはNG。なので、ここはごく普通に曲がってゆこうかな。

 私は普通に曲がる。その時! まさかのベタパターンに陥ってしまった! 曲がり角から一人の男子学生が飛び出して来て、私はぶつかり、反動で尻餅を付く。

「だだだ、大丈夫か?! ごめん、急いでたもんだから!」

 その男子生徒は天パ黒髪ボサボサの男子。見覚えのある姿をしているそいつは、教室で私に話しかけてきた一番最初で最後になるのではないかという男子生徒。

「あ、お前は確か、あの時の!」

 あー、最悪だ。まず、このシュチュエーションなのに、デリカシー無し男。おまけに好意すら持ったことのない私。無駄な時間帯を返して欲しいくらいだった。それに、尻部にダメージを負ったしね。

「痛いなー……気をつけてもらわないと困るよ……」

「ごめん、ほら」

 その男子生徒は手をかそうと右手を差し出した。私は自分の意思で立ち上がってその男子生徒の横を通り過ぎていった。

 あ~あ、せっかくの新制服が泥で汚れちゃったな。

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