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失われた迷宮

魔王ヴァーディエンテを下僕としてから迷宮攻略はすいすいと進んでいった。

彼女(?)は魔王である割に気さくというか、テイムされたにしてはぞんざいな気もした。

その後ボスも雑魚もどんどんテイムしまくり、攻略は凄まじく楽になった。

ドラゴンやらゴーレムやらロック鳥やらグレーターデーモンやら。

こんなのが何百匹もいるパーティってどうよと言う感じだ。

めんどくさいので、パーティについてこなくていいと言って放置している。

もう正直強いと思えるボスもいないことだしな。


ともあれ150層まで来て思うことはヴァーディエンテさまさまってことだ。

ピンクな髪と目はちょっとアレだが、ちっちゃい子が話し相手でいるだけでも心やすまる上に、

彼女は料理もできた、ってかダンジョン内でよく調理なんて出来るものだとは思う。

調理道具をアイテムボックスに収納しているようだった。


「マスターのお陰で正直助ちゃった」

「助かる?」

「呪いで縛り付けられてたからね、

 ボクの意思はあったけどこんな所に居たかった訳じゃないんだ」

「あー」


ボス部屋臭いアレだから、ボスはそこから出られないというのも不思議じゃない。

あくまでゲームにおいてはだが、この世界がゲームの世界である可能性は十分にある。

俺はここがフルダイブ型のゲームみたいなものじゃないかと考え始めていた。

ログアウトできないし、フルダイブ型のゲームなんぞまだ開発されたとは聞かないが、人体実験かもしれない。

現状に対して俺はどう把握していいのかまだ迷っている。

確かに、異世界っぽいが、ステータス表示やレベル、パラメーター等、現実ではありえないものも見かける。

まだ調べていない事も多いが、とりあえず気をつけておいたほうがいいかもしれないな。


「色々と聞きたい事があるんだが」

「聞きたい事?」


ピンク髪のゴスロリ少女とはいえ、魔王だ、年齢だってかなりのもののはず。

世情には疎い可能性もあるが、全く知識のない俺よりはマシなはず。

一応、俺の使徒という事になっているようだから、俺に不利な事も言わないだろう。


「そうだな……、俺は異世界からこの迷宮の最下層に飛ばされたばかりでね。

 この世界の事は何も知らない。

 ここは何処なのか、迷宮の外はどんな所なのか、可能なら元いた世界に帰る方法も教えてほしい」

「へぇーそれで最下層から来たんだね? もしかしてグロウエルモも倒しちゃったの?」

「まあな、流石に殺されそうになったが」

「グロウエルモはこの世界の竜種では最強の一角だよ。それを倒しちゃうなんでね……」

「たまたまだ」

「う~ん、まあいいか。じゃ、話すね」


彼女は俺を先導しながら、話を始める。

既に現時点においても俺は彼女から利益を得ている。

それは、150層からボス部屋等を経由しないで第一層まで行く直通ルート。

どこまでも登っていく螺旋階段だ。

しかし、通常時の俺ならとうに音を上げていただろう段数が下手をすれば万に届きそうな階段だからな。

その辺はレベル様々というべきか、VRゲームだからかはわからないが。


「この世界はディオノヴァーラって創造主が作ったんだけど、

 彼女の体が大地になったって言われてる。

 そして、大地から5柱の神と1柱の魔神が生まれてね。

 互いに争い続けた結果、魔神が他の5柱に負けて封印されちゃった。

 だけど、神達も傷ついて力を落としたんだ。

 既にその頃には竜種が世界で繁栄していてどうしようもなかったから、

 神達は自分たちの世界を作って閉じこもった。

 でも、いつかは復権したいと考えていたんだ。

 だから、彼らは眷属を残したの、それぞれの神や魔神の加護を得た種族を。

 ここまでが神話ね」

「なるほど」


彼女はMPが十分回復したからと魔法を唱える。

ふわっとした浮遊感が俺を襲う、彼女は俺の手をとり上昇を開始した。

飛翔魔法ということか、やっぱり異世界なんだなーと関心してしまう。

落ち着いた所で、彼女は話を続けた。


「各種族はそれぞれ国をつくり、住み分けしたんだけど、

 そのうち問題も出てきたの、人口が増えたり食べ物が十分手に入らない土地だったり。

 それらを解決するために、国交が持たれることになって……。

 戦争、分裂、再統合、国家も潰れたり起こったりで色々とね。

 でもそんな中、魔族は大きな勢力を持ち、他種族を制圧していった」

「魔神の眷属だから?」

「半分はそうかな、5柱の神と互角にやりあった魔神ドルオール様の眷属だもの。

 でも、魔族といっても沢山種族があってピンキリだったけどね」

「では兵力差か?」

「ううん、多少はあったかもだけど。

 自分で言っちゃうのもアレだから言わせないでほしいのよね」

「なるほど魔王の存在か」

「うん、魔王は魔神の死体から生まれたとされている。

 もっとも代を重ねていくうち本当のことはよく解らなくなったんだけど。

 ただ、他種族を圧倒する存在だったのは事実だよ。

 そしてボクは当時、歴代でも最強と言われてた」


やはり、魔族の領土を増やしたのは彼女なのか。

しかしそうなると、彼女がここにいる理由がわからない。

というか、そうすると150階より上にもそういう存在がいる可能性も……。


「さっきも言ったけど神々は引きこもっただけで生きてたの。

 だから、ボクがというか魔族が世界を獲るのが気に入らなかった。

 ボクは5柱の神から加護を受けたとか言う勇者に倒された。

 とはいえ、いくら加護があっても眷属がボクを殺すなんて出来るはずもないしね。

 だから、神達はボクをこの迷宮に封印するための呪法を仕掛けていた。

 元々は不死の研究をするために作られたけど、神々が封印して誰も入れなくしたみたい。

 だからボクがエンシェントカオスドラゴンを封印してたんだけどね。

 ついででボクまで封印されちゃった。

 その上呪われてあの部屋から動けないし、最悪だったよ」

「……なるほどな」


このボクっ子幼女のような魔王はかつて世界征服しようとしてたわけか。

封印されて当然かもしれないな……。

とはいえ、色々と面白い事を聞く事ができた。

まあ、今までの話を総合してVRゲームだとするとクソゲーだと理解したが。

なにせ、最初に大ボスを倒してしまったんだから次に何をしろとっていう話だ。

まあ、別に俺はそういうことを満喫するためにいるわけじゃないからいいが。


「封印されてかれこれ1000年近いから正直今外がどうなってるのか知らないけどね」

「1000年か……長いな」

「うん、最初の100年は開放されたら目に映る者を皆殺しにするつもりだったし。

 次の100年は神々への復讐を考えてなんとか気持ちをつないでた。

 次の100年は開放してくれた相手の言うことを1つだけ聞いてあげようと思ったし、

 次の100年は開放してくれなかった相手を皆殺しにしようと思ってた。

 でもそれが限界だった、もう正直めんどくさくなって考えるのをやめてたよ」


だんだん目がうつろになってくるヴァーディエンテ。

飛行中なので集中力を切らさないでほしい。

だんだん上昇スピードも落ちているのですが……(汗)


「あーうん、ご愁傷様」

「でもマスターが開放してくれたし、これからも一緒にいてくれるよね?」

「え?」

「だってもう、孤独で気が狂ったボクを助けてくれる子がいるとは思えないもの」

「そうだな……好きにしたらいい」

「わかった!」


そう言って抱きついてくる魔王ヴァーディエンテ。

見た目がゴスロリピンク髪の幼女なので強く拒絶もできない。

男って弱いなぁと思う。

そんな事を思っている間にも上昇は進み、天井が見えてきた。


「ようやく第一層まで来たみたい」

「しかしまあ、よくこんな直通のところがあったものだ」

「自分たちがめんどくさい事をするのは嫌だもの」

「わかるけどな……て、え?」

「だって、作ったのもボクだもの。もともとエンセントカオスドラゴンを封じる為だったんだけどね。

 何せ、ボクでも正面からじゃとても勝てないし」

「はぁ!? じゃなにか、自分たちの作った迷宮に封印されたのか!?」

「まあね、封印自体に例外はないし、封印したのは神達の作った呪具だけどさ」

「なんといっていいのか……」

「気にしない、気にしない♪」


そういって、ヴァーディエンテは最上階に通じる出口にとんっと乗る。

俺も一緒になんとか着地、やはり足場があるっていうのはいいものだと実感した。

なにせ、俺には宙に浮く方法はない、ヴァーディエンテから離れるだけで落ちる。

こわごわというのが正直な所なのだ。


[失われた迷宮 第1層]


入ってみると、天井の高さ3m横幅3m程度の通路が続く。

広い部屋でも10m四方もない程度だ。


「同じ迷宮とは思えないな……」

「100層までは迷宮とはいっても、侵入者で遊ぶためのものだからね」

「遊ぶ?」

「そ、侵入者が入るたびに、何層までいけるか賭けをしてたんだ」

「はぁ……」


なんといっていいのか、流石魔王というべきか。

邪悪の象徴だけはあるのか、人間と似たり寄ったりというべきか。

あまり強く言えない所が悲しい。


流石にモンスター等はいるのだろう、気配はする。

しかし、近づいてこようとする相手はいなかった。

魔王の気配に恐れをなしたのだろうか。


「さて、出口だよ」

「ああ……」


結局事前情報でわかったのは、沢山の種族がいるらしいということくらい。

ファンタジーらしく魔法くらいはあるんだろうが……。

緊張しながら、第1層の出口の扉に手をかけた。


「あれ? 開かない?」

「あー封印されちゃってるね」

「え?」

「大丈夫だよ、アレを見て」

「え?」


出入口の大扉は封印されていた。

とても開くような状況じゃない、だがヴァーディエンテは気楽に横を指さす。

俺は扉の横、2mくらい下がったところにある穴に気づいた。

1mに満たないが、明らかに何かで掘り抜いた感じの穴だ。


「盗掘かなにかみたい、凄い根性してるよね。

 この石壁も1mはあったはずなのに、地面に潜れるような種族かも」

「はぁ……まあいいか、出入りできるなら」

「だよね!」


そうして、どうにも締まらない感じのまま俺たちは失われた迷宮から出たのだった……。





名前 諸屋広和もろやひろかず

種族 人間  クラス ドラゴンスレイヤー

Lv 26829   加護  なし

HP 9542213/9542213

MP 1281351/1813591

筋力 193404   耐久  198993

魔力 186343   器用度 173912

素早さ188167   抵抗値 185747

スキルポイント 445

スキル

不老不死Lv99(一日に5回数死亡をキャンセルする。(残5)

HP、MPを1分に99回復する。老化停止、毒、病気無効)

飛影剣Lv99(MPを40消費し500m先まで斬撃を飛ばす。威力は通常)

支配者の威圧Lv99(殺さず倒したモンスターを支配する、Lvで成功率変動)

魔法耐性Lv99(魔法によるダメージを99%の確率で1割にする)

状態異常耐性Lv99(全状態異常を無効化、任意に反射できる)

武器  支配者の剣(万能)[威力27200]+[筋力193404]=攻撃力220704

防具  天帝の鎧 [強度25600]+[耐久198993]=防御力244593

アイテム 水(500ml)、アイテムボックス

お金 7200円

100回以上投稿失敗するという悪夢に見舞われております。

理由が混雑しているからと出るのですが、間違いなく別の理由でしょう。

なんなんだろう?

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