図書館ラビリンス①
お久しぶり?です。今回から各ヒロインのエピソード前編です。
4月18日(月)
伊吹「ふぁ~」
今日は生憎の雨日和。気分は憂鬱でいつの間にか起きたら昼休みになっていた。
桜美「よ~くお眠りでしたよ♪」
伊吹「桜美さん?どうしたんですか?」
桜美「今日は雨が降ってるじゃないですか。だから屋上は使えないからどこで食べるか聞いてこいって」
伊吹「そうだな学食なんてどうかな」
桜美「学食ですか?」
京矢「じゃあ、俺が席取ってくるよ」
京矢がそう言って走って行った。
桜美「行っちゃいましたね・・・・」
伊吹「友達の為なら全力でやるからな」
まぁ、それがあいつのいい所なんだけどな。
伊吹「俺たちも行くか?」
桜美「そうですね」
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伊吹「あ、財布忘れた」
食券の券売機の前で財布を教室に忘れたのに気が付いた。
伊吹「舞、花咲さん。ちょっと取って来るよ」
桜美「はい。待ってますから」
舞「うん。食べてるから」
なんだこの差?
桜美「気にせずに食べといてくれ」
俺は走って教室に戻った。
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ふぁみ先輩「う~ん」
財布を取って食堂に向かっているとふぁみ先輩が腕を組みながら歩いていた。
伊吹「ふぁみ先輩どうしたんですか?そんな考え事なんて全く似合わないことをして」
ふぁみ先輩「失敬。失敬だぞ。いぶいぶ、一応ふぁみ先輩は会長さんなんだぞ!!考えることくらいあるわ!!」
伊吹「でも、ふぁみ先輩だし」
ふぁみ先輩「アタシは先輩だぞ!!」
伊吹「で、その先輩とあろうものが何を悩んでいるのですか?」
ふぁみ先輩「多少納得はいかないがまぁいいだろ」
ふぁみ先輩が落ち着いて話しだした。
ふぁみ先輩「一年生の委員会構築が進んでないことを知ってるか?」
伊吹「いいえ。まったく」
ふぁみ先輩「それに図書委員は元来サボり魔が多くて無法地帯なんだ。まったく困っちまうよな」
伊吹「サボり魔に言われたくないのだ」
ふぁみ先輩「それはいいのだ。こっちの仕事はルミルミとキョウキョウがやってくれるから」
伊吹「なんて人任せな」
ふぁみ先輩「だけど図書委員長は器量が悪くてな。私も手伝ってはいるんだがまだ何ともならなくてな」
伊吹「あんたほどの器量があったらこの学校の委員会は大変でしょうね」
ふぁみ先輩「あたしも最近私も忙しくてな。あたしの代わりに仕事をやってくれる人を探してるんだ」
伊吹「そう言えば京矢が珍しく・・・・」
京矢「ふぁみ先輩が仕事してるんだぜ。もしかして雪が降るかもな」
伊吹「いや、春だから桜吹雪じゃないか?」
安男「いや、巨乳のお姉ちゃんが降ってくるはずだ!!」
伊吹・京矢「いや!?それは無い!!」
ふぁみ先輩「おじさんも相変わらずだな・・・・」
伊吹「でも、ふぁみ先輩がここまで仕事してるってことは本当に大変ってことですね」
ふぁみ先輩「うん」
俺は少し考える。確かに先輩はこんな人だが困ってると聞いたら手伝いたい・・・・
伊吹「ふぁみ先輩。お手伝いしますよ」
ふぁみ先輩「ホントか!?」
伊吹「えぇ。如月さんや京矢にはお世話になってますから」
ふぁみ先輩「私は?」
伊吹「えぇ。ふぁみせんぱいにはお世話になられてますから」
ふぁみ先輩「同じ様なセリフなのに少し変えただけでまったくセリフが変わるんだな」
俺も自分で言ってて以外とびっくりした。
伊吹「じゃあ俺は図書館にでも行けばいいんですか?」
ふぁみ先輩「そうだ。よろしく頼むぞ!!」
伊吹「はい。約束通りこんどA定食奢ってくださいね」
俺は食堂に向かった。
ふぁみ先輩「ちょっと待て。ったく。でも奢ってやってもいいか・・・」
~放課後~
七海「ねぇ、みんな。今日の放課後はどうする?」
舞「ご~めん。私部活に出ないと」
京矢「悪いけど俺もパス。生徒会の仕事があるし、その後はEl amore s probableでバイト」
七海「そうなんだ。じゃあ比較的夜まで暇人の伊吹くんは?」
伊吹「ちゃんと忙しいんだぞ」
七海「冗談です」
今日も七海の口癖は健在だ。
伊吹「でも本当に今日は用事があるんだ」
ぽえみ「う~ん。残念~」
全員「・・・・・」
伊吹「いつ来た・・・?」
ぽえみ「・・・zzzz」
伊吹「何で寝る!?」
七海「ぽえみはともかく伊吹くんもか~」
桜美「七海ちゃん。私は大丈夫ですよ」
七海「桜美ちゃん。愛してる」
桜美「ふぇ!?」
七海「冗談じゃありません」
桜美「ふぇええええ!!」
桜美さんには冗談の耐性が低いことが分かった。
俺はみんなと別れて図書館に向かった。この学園の図書館は県内でも大きく4階の大きさを誇っている。場所は食堂の真反対の渡り廊下を渡った先にある。
伊吹「しかし・・・何度来てもでかいな」
俺が図書館に入ると勉強をしている数人と、司書の先生がいた。
伊吹「済みません」
司書の先生「あら、どうしたのかしら?」
伊吹「ふぁみ先輩のお使いで図書委員の手伝いに来たんですが」
司書の先生「ふぁみちゃんが・・・・・・・・・・」
司書の先生が少し考え事をするしぐさをする。
司書の先生「きみが上村さん?」
伊吹「上村伊吹です」
司書の先生「(ふぁみちゃんが進めるってことは大丈夫なのよね)」
先生が小声で何かを言ってるが良く聞き取れない。
伊吹「どうかしたんですか?」
司書の先生「何でもないわ。委員長なら4階の書庫にいるから」
伊吹「はい」
4階に上がるとそこは静寂に包まれていた。まぁ、ここは辞書や外国の本が多く取り扱われてるから利用者があるのは宿題が出された時くらいだ。
俺は書庫の扉をあけると綺麗な長い髪をしている上級生。妃 閖先輩が本を両手で持っていた仕事をしていた。
閖「どうしたの。ここは関係者以外立ち入り禁止よ」
妃先輩のメガネがキリッと光る。
伊吹「ふぁみ先輩にここを手伝えと言われて来たんですが。話はきてなかったですかね?」
閖「・・・じゃあそこの本を机に並べてくれるかしら・・・」
少し戸惑った表情をしながら俺に指示をだした。
俺は部屋の隅に本を運ぶ。
簡単な作業だが意外と難しくなんせ本が古い。だからデリケートに使わなければいけないし、本も種類ごとで並べないといけないからまた大変だ。
閖「慣れてるわね・・・」
少し意外そうな顔をして俺を見る。
伊吹「昔図書館で司書の手伝いのアルバイトしてた時期があるんです」
閖「そうなの?」
去年の夏に一時期バイトをしていた。あの時の経験がこんなところで役に立つなんて。
伊吹「ふぁ~~~~~~!!」
気が付くと窓から部屋に差し込んでいた光があかね色に変わっていた。
閖「今日はありがとう」
妃先輩が俺の座ってる机の上に紅茶を置いてくれた。
伊吹「ありがとうございます」
閖「今日はありがとう」
伊吹「いえ。俺から仕事を手伝いたいって言ったので」
俺は笑顔で答えた。
閖「じゃあ私は」
そして、妃先輩は部屋を後にした。
伊吹「俺も帰るか」
俺は鞄を肩に掛け、書庫の鍵を閉める。今から俺は司書の先生に鍵を私に行く。
司書の先生「ごくろうさま。何も問題はなかった?」
伊吹「そそなくやれたと思います」
司書の先生「そう」
司書の先生は不安そうな顔だったが俺がそういうと帰宅の準備を始めていた。
伊吹「じゃあ、さようなら」
司書の先生「さようなら」
あれ?
帰り道で俺は少し疑問に思った。司書の先生はこう言ったのだ。
『問題はなかった?』
伊吹「問題?」
考えるが特に何もなかった気がする。まぁ、重要なことじゃないのかもしれない。
俺は帰りにEl amor es probableで夕食でも食べようと足を進めるのだった。
・次回予告
??「始まった手伝い。しかし、伊吹は妃が自分を避けてるように感じられた。
次回『図書館ラビリンス②』」