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10 幕間2

事の発端は2週間前に遡る。


「いいかげん、この【呪い】も【解除】しなきゃね・・・」

ロサはそう言って、ピンクのうさぎのぬいぐるみを机に置いた。

「【衰弱】【拘束】【休止】【剥離】・・・あの時はやけくそだったとはいえ、我ながらよくもまぁここまで【呪い】をかけたわねぇ」

頬に手をあてて嘆息する。


一年前、一方的に男から婚約破棄を告げられたロサは、怒りのあまり身の内にある魔力のコントロールを失ってしまった時機があった。

コントロールを失い、身体から噴出した魔力は周りのモノを破壊していく。

食器に花瓶、果てはベッドまで壊してしまった。

とりあえず、怒りの矛先を何かに集中させようと、当時ロサが研究していた【呪い】を手近にあった(くしくも男から貰った)ぬいぐるみに込めまくった。

怒りのあまり強烈な【呪い】になってしまったが・・・。

その後、無事にコントロールを取り戻したが、そのぬいぐるみを見ると怒りがぶり返すので【封印】だけして放置してあったのだ。


「大丈夫!もう、一年も前の事だもの!あの男の事なんてすっかり忘れたわ!

私が【魔女】だからって、勝手に婚約破棄した(怒)器の小さい男なんて、別れて正解よ(怒怒)!!」

バシ!バシィ!!

ロサのすぐ側にあった、花瓶がいい音をさせながら真っ二つに割れた。

「あら、怒りのあまり噴出した魔力で割れちゃったわ。ルテアにみつかったら、怒られちゃうじゃない。後で証拠隠滅しとかなきゃ。あの時はルテアのお気に入りの食器もずいぶん割っちゃって怒られたしねぇ・・・」

ふと、机の上のうさぎと目があってしまった。

「ごめんねぇ。あの男から貰ったって理由だけで、こんなに【呪い】をかけちゃって。ちゃんと【解除】するからね」

申し訳ない気分になってあやまってしまう。


ルテアが出かけている間に、と行動を起こそうとした所で玄関のドアが激しく叩かれた。

ドンドンドンドン。

「トウカ国警ら隊だ!じゅ、巡回に来た。ココを開けなさい!!」

上から目線の物言いにむっときたが、この国に来て一ヶ月。この土地のしきたりも未だよくわからないので(この方面は妹のルテアに頼りっきりだ)とりあえずロサは従う事にした。

扉を開けると制服を着た男が三人立っていた。

一方、男達は金髪碧眼の美女が出てきて、おもわず視線をさまよわせてしまう。

「何かごようかしら?」

「最近、この地に来た【魔女】だな。この国に来た目的は何だ?」

「・・・目的って。どうゆう事?【魔女】はこの国に住んじゃいけないって決まりでもあるのかしら?」

意識的に艶然と微笑んでみせる。

「なっっ・・・。そういう事を言っているわけでは無い!」


仲間の一人がロサの雰囲気に押されている間に、後の二人は怪しい所はないか室内を見渡していた。

「おい。アレ」

一人が目線で机の上に置いてある、ぬいぐるみを見るように促す。

何故?といわれると答えづらいのだが、誇りをもって勤めてきた仕事の経験が、可愛らしい見た目に反して『アレは危険だ』と訴えている。

仲間を見ると、力強く頷いた。

「アレは、何だ?」

語気も荒く尋ねる。

「え?あ、あのぬいぐるみね・・・」

【魔女】の視線が揺らいだのを見逃さず、仲間と視線を交わして連行することを確認しあう。

「城の詰め所まで同行してもらおう」

何せ相手は得体の知れない【魔女】だ。どんな抵抗をしてくるかわからない。

一人はすばやく応援を要請し、二人がかりでガッと腕をつかんで、【魔女】を家からひきずりだす。


「ちょっと、何するのよ!」

「それはコッチの台詞だ!あの『危険物』で何をするつもりだ!」

「確かに『危険物』かもしれないけど、コッチの説明も聞きなさいよ!!」

ずるずると口論をしながら【魔女】をひきずって広場まで来た辺りで、警備隊の応援が来た。

「無駄な抵抗はするな!話は詰め所で聞くと言っているだろうが!」

警ら隊3人と屈強な警備隊5人で【魔女】を取り囲み、高圧的に言う。

「もぉ~、あたまに来た!!話も聞かずに連行ってどうゆう事よ!これだから男は嫌いなのよ!!!」

ピシッ。パシッ。

石畳の広場のあちこちから、音がしてきたかと思うと、

ボゴォ。

と言う音と共に、男達の足元だけが30cm程沈んだ。

ロサが上から見下ろしてニンマリ笑うと、その後ろで国民に不評なキンピカのおっさんの銅像(どうやらこの広場建設に多大な寄付をした人物らしいが、いかんせん趣味が悪すぎる)が真っ二つに割れた。

その壮絶な微笑みに【魔女】の恐ろしさを痛感して、男達は声もでない。


「はい、は~い。【真紅の魔女殿】そこまで~」

男達が銅像と同じ運命を覚悟した時、まのびした声が広場に響き渡った。

「それ以上するとけが人でるから、その辺で止めた方がいいよ~」

茶髪に深い紫の瞳の男と後ろから警備隊と同じ制服を着た貫禄のある男が、穴ぼこだらけになった広場をひょいひょいと避けながら歩いてくる。

あまりにのんきな口調にロサは毒気を抜かれて、そちらを見やった。

同時に【魔女】として、相手がかなり手強い【術師】である事を感じとる。

「【真紅の魔女 ロサ・バンクシア】殿。色々とこちらの不手際があったようで申し訳ない。しかし、この状況故、城の詰め所まで同行していただけないだろうか?」

警備隊の制服を着た男は、申し訳なさそうにロサに丁寧に話しかけた。

「隊長!不手際など・・・」

反論しようとした隊員を一睨みしてだまらせる。

「お前達の言い分は、後で聞こう。・・・始末書は覚悟しておけ」

男達は一斉に項垂れた。

な、なんかドンドン話が長くなっていく。なーぜーだー(泣)

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