1羽
この世界を大きな危機が襲った。
3大大国が一つ魔道大国ローレシアン。
賢王とかつては呼ばれしグレアムは、禁断のグリモアの紐を解き悪魔と契約を結んだ。
悪魔の軍勢を牽きいし狂王は、世界を地獄に染めようとした。
魔の力を得たローレシアンの力は強大だった。
多くのものがただ逃げ惑い、明日に絶望した。
だが、立ち上がるものたちがいた。
戦士の大国アルザルドの王子クオン、聖者の大国ラマーナの聖姫レナス。
そしてその仲間たち。
3年に及ぶ戦いの果て、終に彼らは闇を討ち果たした。
その戦いの果て、思いを通わせあったクオン王子とレナス姫は結ばれた。
世界の民がその結婚を祝福し、それぞれの国の王と女王から王位を受けついだ王子と姫は、それをまとめひとつの大きな国を作り出した。
人類の希望の象徴、光の国アマテリア。
王になったクオンと王妃になったレナスは、戦いのときと同じように互いを支え合いこの国を支えた。
その周りにはかつての仲間たちも集まってきた。
民たちはそれを見て、この国の永遠の繁栄を予感した。
だがしかし、2年後アマテリアに一筋の暗雲が漂いはじめていた。
クオンとレナスの仲睦まじさは、国民の誰もが知っていた。
だがそれに反して、二人の間に子供は出来ていなかった。
そんな折、公妾を迎えるという噂がたったのだ。
国民たちはその噂を否定した。
クオンとレナス、長い戦いを乗り越え、互いを愛し合い、この国の平和の象徴とも言える二人の仲を引き裂くものが現れるとは思えなかった。
だが一ヵ月後、アマテリアは激震する。
クオンとレナスが寵姫を迎えると正式なお触れがあったのだ。
寵姫の名はマリアベル。
国民たちは混乱し、多くの女性はレナスの立場を思いやり涙をし、男たちは二人の仲に入り込むのはどんな悪女かとうわさしあった。
そしてこの国の未来と国王夫妻の平穏を祈った。