表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王妃にはなれませんでしたが、婚約破棄後に街を立て直したら評価が逆転しました  作者: はねださら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/22

第18話 うまくいく、という感触

 変化は、静かに始まった。


 朝の市場で、商人たちが少し早く集まっている。声は低く、だが動きは速い。以前のような迷いは見えなかった。


「北回りで、今日一便いける」


「費用は上がるが、止まるよりはいい」


「次は、南側も試す」


 判断は、その場で下されていた。


 エリアナは、少し離れた場所からその様子を眺めていた。声をかけることはしない。聞かれもしない。


 ――それで、いい。


 城に戻ると、ロルフがすでに待っていた。


「巡回ルートを変更した」


「問題は?」


「今のところはない」


 短いやり取りだ。

 だが、その中に迷いはなかった。


「判断は?」


「俺だ」


 昨日と同じ言葉。

 だが、今日は重さが違う。


 昼前、商人会から報告が上がる。


「一部の流通は回復しました」


 バルドの声は、落ち着いていた。


「完全ではありませんが、致命傷は避けられています」


 ガイウスが、報告書に目を通す。


「損失は?」


「出ています」


 バルドは、はっきりと言った。


「ですが、見通しは立ちました」


 その言葉に、室内の空気が少しだけ緩む。


 エリアナは、黙って数字を確認していた。


 ――成功だ。


 だが、勝利ではない。


「エリアナ」


 ガイウスが、ふと声をかける。


「どう見る」


 彼女は、少し考えてから答えた。


「再現可能です」


「それは、成功と言っていいか」


「はい」


 即答だった。


「一度きりで終わらないからです」


 ロルフが、低く笑う。


「分かりづらいな」


「派手ではありませんから」


「だが、悪くない」


 それで十分だった。


 午後、街を歩くと、昨日より人の動きが多い。店先で話し合う姿も、どこか落ち着いている。


「今日は、早く決まったね」


 ミーナが、箱を運びながら言った。


「そうね」


「前は、誰かの返事を待ってた」


 エリアナは、その言葉に足を止めた。


「今は?」


「今は、自分たちで決めてる」


 それは、何よりの成果だった。


 夕方、ガイウスが執務室で言った。


「……正直に言う」


「はい」


「君が決めないことで、街は速くなった」


 エリアナは、小さく息を吐いた。


「よかったです」


「少し、悔しいな」


「正常です」


 彼は、苦笑する。


「俺たちは、指示される方が楽だった」


「楽な構造は、脆いです」


「分かっている」


 しばらく、沈黙が落ちた。


「……完全には、戻っていないな」


 ガイウスが言う。


「はい」


「だが、進んでいる」


「それで十分です」


 夜。


 エリアナは、記録を更新していた。


 ――《再配置後の判断:機能》


 その下に、小さく書き足す。


 ――《損失あり。許容範囲内》


 完璧ではない。

 だが、続けられる。


 それが、この街の今の強さだ。


 王妃にはなれなかった。

 だが今、自分は“うまくいく感触”を、街と共有している。


 それは、誰かに与えられる評価より、

 ずっと確かな手応えだった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ