4/5
大丈夫だから滅べ
「ちょっとー、だいじょぶー?」
何とかシズカは、半笑いで駆け寄ってきた。
あと、店員も。
「お客様、大丈夫っすか?」
やだもうマジやだ消えたい、地球滅べと思った。
あたしは、何も言わずに走って逃げようとしてまたコケた。
何とかシズカは、かすれた声で少し笑った。
下がった眉毛がますます下がった。
店員がつられて笑った。
何もかもいまいましかった。
あたしは、大丈夫です、とだけ言った。
「はぁー?なにー?」
何とかシズカには聞き取れなかったみたいだった。
ていうか、はぁ?の言い方が超こわい。
あたしは、どもりながら大丈夫です、と繰り返した。地球滅べ。
「だいじょぶじゃなくね?血ィ出てるし」
何とかシズカは、けらけら笑いながら、ポケットに手を入れた。
あたしは
「いやだいじょぶですマジだいじょぶです」
と噛みながら言った。
そしたら、何とかシズカは、ポケットからよれたティッシュを出した。
「あげる。」
いらない。
ティッシュはテレクラのティッシュだった。
なんか生々しい怖い。