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四月中旬の自己紹介
それなりの母親から生まれて
それなりに育って
それなりの努力をして高校に入ったら、中学のときの友達がみんな違うクラスだった。
運命なんて、たとえばそんなことで、簡単に狂う。
入学式のすぐあとにクラスに集められて、あたしたちは自己紹介をした。
あたしの自己紹介は、つまらなかった。
だってあたし、つまんない人間だもの。
クラス全員の自己紹介がつまらなかった。
だって、人間ってつまんないんだもの。
あたしの周りの席の人間は、あたしに全く興味がなかった。
そして、そのひとたちは、どうやら中学のときからの友達みたいだった。
違うクラスの、あたしの中学のときからの友達は、あたしが風邪で休んだ日に、勝手に部活を決めた。
一応あたしも誘われた。
無理だと思って断った。
それがあたしの4月中旬。