閑話② プランA 大失敗!!
黒服の男は遥か天空を行く二人組に目線を奪われていた。
「なんだアレ?」
一人はロングコートを羽織り、背中に大剣を携えた男。もう一人は女の子だ。顔はよく見えないが、銀色の髪が空に靡いていた。
あれ、もしかしてノエル様か?
だとしたら結構ヤバイんじゃ。
結構ではない。このまま二人がどこかへと飛んで行きノエルを見失った場合。
間違いなく、今作戦に関わった人間全員が殺される。ロイス・レイウスとはそういう人間なのだ。
男は大急ぎで魔道具、スマホウ・フォンを取り出し、手下に指示を下した。
「ノエル様に逃げられた! 三時の方向だ! 飛行スキル持ち全員で捜索しろ、殺されたくなければなッ!!」
しかし彼らの努力が実を結ぶことは無かった。カラドボルグの力を解放したレインのスピードは圧倒的で、それについて行けるものなど存在しなかったのだ。
そもそもレベルからして天と地ほどの差があるのでカラドボルグの有無は関係なかったろうが。
「えっ」
殺し屋の一人、レッド・ジェットジョークから連絡を受けたロイスはその場で石像のように固まった。そして、あまりのショックに卒倒しかけた。
「見失ったってどういうこと?」
「いや、そのですね。おそらくはロイス様から通達されたレインという人物のせいだとは思うのですが……。聞くところによると、まるでドラゴンのようなスピードで、天空を裂くかの如くに横断していったのだとか」
「いや、そんなこと一言も聞いてないんだけど」
「……なんと申せばよいか、言葉もありません。受け取った前金は全て返却します故、どうかそれにて矛を――」
うるせえよ、と突如背後から声がかかる。
レッドは驚愕に目を見開いた。
「ロ、ロイス様! 何故ここに!?」
つい先刻までスマホウ・フォンで会話していた相手。
それが気付けば自身の背後に。これほど恐ろしいことがあるだろうか?
「お前の魔力にマーキングしてあるからね。可愛いノエルには消滅させられたけど。って、そんなことはどうでもいいんだよ。お前に一言、直接言ってやりたいことがあってね」
「は、はあ。して、言いたいこととはなン――ッ!!!」
でしょうか? と続く言葉は無かった。
何故なら、彼の胴体と首は今この瞬間を以てして破局したからだ。
「死ね、役立たず」
レッドの生首をゴミのように放り捨てながら、ロイスは「あっ」と呟いた。
「これじゃあ一言じゃなくて二言じゃないか。僕としたことが不甲斐ない」
ロイスは気落ちした様子で闇魔法を唱えた。詠唱と共に、大地は闇に飲み込まれていく。
まるで、熱で溶かされる蝋人形が如く――。
ロイスはその闇と同化し、姿を消してゆくのだった。
☆ ☆ ☆
「ああ。今日はもう全員撤退させていい。プランAが失敗した以上、長居は無用だ」
ロイスに命じられた従者の全員が【転移石】を用い、レイウス邸へと帰還した。その後、その全員がロイスの手によって殺されたのはまた別のお話。
ロイスが暴れ回っている間。
ヴェッジは、必死に新たな従者をかき集めていたのだった。
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次話は18時更新予定です!!




