最終関門
"明日は貴方の日よ。"
沼方はタリアに言われたことに
激昂して泣いた。
タリアは続ける。
"今を忘れたプリンシパル。
しかして貴方はプロフェッショナル。
明日は踊れ。
向こう側にいける。
泣いていても今しかない。
貴方は才能の塊よ。"
沼方は翌日完璧に踊った。
盛大な喝采と
プリマとも思えるようなしなやかさで
会場を魅了した。
沼方は呟いた。
"そうか、最終関門は己との闘い。"
何かと比較していた自分自身と
タリアに頼りすぎる性質を
ようやく否定した。
待ちわびる披露の前には
立ちはだかるものなどない。