表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ネリー姉様は断罪イベントを利用する★ 〜ざまぁを目の前で繰り広げるな!〜

作者: くちぱしアメ

サラッと読める断罪です。

義理の姉妹揃ってゲスいです。悪役令嬢つよつよです。

あ、思い出した〜! 私、前世は日本の十五歳の少女だった! 確か、猫に顔面引っかかれて感染症で亡くなったんだっけ……ってどんな設定だよ! 感染症すごいなお前!


そして、ここは恐らく、「Spring・For・You」というヒロイン溺愛系の乙女ゲーム。巷で噂の「私、乙女ゲームに転生しちゃいましたー!?★」系のアレか。


何故わかったって? だって、それは目の前に……


「あら、どうしたの? マリー。ぼーっとして。ふふふ」

腹黒義お姉さまのネリー姉様がいるから。凄い気の強い王子の婚約者っていう立ち位置の悪役令嬢なんだよねー。うんうん、知ってる★


「な、なんでもない!」

「あら? マリー、姉様に敬語を外していいの?」

ニッコリと微笑むネリー姉様。怖いなー、怖いなー、怖いなー……。


「な、ななななななんでもありません……ことよ?」

ちょっとつっかえたけど、多分問題はない! 多分!


「ふふふ、もしかして、マリーはようやくこの世界のこと思い出したの?」

「え?ようやくって?」

も、もしかして、ネリー姉様も前世の記憶がある、とか?


「そうね、ここが乙女ゲームの世界だってことかしら?」

や、やっぱりそうきたかー! でも、なんで私は転生した? だって、転生するならヒロインしゃんとかも残ってるし……。


「ふふふ、ヒロインはね、鈍感……いいえ、世間知らずのお嬢様ってところね。王道でしょう?」

た、確かにそれも王道だ……!


「あの、ネリー姉様はヒロインに虐めとかしていません……よね?」

もしも虐めたりしていたら、私は破滅まっしぐら★ 本当にそれだけはやめていただきたい。


「ふふふ、ちょっとだけ★」

「何やっちゃってるのー!?」

え、え、え、嘘でしょ!? ★付けて良い内容じゃないよ!!! 破滅だ。終わった。さよなら私のこの世界で夢見たピュア・ラヴ・ストーリー。

ウェルカム破滅エンド。


「あぁ、でも大丈夫! ヒロインは王妃様を含めた女性に嫌われまっしぐらの道を進んでるから、私が手を下す前に誰かに殺されちゃうかもなのよ! ふふふ」

「え、縁起でもないことを言わないでよぉ!」

ネリー姉様。そのニッコリした笑みの奥のどす黒い何かがチラチラ見え隠れしてるよ……。


「あ、あと! 王妃様がヒロインの有る事無い事『ここだけの話』とよくお話ししてくださるの! だから私は、『王妃様に教えてもらったのだけれど……』と噂を広めているわ!」

「王妃様!? そしてネリー姉様が、直接手を下さないあたり怖いんですけど!」


「だって……あのクソオンn……ゲフンゲフンお花畑お嬢様? に手を下して自分の手が汚れたら最悪じゃない!」

「あぁ、ネリー姉様は悪魔だ……」

心の底から嫌そうなゴミを語るような顔。その顔やめて! なんだかヒロインがかわいそうになってきたよ!!!



「ネリー! こんなところにいたのか!」

こ、この人は、メインヒーローの……。


「私、ルイス・レオンハルトは、テイル・ネリー公爵令嬢との婚約を破棄する!」

レ、レオンハルト王子……。レオンハルトって……ありがちだなぁ、本当に。ありがちだなぁ……。それに! まさか今から義妹巻き込んで断罪イベント? なんだかなぁ……。記憶を思い出すタイミングってのがあるじゃん?


一応レオンハルト王子についての乙女ゲーム設定の補足説明をしておくと、王位継承権一位のおバカだよ!

そして、ヒロインが一番最初に落とすチョロチョロ野郎だよ! 良いのは顔だけってな!


「あら、何故かしら?」

ネリー姉様、すごく悲壮な顔してるけど、内心悪魔みたいに嗤ってる!? 私の勘違いだよね!?


「それは、私の愛するハナコを虐めたからだ!」

後ろで介護欲を脇立てる「ハナコ」様。ハナコかぁ。ふーん。デフォネームは「ラキ」だから、恐らく彼女の本名かな? まぁ、どうでも良いんだけれど。


「そうだぞ! 僕のハナコを虐めてタダで済むと思うなよ!」

宰相の息子、えっと……誰だっけ……。名前思い出せない。取り敢えずショタっぽいから「ショタ」でいいか。


設定は確か、ヒロインの義理の弟。なんかヒロインがショタのこと救うんだよね、うん。確かそれで合ってる。


「おいおい、君のじゃないよ……?」

騎士団長の息子……えっと……取り敢えず脳筋っぽいし「脳筋」でいいや。


設定は、多分ヒロインの優しさで救われた……とかなんとか。


「ははは、んなことどうでもいいじゃん?」

確か、隣国の王太子様の……まぁ、「隣の王太子」でいいか。あれ、なんか某映画の「となりのト○ロ」みたいになってる……?


設定は、隣国に尋ねてきた儚げなヒロインに一目惚れ……結局外見だ。顔で選ぶなよ!


「そう……です……ね?」

この気弱そうな子は確か……あれ、設定まで忘れちゃった。まぁ、気弱そうだし「草食動物」でいいよね!


設定は忘れたから割愛! うん! 異論は認めない★


「わ、私はっ、ネリー様に謝罪さえして頂ければ良いのです……」

私、気づいた。この子、超苦手!!! だって、さりげなくレオンハルト王子の後ろに隠れながらも、脳筋の背筋触ってる上、左手でショタと手を握ってるし!


「ふふふふふ」

あ、ネリー姉様も気づいて……? に、逃げ出したい……。無理。修羅場に居合わせちゃった感じだよ!


「証拠の開示を求めますわ」

ネリー姉様を敵に回したらこうなるのか。もう先が見えてきちゃったよ、私。


「証拠はこれだ! このハナコの汚れたハンカチだ!」

あ、汚れたくらいじゃダメ。というよりも、ハンカチって汚れるものだし……。


「それが証拠? 呆れますねぇ、証拠にもなりませんわ!」

ネリー姉様の威厳がすっごい★ もう、こっわいんだからぁ!(オネエ気味)


「じゃあこれは! 破られた教科書だよ!」

ショタ……多分それもこの人前なら無効だよ……。


「あら? 指紋でも採取したのかしら? 私は(汚らわしい)ハナコ様のものなど触ってさえいませんわ」

枕詞がわかってしまう自分が怖くなってきた。


「ならこれはどうだ? ハナコにワインを零したドレスだ」

脳筋の出す証拠は意外にも……って、え? ネリー姉様、直接手を下してないって……。


「あら? 私はやっておりませんよ?」

笑みが深まるネリー姉様。怖い怖い怖い怖い怖い……。


「だが、君の取り巻きが……」

「取り巻き? 私の大切な人を『取り巻き』だなんて! 冗談も大概にしてくださいませ!」


「確か……このワインを零したのは……君、だよな?」

こっちを向いているということは、わ、私がやっていたのか? あ、でも確か乙女ゲームにそんな描写があった気がする。えっと、ここはひとまず落ち着いてぇ! 冷静にぃ!


「はい、そうでございます。その場で(嘲笑するように)謝罪をさせていただきました。その件は誠に申し訳御座いませんでした。ですが、わたくしはわざとではなかったのです。そして、ネリー姉様の命令でもありません。妹ですが、所詮は義理なのです。こんなことを言うのはわたくしも嫌なのですが、義理の妹如きがこのような指示を受けたとして、動く義理はないのです」


すこし悲しげに、一つ一つを淡々と述べると、脳筋は黙る。やばい。論破って楽しい……!


「んじゃあ、この話は? ネリー様がハナコの噂話をばらまいているっていう話」

隣の王太子、それはツメが甘いのでは……?


「あぁ、ハナコ様の噂話ですね? それは、王妃様に教えていただいたことをお話しさせていただいている次第でございましてよ? それに、噂話はその場の雰囲気で出る『その場』の話。所詮は酒の肴ですわ」


お姉様がだんだん笑顔になってる……? 狂気の沙汰。さっきまではしっかりと真面目な顔して隠していたのに……!


「では……何故……先程……ハナコのことを……お花畑のお嬢様と……表現された……のですか?」

草食動物、お前見かけによらずそこ責めるの凄いよ。


「あぁ、あれは世間体には厳しい目や汚れた脳をお持ちの方が多いにも関わらず、優しい方という意味で、皮肉を込めて言ったものですよ?」

ネリー姉様……最後の一文はいらなかったのでは……?


「何故……皮肉を……込めたの……ですか?」

あぁ、草食動物は人の思考を読めるのかっていうくらいに回転がはやいな……。


「何故って……私のレオンがハナコ様とお楽しみなのですよ? 拗ねるなんて当たり前ではないですか……」

扇子で口を隠すネリー姉様。あぁ、やっぱり辛いんだなぁと思い、扇子の下を見ると、あれ? おっかしーぞー? 今にも舌打ちが出そうだぞぉ? そんなにこのセリフが嫌だったのか……。なら何故言った?


「私、哀しくなってきましたわ。婚約破棄……ふふ、私がいなければハナコ様、レオン、二人ともお幸せになれますし、仕方ないのでしょう……」

ネリー姉様……。もしかして、これから始まりそうな演技をするために……。


「ふふっ……涙が浮かんでしまいそうですわ。淑女たるもの、泣いてはいけませんのに。それに、これからお幸せになるお二方の前で哀しんではなりませんね。もしかすると、今の話は、お二人の幸せを妨げる私を断罪するための話、だったのかもしれません。私は、最初から望まれていなかったのですね、レオン。ですが、レオン。私は貴方が大好きでした。ずっと。さようなら」


ネリー姉様、扇子の下でほくそ笑んでますね。はい。


「わ、わたくしも義理とはいえ、義姉様に情をかけてあげたいので、失礼いたします。義姉様はレオンハルト様の話を(ある意味)良くしてくださっていました。今まで義姉様を支えて下さり、ありがとうございました」


私は、ネリー姉様についていった。そして、(義理だけど)姉妹悪役令嬢らしく高笑いした。


「何故あのような演技をしたの?」

私は疑問だったことを尋ねた。


「だって……私のこと、引きずってくれたら面白いじゃない?」

嘲笑しています。そして、(仮にも)王子を掌で転がしています。


「ネリー姉様、私、義姉様が怖いです」

「あら、それは悲しいわ。私は結構貴方の情緒を見るのが楽しいわよ?」

「義姉様、本心がダダ漏れしています……」


二人でそんな話をしながら帰宅する。家に帰り、義父様にその話をすると、「あのクソ王j……あのレオンハルト王子、ざまa……ドンマイだな」と、言葉を選びながら喋っていた。





×××後日談


私たちの家、テイル公爵家は慰謝料をたんまりといただき、レオンハルト王子とハナコ様との婚約はレオンハルト様の意志で辞めたとかなんとか……。


偶に耳にする噂話では、レオンハルト王子が、「ネリー……ごめんな? そんな君の気持ち、気づかなかった……」と悲壮な顔して言ってるとか。ネリー姉様の掌の上で転がされてるな。うん。


一方で、ネリー姉様は精霊様との結婚が決まった。あの時、断罪イベントを上から見ていたらしい。乙女ゲームだと、「ヒロインのその心の強さに……」となる場面なのだが……。それと! 上から見ていたなら出て来ればいいじゃないか!!! 因みに、何故見ていたかというと、あの名前忘れちゃった草食動物に加護を与えるため、だったらしい。けれどそれ以上にネリー姉様に惹かれたんだと! どこに惹かれる要素があった……?


精霊様の結婚理由、「ネリー様に貶されたい」とか言ってた。そして偶に愛されたいのだとか。あぁ、多分そういう趣向の方だな……。完全なるドM野郎め★


私にモテ期が降り降りることはなかったものの、今回のことでネリー姉様の怖さを知った。ネリー姉様曰く、「私はまだ軽い方」。絶対に貴族女性は敵に回さないようにしよう!


あ、そういえばショタとか脳筋とかは病んでしまって、肝心のハナコ様は今頃修道院らしい! ネリー姉様凄い!!!


まぁ、とにかく私にそういうお話が降ってくるのは、もっと後かな! うん! それがいいや!

断罪が甘めかもしれませんが、王子やヒロインのこの先のことを考えると……これくらいで十分かと。

また、ヒロインはゲスくないので、ここら辺で手を引いてあげた次第でございます。


閲覧ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ