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石碑の前
僅か数分。
其れが私に許された時間。
全てを解決するには短すぎる時間に
少しの不安は在るが、
石碑の前まで足を進める。
石碑には
多くの人の思念が絡み付いて居た。
そして此の二人は影響を受け、
心威は強制的に発現させられた。
骸ながらも二人は
此の森に生かされ続けた。
二人の心威の暴走により森は形成され、
森は二人を守り続けた。
このまま森の核となる
二人を始末しても終わりだが、
其れは此処迄通してくれた
木々達を裏切る事になる。
此の森の人への信頼を袖に振っては
其の先の未来への被害は
容易に想像できる。
先ずは知る事。
私は石碑との共鳴を始めた。




