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冬花  作者: 忘憶却
第二章 家族(秋)
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月を見た花

 帰り道、

「さっきの舞を覚えているか。」

「やってみろ。」と、言われて真似る。


 思い出しながら竜骨の剣を回す。

 ぎこちない上に回した剣を掴めずに

 地面に落としてしまった。


 剣が違うので、同様の事をするには

 工夫が要る。

 

 剣の重心を踏まえてもう一度。


 次は手の角度か。

 手の甲につかが引っ掛かった。


 もう一度、やってみる。

 もう一度。

 もう一度。


 少し嫌になってきた頃、

「その剣を渡せ。」と言われ、

 気持ちを抑えながら、そっと渡す。


「本来私の物ではありませんが、

 使わせていただきます。」

 と剣に言い、行う。


 あの時と遜色なく美しい型。


 剣を止め、私の方を向く。

「今のお前のままだと、完成形はこうだ。」


 なんだろう、この型は。

 最初見た時とは違う、

 下半身が落ち切っていないため、

 安定せず、体が剣に振り回されている。

 その為、

 止まるところで止まらず、

 型が流れている。


「人も道具も対等となって、

 初めて物は使いこなせるようになる。」

「お前はまだ、

 この剣に使われている状態だ。」

「己の事は知り始めてても、

 まだまだ相手のことには

 目が向いていないのが

 今のお前の課題だ。」

 と言い、剣を返される。


 月が私にその事実を

 見せつけるかのように照らしていた。

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