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冬花  作者: 忘憶却
第二章 家族(夏)
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一族の役目

「そうですね。

 冬花が最初に此処に来たときに

 簡単にお伝えしましたが、

 詳しく見ていきましょう。」


「まず、私達一族の一番の使命、

 四季を司る神々への御挨拶について

 お話しします。」


「私達は、四季を司る神々に

 世の中の全てに四季が訪れるように

 お力添えすることです。」


「この世の中には、無数の世界があります。

 そして、世界は互いに干渉し合い、

 均衡を保っています。」


「この世界の役割は、

 他の世界に四季をもたらすことによって、

 命の循環を正常なものへと

 促すことです。」


「魂は世界から世界に移ることによって、

 魂に刻まれた記憶による行動が、

 その世界に変化をもたらし、

 世界を拡張し、発展していきました。」


「世界に変化が無ければ世界は収縮し続け、

 何れは消えてしまいます。

 それを防ぐ為です。」


「誰も、生きる事を止め、

 変化を願わないのならば、

 この世界たちは滅びます。」

「それが皆の望みであるならば、

 神々もそれを受け入れ、

 最期の時まで待ち望みますが、

 少なくとも、貴方は

 凜の為に何かを遂げたいと

 考えておられますよね。」


「世界にはそのような方々が

 多くいらっしゃいますので、

 その方達の助けとなるとともに、

 何も望めなくなった人たちに、

 季節という変化を齎す事によって、

 自身の中の気持ちを

 感じ取って欲しいのです。」


「食べ物が豊かに実る事、

 雨が水を齎すこと。

 心の豊かさが人を

 つなぐこともあります。」


「このお役目は、

 人の為と言うには間接的ではありますが、

 根柢を支える重要な役割です。」


「そして、もう一つのお役目は、

 四季の神々が他の神々と会合を行う際に

 神々の判断の助力となることです。」

「先日、貴方が参加した

 魔法使いとの取引もその一つです。」


「神様や世界の事情も考慮し、

 あの時は私達仕える者に委託されましたが

 自らの思いや判断が必要となります。」

「この場においての私達の発言は、

 神々にとっては小さいものです。」

「ですが、自らの意思が、

 世界に変化を齎すこともありますので、

 言動には重い責任が付きます。」

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