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心威
「はー、きっちりした場は嫌いだわー。」
春風の居なくなった客間で、
最速の魔法使いは大声で言う。
「魂のない体なもんで、持って二週間かな。
その間だけ、よろしくねー。」
「はーい、注目ー。」
何だろうか、
この気の抜けるような言い方は。
「私は子供扱いしなくても構いません。
寧ろそのようにしていただけると
助かります。」
そんな気がしたので、伝えた。
「まあ、可愛げのないこと。」
少し、残念そうな様子になった。
だが、諦めてはいないようだ。
「あたしはねー、
かわいい子に癒されたいのよねー。
だから、」
「そろそろ始めてください。」
ため息をつきながら、彼女は始めた。
「まず、どこからなんだろう。
えっと、心威はしっていますか。」
首を横に振る。
「つまり、一から教えると。」
手を口に当てて少し考えている。
「この世の中、
死後、魂は別の世界へ移ります。
移った先の物体に魂が宿り、
生が始まります。
魂が物体にある状態の事を生きている
と言う。」
と、手を下ろして真剣に話し始めた。




