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冬花  作者: 忘憶却
第二章 家族(夏)
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契りを交わし

「私の札をいくつか渡します。

 私の異名の由来となっておりますので、

 ご存知かと思われますが、

 この札は願った通りの事象を

 一度だけ引き起こします。

 思っただけで

 簡単に効力を発揮してしまいますので、

 ご注意ください。」


 数枚の札が目の前に置かれる。


 春風の目は厳しく向いていた。

「それで、代わりの条件は何でしょうか。」


「あの蔵にあります神具を幾つか、

 お借りしたい。

 神界へのご尽力お願いします。」


「具体的には。」


「札一枚につき、十が妥当かと。」

「少し多すぎるのでは。」


「貴方達が扱える神具でないから、

 あそこにあるのではないでしょうか。

 道具は使われてこそ、真価を発揮します。

 そうあったほうがいいでしょう。」


「確かに、家を守るのであれば、

 この札の方が有用です。

 ですが、条件があります。」


「何でしょうか。」


「一つは、お貸しする神具は私が選ぶ事。」


「もう一つは?」


 春風は一呼吸置いてから話す。

「私の隣に座る冬の巫となる冬花に

 神具の扱い及びその理論を

 貴方が教える事。

 貴方程に神具を扱えると言われる方は

 聞いたことが有りません。

 あと、今此処に居る貴方は、

 その札による分身ですよね。

 ならば、冬花に教える事は、

 負担にならないのではないでしょうか。」


「なるほど、いとも簡単に見抜くとは。

 仕方ありません。

 貴方ならば、私たちの希望に会う神具を

 選んでくれるでしょう。

 それで手を打ちましょう。」


 こうして、私が何かを言う間も無く、

 坦々と交渉は終えられた。

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