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冬花  作者: 忘憶却
第二章 家族(夏)
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桐の箏

 ある昼下がり、

 春に植えた向日葵を見ながら、

 氷菓子を食べていた。

 よく綺麗きれいに咲いたものだと感心していると

 春風の部屋から箏の音が聞こえた。 

 神の御前以来で、珍しく、

 部屋をこっそり覗いてみると

「あら、冬花。」

 と直ぐに気付かれてしまった。


「春は神様の前でしか、

 弾いておりませんでしたので、

 私が箏を弾くのを見る機会は

 冬花にはありませんでしたね。」


「試しに弾いてみますか。」

 と言われ、春風は箏を用意しようとした。


 そこまで本格的にやるつもりもなく、

「その箏を試しに弾ければ十分です。」

 と伝えると、

「この箏は特別性ですので。」

 と言われて、

 私の前に別の箏が用意された。


 調律の方法から簡単な箏曲まで、

 春風の手を真似、言葉に従い、

 一通りできるようになった。


 後で、

「最初から、『六段の調』を選ぶなど、

 よくも、難度の高い曲を弾かせたな。

 冬花もそれについていくなんて。」

 などと、秋月が呆れたように言っていた。


 夕暮れ時、一通り弾けるようになると、

 春風は「ここまでにしましょう。」

 と切り上げた。


 私は、弾いていた時に春風の話した、

 特別な道具のことをよく思い出す。

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