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夏の日、道場にて
暑さも厳しくなる中でも毎朝刀を振るう。
秋月の真似をして幾つかの技を覚えた頃、
実践形式の練習をするようになった。
秋月は基本的に私の木刀を受け続けるが、
致命的な隙があれば打ち込んできた。
身体中に痣を余りに多くつけて
来たものだから、春風に毎日心配された。
それでも秋月に、
「やるか。」と言われる度、挑んだ。
練習の束の間の休憩。
私は、尋ねる。
「どうして、
急に実践形式をしてくださるのですか。」
秋月は、冷茶を一気に飲み干す。
「最近は物騒だ。
いくら俺たちやこの屋敷に
神々の守護があるからといっても、
いざという時、
自分の身を守れなければ意味がない。」
そうして、
戦いで生き残る術の一つを
みっちりと叩き込まれた。




