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風に揺られて
私が踏み込んでいいのかは分からない。
寝る前、春風に聞いた。
「私は、夏鳥の過去が気になっています。
他人の内面に踏み込んで
いいのでしょうか?」
「そういう訳でしたか、
資料を読んでいたのは。」
「霧宮彦司命と夏鳥は
確かに似ています。」
「それで貴方は、興味本位なのですか。」
「いいえ。」
「何か力になりたいという事ですか。」
「...たぶんそうだと思います。」
「やっぱり、貴方は優しいですね。」
「相手に情を向けることもあると思います。
しかし、思い込みの場合もあります。
そして、傷つけることもあります。」
「それだけは、覚えておいてください。」
「夏鳥は、聞かれれば話してくれます。」
「ただし貴方も、
自分のことを明かすつもりで
居てください。」
「相手を深いところまで知ろうとするなら、
自分の深いところまで見せなければ
ならないと覚悟しておいてください。」
「今言ったことを守れば、
あとは貴方次第です。」




