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霧の中を飛ぶ鳥
家に帰った後、
心の中に掛かるものを取り除こうと、
春風に頼み、神様に関する資料を漁った。
春風は感心していたが、
多分思っている事は違うと思いますと
言いたかった。
でも、そうすると
夏鳥の事を出さない訳にも
いかなくなりそうで、あえて黙った。
夏鳥も正式な名前を覚えていなくて、
『霧ちゃん』という神様を
資料から見つけるのに苦労した。
あの神様の名前は『霧宮彦司命』だった。
読み進めていくと、
『蛇に取り憑かれ、父と母を丸呑みにして......
その罪を償うために神様として
世界を支えることとなった。』
夏鳥の発言と、現在の状況、
まるっきり同じではないか。
そうか。
このもやもやした気持ちは、
夏鳥の過去に何があったのかを
知りたいという気持ちだった。




